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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
11章 狂おしき崩落日和 ‐‐闊歩する巨兵‐‐
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出撃の日 6

 精鋭専用の携帯端末と違って無線機を通すと、シェルター内の通信状態によってノイズがあるがそれでもはっきりとミナモの声が聞こえる。


「どうした?」

『ごめんシマ、ボクこれから防壁に行くんだけど連絡があって今の警報で学校が休校になっちゃって、これからシズクとツユを迎えに行ってくれない?』


「おれもこれから避難誘導をするところなんだけど」

『ごめん、今頼れるのシマしかいないんだ。ボクの知り合いみんな精鋭だから防壁行っちゃってるし、全部終わったら後でボクも謝りに行くから』


「そういうことならまぁ、避難区画に誘導するのと地上の非難誘導用の装甲車内に置いてくるのどっちがいい?」

『出来たら装甲車、避難区画は人でごった返すと背の低い二人は危ないからシマも一緒にいてあげて』


「わかった」

『じゃ、お願い』


 通信が切れると呼び止め損ねた装甲車に背を向け、ミナモの妹たち双子の学校へと向かって走り出す。

 向かう先は地下へと向かうエレベーター。

 警報を聞いて万が一を考えて事前に地下へと非難している市民が多く入り口は渋滞している。


 ――混んでるな、でもいつもの手で行けるか?


 身に着けている装飾品や服の質で中層と下層住人がまじりあっているのがわかる。

 まだ危険じゃないためか混乱はなく整列し順番を持つ長蛇の列の横を通り過ぎ管理人のもとへ向かう。


「いらっしゃい、避難誘導ですか? 生体兵器が防壁の前まで来てるんだって、大丈夫なのかい?」

「わからないですが、そのための避難誘導ですから。かなり混んでいるけど俺はこのまま中に入れますか?」


「どうぞ、一般兵は部署にかかわらず優先的に通れますから」

「ありがとうございます」


 改札の横を抜け拾い待機所でエレベーターの扉ごとに並ぶ待ちの列に加わる。

 エレベーターを待っていた市民たちも一般兵であるシマの姿を見てみ場所を譲ってくれ礼を言って列に加わった。


 地下へ降りてくると入ってこようとする人に流されないように素早く降り人の波から離れる。

 学校の行事や紹介の張られた掲示板やポスターなどが張られ、生徒たちが描いた壁画が通路を彩っている。


 そんな地下も鳴り響いていた警報と警告で若干の動揺があり子供たちを連れた親子のエレベーターを待つ列ができていた。

 人が多く混乱を避けるためエレベーターの前に赤い装甲車が止まりその上から警備兵が列が乱れないように誘導している。

 シズクとツユの迎えに来た階は複数の学校が集中してあるため子供が多い分人口密度が高い。

 小さい子供たちがシマと同じように親の迎えのもと帰路についていた。


 ――このフロアに来るのは一般兵になる前だからだいぶ久しぶりだな、人が増える一方でここも身動きが取れなくなっちまうな。二人の学校はどこだ。人が多くて看板が見えやしねぇ。


 壁沿いにエレベーターへと流れる人の流れに逆らって進むシマ。

 やっとのことでエレベーター前から抜け出してあちこち動けるようになるとシマは看板の前までやってくる。


「ようやく看板がみえてきた、しかし緊急時、こうなると上に行くにも下に行くにもエレベータが少ないな。非常階段だと登りきるまで何時間かかるか……。こりゃ戻るときも大変そうだ、さっさと二人を回収してどこかに避難させておかないと」


 看板を読み通路を進んでいくと非常時のため今は運航していない通学用バスが並ぶ。

 地下にある学校はどこも一つ一つに隣接した校庭があり、そこに避難してきた生徒が列を作って保護者が迎えに来るまで座って待っている。


 ――高層の学校は学校の専用のエレベーターがあるから、あんな人で混んではないんだろうな。帰りは警備兵ってのを使ってそっちに乗せてもらうか。



 学校へと到着するとシマは教師に事情を放し無線を使って移動中のミナモとも話をさせ説得、シズクとツユの二人を連れて通路へと引き返す。


「二人とも手を離すなよ、こんな人の多い状態で迷子になったら見つけられる気がしないからな」

「どこ行くのー?」

「お姉ちゃんは―?」


「ミナモは仕事中だ、いい子にしてればすぐに駆けつけてくる」

「わかった、いいこにしてる」

「お兄ちゃんは仕事中じゃないの?」


 シマは二人の手をつなぎエレベーターホールへと向かう。



 畑道を走りシマが送ってくれた軽装甲車の乗って防壁に到着したミナモたち。

 外につながる門の開くまでの間にミナモは新人二人のほうを見た。


「シアさん、アカバネ君、ボクは二人の戦い方知らないから防壁を出たらボクは一人で戦う、隊長もすでに戦場に出てる。合流してもいいけどたぶんボクと同じことを言うよ二人も各自で判断して戦ってね」

「え、いや待ってください。特定危険種もいるんですよね、隊でまとまって行動しないと」

「その通り、情報の限りだと複数の生体兵器が襲ってきている。橋梁して確実に数を減らしていかないと、しかし私は整備士でまともには戦えない、私たちは戦闘経験の少ない新人でギンセツと協力してもらわないと」


「数はどんどん増えているから隊で一匹ずつじゃなくて一人で一匹ずつ倒していった方がいい。特定危険種はほかの精鋭に任せてボクたちは普通の生体兵器の相手だけをすればいい」

「シヤさんは防壁で待っていてください」

「でも大型のエクエリが二つじゃ、火力はあっても仕留めきれなかったら距離を詰められる。小型のエクエリが必要だろう?」


 話の途中で通信が入る。


『門の前の安全を確保しました。車両が通れる分だけ開きます、出ていったらすぐに閉めますが大丈夫でしょうか?』

「ええ、それでお願いします。葉欄隊出撃します」


 門が開き始めると車を発進させた。


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