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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
13章 最北の砦 ‐‐風を運び輝く太陽‐‐
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前線基地設営作戦 12

 中型のエクエリを構えて歩く向日葵隊とバイクを押して歩く蒲公英隊。

 蒲公英隊に指示で道路の真ん中ではなく、道の見える森の中を歩いていた。


「なぜこんな道を、車が通った後もないし草で歩きづらいのに」

「道の真ん中歩いていると他の生体兵器から見つかりやすくなるからですね。生体兵器同士の戦闘に爆薬での大音量。すでに近くに生体兵器が集まってきていてもおかしくありません」


 動きの悪い脚で歩きずらそうにするセイランを支えるツルギが尋ねる。

 皆の後ろで無言で歩く蒲公英隊のノノは携帯端末で紫陽花隊と連絡を取りあっていた。

 先導するコウヘイに額の傷を確認しながらハナビが尋ね、彼女はエクエリの銃口を下ろし水筒から水を飲む。


「ああ第七世代、思い出した。ちょっと前にシュゴウシェルターから逃げた生体兵器か、そんな話し合ったななぁ。あれがそうなんだ、デカくない?」

「そうです。俺とノノは王都からの指示であの生体兵器の行方を追っていたました。その間も各地で生体兵器と戦闘、北へ行ったり南へ行ったり縄張りを持たずにあちこち言ってるから追うのが大変で。他の生体兵器も縄張りを荒らされて活性化してるし」


「そりゃお疲れだね。で、いいの? ここまで来てせっかく見つけたのに私たちと逃げちゃって」

「あ、大丈夫です。行方を追い姿を確認するだけなんで。それに俺らの持つ小型のエクエリで大型の生体兵器と戦うのは危険ですから。今何をしているかを確認し」


「爆薬持ってたじゃない。あれだったらあのでかいのも倒せたんじゃない?」

「初手で当てられなかったらもう倒す手立てがないんです。あくまで罠に使う程度にしか、それに爆薬を使って大型の生体兵器と戦うノウハウも多くはないですし。今さっきの爆薬も当てら出たらいいな程度でばら撒いたものですし」


「でもしっかり倒せてるじゃない」

「少し足が速くて、ノノも俺も慌てて持っていたありったけをばら撒きましたから。さすがに素人にあの生体兵器との戦闘は勝ち目がないと思いましたので、無茶して割って入るしかなかったです」


「そりゃすまんね、おかげで助かったよ。でも、いいね爆薬。私たちも使おうかな。補給物資の中にあった気がしたけど、燃えちゃった装甲車の中に置いてきたし」

「威力とか範囲とかいろいろ危険ですけど、使い方さえ気を付けていれば強いですからね」


 通話が終わり携帯端末をしまうとノノがコウヘイの隣へとやってきて耳打ちする。


「コウヘー。紫陽花隊は、まだ、あいつが道のそばにいて、これないみたい。合流はできそうにないって。先進んで回収できそうなら回収するって」

「紫陽花隊に第七世代とは交戦は避けるように言っておいてくれた? まだ、確かじゃないけど第七世代は生体兵器だけを襲っている傾向があるって」


「言ってる。遠くで見てるの見つかったけど、食事に夢中で襲ってくる様子はないから、しばらく見てるって。合流はかなり後になるかもって」

「わかった。連絡してくれてありがとノノ」


 それからしばらくして生体兵器が現れるものの、蒲公英隊が足止めをし向日葵隊が総力を挙げてとどめを刺す。

 その戦い方は精鋭というよりも一般兵の戦い方だったが、しかし倒した小型の哺乳類型の生体兵器を囲んでハナビが喜ぶ。


「倒した倒した、私たちの戦果だ。ニヒヒ、ほとんど無傷の生体兵器を倒したぞ。この間の群狼よりいい動きだったと思わない?」

「足を潰してもらって、相当動きが悪くなった時にとどめを刺させてもらっただけですけど。というか蒲公英隊の人たち数発撃って、走りまわる生体兵器の足の健切ったんですか」


 蒲公英隊が死亡を確認しハナビが市外へと近づくとエクエリの先でつついた。


「なんか戦利品としてもぎっていくか? どこがいいかな、牙かな爪かな毛皮かな、う~ん頭蓋骨? 骨か、どっかの骨がいいか」

「荷物になるんでやめときましょう。鞄に入る大きなも限りがありますし、またの機会にしませんか。ところでハナビさんの散弾強くないですか?」


「あったり前でしょ、小型のエクエリの弾を前もって設定した角度でランダムで飛ばす。銃口を見て躱そうとしても範囲が広いからよけきれるものでもない」

「無茶苦茶強いじゃないですか、なんでそれ俺たち全員に配ってくれないんですか?」


「ランダムで飛ぶ以上誤射で人が死ぬ。死んでも私とフウカなら金で解決できる。でもキリギリ君は犯罪者になる」

「いや、誤射しないように立ち回れば」


「セイランならともかく、一般兵でもないキリギリ君がそんなことできるといは思えないけど?」

「それは……」


「でしょ。うっかり当てても私とフウカならなんとかできる、だから私がもらったの前にも言ったでしょ。さ、無駄話してると疲れるから黙ってすすも」


 ハナビとツルギの会話が終わったころ、セイランがコウヘイに話しかけた。


「ところで、後どれだけ歩けばいいんですの?」

「えっと、たぶんこの先に見える黒煙の場所まで行けば追いつけるかも」


 コウヘイが指さす森の木々の間から見える天高く伸びる黒煙。


「また戦闘ですのね……」


 目的地で新たな戦いが待っていることを知りセイランの疲れ切った声とともに支えているツルギに体重を預ける。


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