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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
14章 魔都侵攻作戦 ‐‐死と慟哭の街‐‐
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怪物たちの都 4

 外では戦闘が続いており戦車の砲撃の光が見え、閃光の先で生体兵器が吹き飛ぶ。

 アサヒは荷物の中からタブレットを取り出し何か操作をすると二人に見せる。

 画面にはつい先ほど戦った甲虫型の生体兵器の画像。


「突然見せられたけど。アサヒ、これはなんだい? 生体兵器の情報? なんで今さら」

「先ほど戦闘した生体兵器は、災害種ウォーカーとの戦に出てきた生体兵器の特徴と一致している。もしかしたらこれらの情報が役に立つかもしれない」


 キイが指先で画面をスライドさせると画面は変わり昆虫型の生体兵器の画像がずらりと並ぶ。

 過去にホウキシェルターを襲ったウォーカーと行動を共にしていた生体兵器たち。

 シェルターを襲った生体兵器はすべて討伐されてはいるが、その各々特殊な攻撃や生体は今後の討伐のため戦闘ログとともに記録されている。


「そういうことか、確かに魔都から出てきたやつだもんねぇ。ここを根城にしていたのなら、今までずっとここに残って隠れている場合もあるか。魔都に入るまでに見たどの生体兵器とも違うけどウォーカーの子分らは結構な種類があるね、小型と中型なら私たちの敵じゃないけどもさ」

「飢餓状態のクラックホーネットに食い殺されいないと思っていたが、結局これらにも注意をしないといけないのかよ。まぁ、情報があるだけどうにかはなるけどよ」


「何をしてくるかわからない初見で戦うより怖いものがないものね、情報があればそれに警戒しながら戦えるけども。さて、一番怖いのはいろんな種類の生体兵器の複合体に囲まれること」

「魔都侵攻の作戦は周囲の生体兵器を狩りつくしての兵糧攻めって話だったよな? 攻め込むには時期が早すぎたんじゃないのか? クラックホーネットにたどり着くまで何匹の生体兵器と戦うことになるんだ」


 キイがタブレットを取って生体兵器の情報を一匹ずつ確認していく。

 その間にアサヒもエクエリのバッテリーを取り換えてモニターで外の様子をうかがう。


「外ではまだ戦闘が続いているか、数も増え戦車での対応も難しくなってきたか。加勢したいが足を止めるわけにも……」

「どうするよアサヒ? ここの窓は開かないがそこのドアなら開くだろ、俺も戦闘に参戦するか」


「ああ、そうだな。頼めるかフルタカ」

「おうよ! 月灯りで道にいる奴は見える」


 即座に返事をするとフルタカは大型のエクエリを構えて移動する。

 ドアを開け白い息を一息吐くと夜襲をかけてくる生体兵器に狙いをつけた。


「うげ、なんだこれよ。種類が多い、統率取る生体兵器がいるだろ絶対」


 外は相変わらずの音の嵐、音は車内にも入り込みタブレットを見てキイが顔を上げしかめっ面をしているのが見える。


「うるせえよなぁ、音の元凶が見つかれば倒すんだけどよ。寒いな、風は収まらないか。霧を出してさっさと逃げられればいいんだけどよ」


 少し見ない間に生体兵器の数が増えていて、精鋭たちが乗った装甲車も周囲の生体兵器の数を減らすため攻撃していた。

 戦車の防御力に勝てるようなものはいまだに現れていないが、車両と並走して走り糸をまいたり装甲に飛びついたりしている。

 フルタカはとりあえず戦車にとりつく五角形の生体兵器を撃ちぬく。


「カメムシ、百足、蜘蛛も、魔都の中央に近づいているから数も増えているのか。見事に虫しかいねぇよ。こりゃ荷台にもかなりとりついてるだろうよな、飛行型の生体兵器の姿はないようだしキイに上らせるか」


 強力な下方を装備している戦車は中型の生体兵器を優先し倒しているため、フルタカは地面を歩く小型に狙いを絞る。

 月灯りに輝く外骨格、滝のような音が聞こえなければ、おそらくは虫の這う音で満たされるほどの状態。


「道、壁、建物内、これだけで、ざっと二百はいるか? 流石に数が多いよな」


 今までの精鋭人生で見たことのない絵面に苦笑するふとフルタカの視線に入る暗い闇の中光る緑色の光。

 等間隔に並んでいたそれはふっと上にあがったかと思うと、フルタカ目掛け一気に光が近づいてくる。


「なんだよ!」


 慌てて車内に入って後ろに下がると閉まっていないドアから分厚い金属の板のようなものが入ってきて車内の床と壁を火花を散らし削り、突き刺された無線機が煙を上げる。

 後ろの飛んできたフルタカとその直後に入ってきた塊にアサヒもキイも驚き、彼女はタブレットを落として立ち上がり車内に入ってきた異物にエクエリを撃つ。


 アサヒが指をさし何か言っているが音はかき消され聞き取ることができない。

 すぐに異物は生体兵器の足、緑色の光は足につく発行器官と判断し床に倒れた状態でフルタカはエクエリを向ける。

 しかし生体兵器の足はすぐに車内から出ていった。

 フルタカが立ち上がると急いでドアを閉める。


「吃驚したじゃないか、何なんだい今のは」

「俺が聞きたいよ、足だろ足。キイ、上に上がれるか外にいる数がやばい。この車両にも小型がとりついているだろう。見たところ今のところよ飛行型の生体兵器の姿がないみたいだ、装甲がはがされると面倒だ少し落としてきてくれよ」


 フルタカの報告に一度指示をもらおうと二人はアサヒの顔を見た。

 キイはアサヒと目が合うと黙ってうなずきタブレットを拾いアサヒに返す。


「はいよ、行ってくる。フルタカドア開けて」

「勝てないと思ったら帰ってこいよ。クラックホーネットの様な飛行型の生体兵器が居てもだ、襲ってくなくても見かけたら戻ってこい」


 キイが小型のエクエリをしまい、足元に置いておいた細長いものを携えてドアへと向かっていく。

 ドアを開け梯子を使い素早く車両の上に上がるとキイは刀身の黒い刀を抜き、牽引されている荷台へと向かって走り出す。

 目の前でキイに気が付かず装甲をむしり取ろうとする生体兵器の頭にその刃を突き立てる。


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