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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
10章 身も凍る荒波をすすむ ‐‐深紅の冷海の嵐を抜けて‐‐
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帰港 3

 いつまでたってもアオイとソウマが来ないのでとうとう迎えに行かされるリアス。

 タブレットはどこに行く時でも手放さず、見ていない間も艦内とほかの都市戦艦から情報が送られ続けてくる。


「やれやれ、二人は伝えてくれなかったのか。私もあの二人と一緒に行っておけばよかったのか?」


 椅子に座って海を眺めている白髪交じりの老人を見つけ挨拶へ向かう。

 老人はリアスに気が付くと椅子から立ち上がる。


「副艦長じゃねぇか、まだあちこち壊れててこんな忙しいってのに艦橋から出てきていいのか、それとも長丁場になるから先に休憩か」

「主砲の操作お疲れ様です。指揮室からの配線が切れていたので砲室で待機していただき助かりました。今の私は休憩というより今はお使いに近いですね。艦長のお願いでアオイとソウマを探しているところです。見かけませんでしたか」


 アオイたちの居場所におおよその見当はついていたが一応は尋ねてみる。

 周囲の景色は損傷した艦を修復する船員ばかり、護衛艦の艦内から吹き出た煙は消え今は応急修理の火花が散っている。


「そうか、見てねえなこっちにはいねぇぞ。俺にできるのは主砲の操作だけだからな、砲室で生体壁が来るの待ってたがきやがらなかった。ああそうだ、あの餓鬼ども怪我はしてないのか」

「ええ、大丈夫です。多少の擦り傷はあったかもしれませんが元気そうでしたね、彼らはそちらとは正反対、生体兵器に何度も鉢合わせたみたいで大変でしたけど」


「そうかい、船内には多くの生体兵器が入り込んだと聞いて持っていたが、こっち来てくれなくて残念だ。おかげでまだ生きなきゃならねぇからな、仲間やばあさんと再会も先延ばしになっちまった」

「そうですか、ですが戦闘で何人もの犠牲者が出ておりますのでそういった不用意な発言はしないように。今の発言は聞かなかったことにしておきますね」


 頭を下げその場を離れるリアス。

 その後艦内を歩いて作業をしている船員たちに挨拶をかけていき、予測ではアオイたちのいる階に着く。

 そんな時タブレットが光る。


『リアス様、旗艦クズリュウから、ハチノヘ、ヨツハ、ミカヅキに被害状況の報告と応急修理のためどこかで停泊するとのことです。艦長には既に報告をしています、リアス様にもご確認を』

「わかった、後で読む」


 扉の開いた部屋を通り過ぎていきアオイの部屋を軽く除くと扉のしまったソウマの部屋の前に立つ。

 ノックをするが返事はない。


「扉が開いているからアオイに部屋にはいないな。ミカヅキ一応聞くがカメラに4人の姿は」

『ありません』


 それを聞いてから扉を開け部屋に入るとすぐ床やベッドで寝ているアオイたちを見つけた。


「ぐっすり寝てるか。夜通しに作戦だもんね……さてどうしたものだろうか起こせばアオイに文句を言われるだろうし連れて行かないと私は戻れない。というかソウマくんがいない? アオイと同じベッドか? ……あ、ベットの溝に丸まっている」


 アオイの眠るベットに腰を下ろすが起きる様子はない。

 タブレットについているカメラで写真を撮り、無理に起こすか後で話すかと質問文とともに艦橋へと送る。


「みんな気楽なものだ、戦闘が終わったとたんすべてが終わった気になってぐっすりと」

『もともと、アオイ様ソウマ様はゲストとして戦う訓練を受けていませんでしたから体力の限界なんだと思います。リアス様はお休みにならないのですか』


「徹夜の作業は慣れている、夜はいろいろ思い出すから薬がなければ日が高く昇っていないと眠れない」

『記録にありましたのに申し訳ございません』


「送られてくる情報が多くて処理に負荷がかかってるか、もう無駄話に付き合わなくていい。ミカヅキ、今は処理を優先に、舵を預かっている周囲の護衛艦との衝突をおこされても困る、アオイと話しているからよその都市戦艦よりよく喋る、それでその分無駄に負荷をかけているのだろう」

『容量、電力ともに余力はあります。平気です、クズリュウからの指示でこの先に見える島影で停泊、ヨツハ、ハチノヘの推進機関の修理を行うそうです』


 タブレットに送られてくる情報と艦長からの返事を見て眉を顰める。


「わかった。都市戦艦は修理後また海洋に出ないといけないし、密航してきた二人をシェルターのほうのクズリュウに届けなければならない、王都への報告はクズリュウが行ってくれるかもしれないし報告を聞くうちが一番損害軽微だからこっちが行くのかもしれない、この後もやることはたくさんあるってのに。食堂で私もゆっくりしたいなぁ」

『食糧庫も襲撃を受け備蓄の3割がやられています、生産施設、浄水施設や発電施設は無傷ですが』


「まだまだやることは多いのに……ま、今は艦長からの指示で二人の寝顔を撮らないといけない。それが終わったら艦内を歩き回る、人手が足りない場所があるなら情報を集めておいてくれ」


 空を支配する生体兵器の一つ、多くのシェルターを堕とした災害種の脅威は消えた。

 深い傷跡を残していった災害種シュトルムはその巣ごと排除され、時期に災害種のリストから名前が消えるだろう。

 それはまだ多くいる災害種のほんの一角だが。


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