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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
13章 最北の砦 ‐‐風を運び輝く太陽‐‐
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前線基地設営作戦 4

 遠くからその様子を見ていたフウカが疑問の口にする。


「え、なに? 急に倒れたけど」

「助けないと」

「待ってください何かいますわ!」


 直後、川が盛り上がり水の中から大型の生体兵器が現れ、川に落ちたガーベラ隊をガマ口のような大きな口で水ごと吸い込み飲み込んでいく。


 水面から出てきた岩のようなごつごつとした体にはボツボツと穴が開いていて、色は茶色と黄土色のまだら模様で様々な色の石と砂の混ざる水底と隠れていた。


「何あれ、ジャガイモの生体兵器?」

「そんなのいませんわ。水の中に潜んでいたから、水陸両用の生体兵器だと思います」


「この大きさなら当てられそうだ」

「フウカちゃんキリギリさん、とりあえず離れましょうほかの精鋭ももう崖の上に向かってますわ」


「気が付いたら数が増えてる」

「囲まれる前にほかの精鋭のもとへ行きましょう」


 向日葵隊が驚いている間に精鋭たちはすでに生体兵器に向けてエクエリを構え、精鋭を無力化した謎の攻撃に気をつけながら頭へと攻撃を集中させていく。

 大型の生体兵器を相手にするにも泥のついた分厚い肉の塊に手こずっていると、あちこちから同じ大型の生体兵器が川の中から顔を出す。


「新たに大型の生体兵器4! 囲まれています」

「新部隊がやられた、救出を!」

「川底に潜ってたのか、こんな水深浅いところに」

「このタイミングで大型か」


 突然現れた大型の生体兵器に戸惑う精鋭たち、車両はいまだに橋を渡っておりまだ時間がかかりそうな状態。

 4足歩行の大型の生体兵器、太く長い尻尾が這い出てくると精鋭たちは川から離れ崖の上へと移動する。


「車両の移動をもっと急がせて!」

「これでも急いでいるほうです、これ以上焦らせると操作を誤り橋から落ちてしまいます」

「タフだな、これは倒すのに骨が折れる。戦車はどこ」

「崖落ちると引き上げられる高さじゃないから、撃つなら崖を上がらせてからでほしいと」


 一般兵や精鋭たちの会話を聞きつつ、ツルギたちも中型のエクエリで当たるかどうかは別として大型の生体兵器を撃ちつつ下がり崖の上へと向かう。

 ツルギが先に上がりほかの精鋭たちと合流しようとしたが、振り返るとフウカが崖を登れずにいた。


「ちょ、崖登れない。別に体が重いわけじゃないからね!」

「ほら誰に弁明してるかわからにけど、手を伸ばせ引き上げる」


 ツルギは低身長で登るのに苦労していたフウカを引き上げ、近くに出てきた大型の生体兵器にエクエリを撃つセイランにも手を差し伸べる。


「私のエクエリをお願いしますわ」

「ハタカガミさんも引き上げるから手を伸ばせ」


「私は大丈夫です、自力で上がれますから」

「でも、制服汚れるだろ」


 手を伸ばすツルギにエクエリを渡しセイランは自力で崖を上り切った。


「戦闘服なんて汚れるもんですし、別にこの制服の汚れなんて気にしませんわ」


 制服についた泥を払いツルギに渡したエクエリを返してもらうと崖の上から再び大型のエクエリに狙いをつけて引き金を引く。


 大型の生体兵器は四匹、最初の一匹が比較的ダメージをっているがそれでも弱っている様子はなく一般兵や精鋭を追って川から出てきている。

 向日葵隊は蒲公英隊と朝顔隊のもとへと逃げてきた。


「ノノちゃんあれ何?」

「たぶん見た目から言うとオオサンショウウオ、でもなんで精鋭がまとめてやられたのかがわからない。毒ガスでも撒くのかも、まだよくわからないから一応風上にいて」


 ツバメとのノノ会話を聞いてツルギたちもエクエリを撃ちながら下がる。


「何にせよ近づいたらダメか。しかし、なかなか死なないね一匹ずつ倒していかないとダメっぽい。橋によらせたらダメなんだろ、うまくバラバラにひきつけられないものかね?」

「あの粘液に何かあるのかも、ただの皮膚の乾燥を防ぐ目的では、出てくる量が多いように見える」


 川から上がった生体兵器たちの体からどろりと大型の生体兵器から粘液が垂れ、粘液にまみれた体を川岸にこすり付けるとその体に無数の小石が張り付いた。

 小石が張り付いた場所にはエクエリの弾が通じない。


「こいつ、エクエリを知ってる。前に誰かと戦ったことがあるな」

「情報がない、戦った相手はシェルターには帰ってこなかった」


 集中攻撃でも止められない大型の生体兵器が迫ってきて、ふいに地面から湯気が立つ。

 同時に崖のそばで生体兵器を撃っていた精鋭の何名かが悲鳴を上げエクエリを落とし膝をつく。


「なに、何かされたの?」

「ここからは見えなかった。向日葵隊はここで待ってて、危ないから」


 そういって離れていく蒲公英隊と朝顔隊。

 蒲公英隊が生体兵器の気を引き、その間に朝顔隊が動けないでいた精鋭たちを助け安全な場所まで運ぶ。

 彼女らが倒れた精鋭を救助している様子を見ていると救助活動の援護をしていた蒲公英隊から全体に報告があった。


『なんだかわかった、全員距離を取って! 混ぜられている生物は、電気ウナギ、地面が湿っていれば感電する、だから離れて』


 報告を受け崖から離れる精鋭たち、もちろんもともと離れていたツルギたちもさらに崖から離れる。


「一匹こっち見ていますわ」

「バラバラに倒すんでしょ、ちょうどいいんじゃ?」

「俺たちであれを倒すのか? 俺たちだけで?」


ツルギは周囲見回すがセイランとフウカ以外に人はいない。

生体兵器はツルギたちの攻撃をものともせず巨体が上れるように崖を崩していてる。


「そういや大型の生体兵器、一匹で特定危険種扱いなんだっけ?」

「ええ、うっかり鉢合わせた場合は精鋭以外は戦闘せずに撤退。前線基地の設備や相当に準備をしてから戦う相手ですわ」

「強いんじゃないのか」


「相手にとって不足はないね。この間の群狼戦ではみっともなかったから今度こそ」

「最も精鋭が相手にする特定危険種は、頭が回り狡猾でこざかしい相手のことを言うのですけど」

「電気出すってだけでだいぶ危険だろ、精鋭に任せないと」


「私たちが精鋭、忘れたの? ツルギは自覚無いの?」

「ですわ、しっかりと使命を果たさないと」

「フウカさんは何もできないのに何でそんな自信があるんだよ、どうするんだよ」


 向日葵隊を追って崖を上ってきた大型の生体兵器は、待ち構えていた戦車隊の砲撃を受け崖の下へとひっくり返った。


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