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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
13章 最北の砦 ‐‐風を運び輝く太陽‐‐
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季節外れの花 6

 高い建物が立ち並ぶ商業区、広い道路は多くの車両が行きかっている。

 ハナビの後について歩いていていたフウカが、並ぶ商店にあちこち目移りしながら話しかけた。


「ハナビ、ハナビ。この後どこに行くの?」


 先を歩くハナビは携帯端末で居場所を確認しながら目的の建物へと歩いていく。


「んー、屋敷に荷物が運び込まれているあいだ屋敷にいるのもあれだしその間時間を潰す。この先のカフェで精鋭の人と少し話すからフウカはおとなしくしててね」

「わかった」


「これから会う精鋭は気まぐれな人だから、さっきみたいなつっけんどんな態度はとらないでよフウカ。私たちの命に係わる話をするの、他は防壁の防衛任務や周辺の哨戒任務で時間が取れそうにないから断られると他を探すのがつらい」

「わかった」


「ほんとに? 今日の私の隊のメンバー選ぶときフウカずっとつんつんしてたじゃん」

「別に、私たちのことも知らずのほほんとしている人を見てイラっとしただけ」


「フウカだってほかの人がどう生きてるなんかわからないでしょ」

「そうだけど」


 目的の建物に入りエレベータ―をあがって待ち合わせをしている飲食店へと入る。


「いらっしゃいませ。お客様は何名で……」

「さきにお友達が来ているので」


「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」


 入店後出てきた店員をすれ違いざまに応答し追い払うハナビ。

 立ち振る舞いを王都にいたころに戻したハナビとフウカのの気品ある歩きに店員は思わず深く頭を下げた。

 店内を歩き手にした携帯端末の情報にあった顔を見つけ、照らし合わせてから話しかける。


「お待たせしました、来ていただいてありがとうございます」

「ん? ああ、うん。いいよかしこまらないで、座って座って」


 礼儀正しくハナビが深々と頭を下げフウカもそれにならって頭を下げた。

 呼び出された精鋭の隊長はパフェを食べる手を止め、面倒くさそうに手を振って頭を上げさせ席に座るように促す。


「ここでの支払いは私がいたしますので、好きなだけ食べえ行ってください」

「うんうん、わかったから。他の客が見てる、普通にしよ」


 ハナビたちが席に着くと精鋭のほうから話を振った。


「それで……あなた隊が新しい精鋭? えっと、何隊だっけ? 私たちに協力を頼みたかって?」

「季節が終わっちゃったけど真夏の太陽、向日葵です。あの太陽を追っかけては首を動かす向日葵隊。私はその隊長のハナビよろしくお願いいたします。こちらは妹のフウカ」


 紹介を受けもう一度頭を下げるフウカ。


「よろしく向日葵隊隊長。私は朝顔隊隊長、アオゾラ・ツバメ。気軽にツバメでいいよ。私もこれからハナビとフウカって呼ぶからいいよね?」

「お願いしますツバメさん」


 ハナビが頭を下げたのをみてフウカも頭を下げる。


「お願いします」


 注文を取りに来た店員にコーヒーとパフェを頼み店員が去ったところでハナビが切り出す。


「では、先ほどメールでお伝えした通り、明日私たちが精鋭を結成して最初の戦闘、それに付き合ってもらいたいのです。戦闘記録を見た限りではあなたたちの隊が今このシェルターにいる精鋭で一番多くの生体兵器を倒していますので、見本か何かあったときのために援護してもらえれば助かるなと」

「うんわかった。まぁ予定もないし、何もしないで長居していると借りてる家に物が増えるから、明日か明後日か防壁の外で体動かす気だったし」


「ありがとうございますツバメさん。なにぶん新部隊である私の隊は精鋭の経験者がおらず全員新人の集まりですので、もしかすると普通の生体兵器を相手に人知れず全滅するかもしれないので助かりました」

「そこわかってるつもりだよ、よく戦闘未経験者を精鋭にしようと思ったもんだ。また王都のきまぐれ? 一般兵でも精鋭昇格試験受けてないなら、たった一匹の生体兵器に全滅させられてもおかしくないし。それでも頼まれたからにはハナビたちを死なないように守ってあげるつもりではいる。完全とは言えないけどさ」


「ありがとうございます。それだけでも私たちが初戦を生き残る可能性は十分高くなるので」

「でも、一度や二度で生体兵器と戦えるようになるとも思えない」


 そういうとパフェを食べ終え追加でおかわり注文するツバメ。


「それでも新部隊結成後、半年で災害種を自分たちの隊だけで倒している。資料にはそう書いてあるけど、ちがうの?」

「え……その情報、普通の人見れないんじゃないの? あれ、王都の観覧制限であの戦いのこと? 今まで噂程度に広がってても誰も信じてくれなかったんだけど」


「そうでしょうね。シェルターの防衛能力と精鋭複数隊で倒せるかどうかもわからない災害種を一般兵の援護もなしで倒すだなんて誰も信じないもの」

「だよね。で、そんな噂話を信じてるの?」


「ええ、色を見て確信に。噂はあまり当てにならない、だからちゃんと調べさせてきた。あつめた精鋭の報告書を調べさせ信頼に当たる情報かどうかを念入りに確認して。それができたのは私が王都の人間だからです」

「ふぅん。あそこはいまだに外道の巣窟?」


 届いたコーヒーに口をつけるハナビ。

 フウカもパフェを食べ始めた。


「ええ、滅びでもしないあの場所は限り変わることはないでしょう。私もそれが嫌で逃げ出してきたので」

「あそこはまた何かやってんの?」


「いつだって自分たちがよければそれでいい連中だから」

「だろね」


「でもまぁ、王都の話はここまでにしません? 気分が悪くなるから」

「了解。んじゃ明日、防壁前の基地でどこに行くか話しましょうか。向日葵隊」


 注文されたものがそろい三人はゆっくりと時間を楽しんだ。


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