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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
13章 最北の砦 ‐‐風を運び輝く太陽‐‐
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炎天の花 2 終

 治療を受けたあとフウカはツルギに運ばれて場所を移され装甲車で寝かされていたが、数日ぶりに目を覚まし彼女はすっと起き上がる。

 携帯端末を操作していたハナビが視線をフウカに向け立ち上がると彼女のもとへと近づく。


「やっとおきた、おはようフウカ。体の調子は、痛んだりするところはない?」

「ハナビ、お腹すいた」


 目を覚ましてぼんやりしているフウカを抱きしめ彼女の頭を撫でながらハナビがその言葉に苦笑すると、彼女の髪を結って服装を正し二人は外に出る用意を済ませる。


「心配かけておいて一番最初に言う言葉? って、私が言うことじゃないけどさ。覚えてないだろうけど私が炸裂式雷撃弾でフウカごと撃っちゃたんだよ」

「あんま覚えてない……ま、生きてるしいいじゃん」


「フウカが許してくれるならいいけど、そんな軽くていいの」

「とりあえず何か食べたい」


 空腹を訴えるフウカを連れ出し装甲車を降りた。

 駐車場に止められた装甲車、隣の軽装甲車両で朝顔隊が休んでいたり花のマークの描かれた車両が止まっていたり精鋭関係の車両が並んでいる。


「ちょっと待ってね、セイランたち呼ぶから」

「わかった」


 フウカはすっかり景色の変わった前線基地を食堂を探してざっと見まわしていると、携帯端末を操作していたハナビが目的地を指さして歩き出す。


「待たせてごめんね、こっちだよフウカ」

「ここどこ? なんかだいぶ形変わったね。なんでわたし車で寝てたの?」


「野戦病院がまだできてなかったから治療を終えたら、別のところに放置される。宿舎がまだできてないから、テントで知らない人と雑魚寝で寝るか私たちだけで車両で寝るか」

「車両だね、なんで病院を最初に作らなかったの?」


「私に聞かないでよ、もっと先に作る施設があったんでしょ。そうそう、セイランとツルギ君も呼んだからみんなで一緒にご飯食べるよ。フウカが寝ている間に食堂もできて、携帯食料以外も食べれるようになったよ」

「やった、携帯食料も悪くないけどどれも触感が同じで飽きてきたところだったし。たくさん食べよ」


 ハナビたちが食堂につくと建物の入り口でセイランとツルギが待っていた。

 二人ともフウカを見て彼女に話しかける。


「ようやく目を覚ましたか。なかなか目を覚まさないから心配してたんだ」

「おはようございます、生体兵器ごしとはいえ雷撃弾を受けて心配してましたわ。でも元気そうでよかった」


 セイランとツルギが合流し向日葵隊は食堂へと入ると注文し席に着く。

 久しぶりの食事とあって大量に注文するフウカに

 席に着くとハナビが携帯端末を取り出し全員に見えるように置いた。


「えーっと、料理ができる前に重大な発表があるよ聞いて」

「何を改まって……フウカが目を覚ましたからもう次の作戦とかか?」


「感がいいね、ツルギ君。その通り次の作戦だよ私たち魔都を攻撃する作戦に参加する」

「え?」


 ハナビの携帯端末に書かれた作戦内容、ツルギがそれを読む前に彼女は自分の携帯端末を回収する。

 そして操作しながら話を続けた。


「魔都侵攻作戦、私たちは侵攻側じゃないけどもっと気温が下がって生体兵器の活動量が落ちたら始まる災害種との戦いに私たちも参加する」

「どうして、俺らまだ精鋭っていうには場数が足りなさすぎる」


「いいのいいの、何年も前から始まっている精鋭を増やしているけどこの作戦のために増やしてきたんだから。災害種と戦うために数がいるんだよ。精鋭の質は問題じゃない、参加する一般兵たちの士気を高めるための精鋭なんだから」

「そんな、俺らじゃ災害種相手の戦いに参加したって死ぬだけないか」


「だから侵攻組じゃないって、魔都に入っていく精鋭たちよりかは生存率は高いはず。私たちはお飾り精鋭、私が王族ってのあるし魔都には入らず自衛して作戦成功の報告を聞くだけだよ」

「名前だけの精鋭なら今回もこまでして戦う必要なかったんじゃ? それに魔都に入らないからって俺ら無事じゃないだろ。生体兵器が襲ってきたらどうする気なんだ」


「そりゃ精鋭だから戦うに決まってるでしょ、何言ってるのツルギ君は。今回だって前線基地設営に参加したし、名前だけの精鋭だって多少の実績がなければ意味ないよ。向こうで戦うことになるわけだし、出てくるのは今回戦った生体兵器より強いかもだし最低限の実力はないと死ぬよ。今回の戦闘で身に染みたでしょ……私は染みた」

「まあ……そうだな。というか、さっきからご飯呼ばれてるけど、そろそろ取りに行かないか?」


 ハナビと会話していて席を離れられなかったツルギが厨房を指さす。

 気が付くとセイランとフウカは先に食事を始めていた。


「いつの間に、教えてよ」

「教えたよ」


「というか持ってきてくれないの?」

「レストランじゃないんだからそういうシステムじゃないです」


 ツルギとハナビは席を立ち、ならんで頼んだ料理を取りに行く。


「なんであれ、王都から出た私たちは戦って戦って戦って、生きていかないといけない」

「そうだな。俺ももう非戦闘員じゃないし、戦っていかないといけないんだよなぁ」


「そうだよ、それじゃツルギ君これからもよろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

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