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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
11章 狂おしき崩落日和 ‐‐闊歩する巨兵‐‐
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突破 2

 

 防壁側もただ土煙で身を隠しながら進んでくる重殻を指をくわえてみているわけでもなく、舞い上がる土て一発一発の威力が落とされるならばとタイミングを合わせての複数の砲台や戦車での一斉射に切り替えていた。

 それでも、重殻のもともとの丈夫な殻に舞い上がり積もった土の層が威力を殺し有効なダメージを入れることができない。

 ミナモの運転のもとギンセツは防壁に向かう小型の生体兵器を背後から撃ちぬいていく。

 狙いをミナモたちに変えて追ってくる場合はすぐに離れ引き撃ちで倒す。


「重殻はゼロ距離じゃないとダメみたいだなぁ、遠距離じゃいくらやっても倒せそうにない」

「あんな機敏に動くやつの懐に入れるものか、すばしっこい生体兵器でさえ姿勢を正面に向け迎撃しているのに……というかなんでおんなじ生体兵器どうしで戦いあっているんだ? 同じ方向から来たんだから仲間ではなかったのか?」


 反撃を受けないよう距離を取って生体兵器に接近するように運転するミナモと、ギンセツがけがをしないよう周囲を警戒しているメモリが意見を交わす。


 生体兵器は数種類いくつかのグループで動いていてそれそれが統率の取れない動きで防壁を襲うか同じ生体兵器同士と戦っている。


「たまたまおんなじ方向から攻撃をしようとしていたんでは? 生体兵器が多いからこそ狙いがかぶって乱戦になるなんてことよくあったよ」

「そうならいいんだが……なんか不自然に感じる」


 戦場を飛び交う防壁の砲台やほかの一般兵のエクエリの射線を気にし車を走らせ、車外に顔を出しているギンセツに向かってミナモが声を張る。


「アカバネ君正面、06ファイターが居る。一匹筒なら脅威じゃない倒せる?」

「了解やってみます!」

「無茶はするなよギンセツ」


 06ファイター、大型の爬虫類型の生体兵器の集まりで前に伸びた長い角と首を隠すように広がった襟、鳥のような嘴が特徴の生体兵器。

 大型の爬虫類型の生体兵器にありがちな硬いうろこによる防御力のごり押しのような戦い方に頭の角が合わさり一度走り出すと止まらない突破力を持っている。


「ところでなぜ名前に数字が?」

「子の生体兵器、前までいくつかの群れがあって、あれは最後に残った6番目の群れ。だからもう倒し方もわかってる、正面からだと砲台のエクエリすら効き目がないから背後から迫る、他のがカバーに来る前に倒すか致命傷を与えてもらえるといいんだけど」


 混沌とした戦闘で集団から外れた一匹のそばに車を寄せギンセツが首を狙う。

 エンジン音で軽装甲車の接近に気が付いたファイターは速度を落とし向きを変えた。

 撃ち込み何か所か首に穴をあけるもどれも傷は浅く弱る様子はない。


「間に合わないか、ごめん離れるよ」


 背後から別のファイターが接近し、横を通り過ぎるように速度を上げると長い角が装甲車をかすり助手席側のサイドミラーが外れ、地面を転がりファイターに踏みつぶされる。


「あぶな、危うく車内に貫通してくるところだった」


 携帯端末にさらなる生体兵器の発見情報が入る。


『新たに、特定危険種ニンジャ。それと初めて見るタイプの生体兵器、大型の生体兵器で行動パターンからおそらくは特定危険種と同等の能力を持つとされている模様。あと後方に様子を見ているだけで接近してこない爬虫類型の大型生体兵器が一匹』


 溜息をつくミナモ。


「行動パターンで生体兵器か特定危険種なのかってわかるのか?」

「なんでも素人と熟練者で動きが違うのと一緒。増えるなぁ、特定危険種、なに? 総力を挙げた反抗作戦に生体兵器が反抗作戦返しでもしに来たわけ?」


 軽装甲車は車両を降りて隊として最大火力で戦う精鋭のそばを通り過ぎる。

 彼らも今の連絡を受けて防壁のほうへと撤退していた。


「このままじゃ防壁につかれるのも時間の問題だと思うぞ、昨日出ていった精鋭を引き戻した方がいいんじゃいのか?」

「それはボクができることじゃないからボクに行っても仕方ないんだけど。多分シェルターですでに協議はされてると思うよ、生体兵器と特定危険種が出てくるペースが速すぎる戻ってくるまで持ちこたえるのを優先しないと」


 いきなり軽装甲車が横から殴られたように揺れる。

 ギンセツが危険を感じで車内に入ってきた。


「今のはなんだギンセツ!?」

「重殻の吹っ飛ばした死骸が車体後ろにぶつかったんです……パーツがでかい、疲れてきたのかもしれません?」

「でもボクたちは仕留めに行かないよ、重殻がヘイトを集めて近寄るにも別の生体兵器の相手をしないといけなくなる、あれは生体兵器が仕留めてくれるでしょ」


 防壁に向かって距離を取る軽装甲車に再び後ろから突き飛ばされるような衝撃が走り車体後輪が一瞬浮いた。


「あ……」

「あ、やだ。それは困る」


 ミナモとメモリが顔を青ざめさせる、ギン説が振り返ると後ろのガラス窓には血がべっとりと付き防弾ガラスにはひびが入っている。

 ギンセツの襟をつかんでメモリが力任せに座席につかせる。


「ギンセツ、シートベルト付けて!」


 三度目の衝撃、車体は一瞬中を浮き軽装甲車は横向きに振られ浮いた車輪が着地できずに横転し転がる。


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