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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
14章 魔都侵攻作戦 ‐‐死と慟哭の街‐‐
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白い砂 2

 その後、いくつか会話を交わし通話を切るとドアのほうへと歩いていき、後に続いてキイもドアのほうへと向かっていった。

 アサヒはドアを開け車列の後ろを見るが報告にあった生体兵器を見ることはできない。


 双眼鏡を使うが黒煙を上げる戦車の残骸と群がる生体兵器だけで、そこに戦車に乗っていた乗員の姿はなかった。


「ハンミョウ、大型の生体兵器か……防御の硬い甲虫型、厄介だな。ここからじゃ見えないか。追ってこられると戦わざる得ないが、戦闘は最小限に抑えたいが」

「やっぱり音が止んだね、ああ静かだねぇ。耳がすっとするよ。ところで、はんみょ? 名前を出されてもさっぱりだ、どんな生体兵器なんだい?」


 大型の生体兵器は遠ざかっていく車列を襲ってこない。


 ‐‐追ってこないな、俺たちを止めようとする生体兵器じゃないか。小型の生体兵器とともに行動していた生体兵器と勘違いして襲ってきたのか?


 生体兵器の密度が濃い土地で起きる現象、戦車をほかの生体兵器と見間違え襲い掛かってきたのだと判断しアサヒは車内戻る。


「携帯端末を充電しておけ、いざという時使えなくならないように」

「はいよ、しっかしついに大型の生体兵器が出てきたねぇ。私らの天敵だ」


「小型のエクエリだと関節部を狙わない限りほとんどダメージを与えらえないからな。報告にあった戦車を破壊する強力な顎、足が速く飛行能力も持っている。戦うとなるとかなり時間を取られる相手だな」

「そりゃ、いやだね。でも倒すことはできるんだよね」


「これだけ精鋭と戦車があるからな。姿が見えている状態で正面から戦えば勝算はある」

「頼もしいねぇ。で、戦いそうなのかい? だとしたら寝ているフルタカを起こさないといけない、どうする。薬使って寝てるんならちょっとやそっとじゃ起きないけど」


「いや、追ってきている気配はない。足が速いから絶対に襲ってこないかわまだわからないが」

「私が上昇って見張りしようか? 静かになったし携帯端末ならせば気が付いてくれんるでしょ?」


「頼めるか? だがクラックホーネットじゃなくても何かしらの羽音が聞こえたら戻ってこい。小型の生体兵器たちから離れてタイヤをパンクさせられる心配がなくなった今、危険を冒してまで外にいる理由はない」

「そりゃ、もちろん。アサヒの指示に従うよ」


 そういうとキイは準備を整え再び車両の上へと上がっていった。



 魔都に入り2日目の朝、生体兵器の襲撃はなく魔都の中央に向かって進んでいく。

 入った時同様、建物の奥に気配はあれど生体兵器の襲撃はない。

 晴れた空には輝く太陽が浮かんでいる。


「途中に何度か建物の倒壊による迂回を挟んだがおおよそ予定した通りの道順をたどっている。被害も想定内」

「そりゃよかった、予定通りに帰れそうかい?」


「どうだろうな。襲撃もまばら、クラックホーネットの攻撃もない、他の薔薇の隊がどうなっているのかもわからない。他もここと同じなのか、すでに全滅しているのか。それと昨日の夜、最後にであったハンミョウ型と不安要素が多い。無事で帰れる保証はできない。もともと作戦成功率が低い作戦だ」

「そりゃないじゃないか、私たちが無事に基地へ帰るまでが作戦のうちだろう? 予定通りならこの先もそれで頼むよ。死んでも倒さないといけないのは分かるけど、死にたくはないんだからさ」


「連絡が取れない今どうなっているかわからないが、基地は昨日言った通りおそらくクラックホーネットの襲撃を受けている」

「何で数の少ない私たちのほうを先に攻撃しなかったのかね? 今もこうして巣へと向かっているし、数は少ないし、先に倒しておいて損はないと思うのだけどさ。折角指折りの精鋭をかき集めたってのに」


「生体兵器の考えがわかれば苦労しないが、おそらく気化弾頭のミサイルを警戒しているのだろうな。クラックホーネット自体10年以上前に経験済みだ。それを優先的につぶしに行ったのだろう。初日に気化弾頭を撃ち込んでいたおかげでほかの生体兵器も襲ってこない」

「拠点は全滅したって考えるべきなのかい?」


「今もなのかもう終わったのかすらわからないが、基地を攻撃し終わったら俺らのほうへ来てもおかしくはない。精鋭が頑張って寄せ付けていないのか、全体会議の時に集まったドームがあるだろうあそこに籠城しているのかもしれない」

「じゃあまだ耐えてはいるのか、こっちに来ていないし」


 湯を沸かし粉末のコーヒーを飲んで話を聞いていたフルタカが二人の会話に入る。


「アサヒの予定ではよ、今日中にあの荷物を置いて帰るんだよな」

「ああ、早ければ今日の夜には巣が見つかる予定だ。そしたら篝火を設置し作動させ後は海上の都市戦艦らに任せる。地図の中では夜に魔都の中央の近くに入るはず、クラックホーネットの巣穴のあるとされる魔都の中央。何が待っているのか、何も待っていないのか」


「お前に誘われ薔薇の隊になる前にも今まで何度となく生体兵器の巣を潰しに行ったけどよ、門番や見張りはいるもんだろうよ」

「それらが居たら戦闘は避けられないだろうな。行きは心配していないが帰りが不安だ。なにせ道が塞がれているから徒歩だからな、最短でこの町を出るには建物の中を突っ切っていった方が早いかもしれない」


「車両なしじゃ生体兵器から逃げきるのは難しいだろうがよ。昨日の夜みたいに数で囲まれたら休む暇もなさそうだしよ」

「どこか防衛しやすい場所を見つけ交代で休めるようにはする」


 アサヒの端末に連絡が入りキイとフルタカがエクエリのバッテリー残量を確認する。


「どうした」

『空に生体兵器! 数は20、大型の蜂、クラックホーネットの可能性あり!』


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