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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
10章 身も凍る荒波をすすむ ‐‐深紅の冷海の嵐を抜けて‐‐
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嵐を晴らす砲撃 3

 ソウマもアオイも生体兵器を探すため双眼鏡を除く。

 生体兵器に追われ艦内を移動していた時もずっと続いたであろう空へと飛んでいく多くの光の弾。

 すでに空は明るくなり始め知らないうちに日が変わっていたことを知る。


 視線を下に下ろし空ではなく海を見ると随伴するどの船にも落ちてきた瓦礫が大穴を開けている。

 その穴から黒煙を上げている船も珍しくはなかった。

 数キロ先に見える島から飛び立つ生体兵器群数は多くはなく戦力の大半は先ほどまでの戦闘で落としたものだと思われるがそれでも数百はいる。


 空中で旋回し隊列を整え向かってくる前にミサイルが飛び立ちそれらを撃ち落とそうと島へと向かって飛んでいく。


「姉さん双眼鏡から離れるかサングラスつけて、ミサイルが飛んでった」

「護衛にいた船が何隻かいないわよ? え、沈んだとかじゃないわよね」


 生体兵器を見ていたソウマと違い周囲の被害状況を見ていたアオイが声を上げる。

 戦闘が開始し都市戦艦内に生体兵器の侵入それから艦内戦闘で持ち場を離れて逃げ出す前に見た陣形と変わり護衛艦の姿が何隻か減っていた。


「姉さん後ろに一隻都市戦艦が、速力が落ちて戦列から離れたみたい。それを守りに行ってるみたいだよ」


 見れば生体兵器もミカヅキを含めた都市戦艦三隻が密集している場所より、少し遅れてついてくる速力の落ちた都市戦艦のほうへと向かっていき依然として何匹も船にとりついていく猛攻を受けていた。


 攻撃をかいくぐり船にとりついた生体兵器を付近の船がエクエリで撃つ姿は、互いに船を沈めようと争い撃ち合っているようにしか見えないがエクエリの弾は金属には効かない。

 二人が双眼鏡を除いている間にも二隻が船速を落としミカヅキのもとを離れ遅れている都市戦艦のほうへと向かう。


「姉さん、こっちに生体兵器が飛んできている。早く狙って、また艦内戦闘にはなってほしくない」

「そうね、ちょっと周りを見回していたわ。ところでさっき騒いでいたすたーさーくるとやらはどれのこと?」


「もうミサイルで落ちたんじゃない? というか、ミサイル、生体兵器が体当たりしに行って被害を小さくしている」

「ミサイル高いのに、ああもったいない」


 飛んでくるミサイルに小型の生体兵器がとりつき姿勢制御の翼を破壊し、ミサイルは狙った場所へとは向かわず海に落ちそこで大きな水柱を上げる。

 目標へとちゃんと飛んで行ったものは少なく、大半はぶつかった衝撃でミサイルが爆発を起こし周囲を巻き込んで衝撃波が襲い次々に海に落ちていく。


「また落とされた、島まで届かないか……あ、姉さん大型! 大型の生体兵器がこっち向かって突っ込んできてる!」

「どれどこ! 来てるだけじゃわからない、ちゃんと場所を教えなさ……見つけた!」


 シンジュガイの砲台エクエリがぴたりと生体兵器の頭へと狙いをつける、その狙いは瓦礫を持った大型の生体兵器。

 引き金を引けば重力に引かれない強力な光の弾丸が狙った場所へと確実に飛んでいく。


 アオイがエクエリの砲弾もしっかりと生体兵器へと吸い込まれるように飛んでいった。

 回避されることはなくしっかりと頭の中心へと命中、だが生体兵器は落ちることなくまっすぐ都市戦艦へと向かってくる。


「効いてない! なんで」

「頭だけ色が違う、姉さんあいつ頭に泥つけてる、それでだ、羽狙って、羽! いくら何でも体全体には付けられないはずだから、羽ばたく翼ならつけてても取れるだろうし」


 空を飛ぶための軽量化に骨にまで穴の開いている強度の脆い体、それなのにシンジュガイの砲台エクエリが傷一つつけられなかったことに驚くアオイ。

 ソウマが冷静に分析し目などより当てやすい場所を提案、アオイがすぐに狙いを修正する。


 次発、生体兵器の翼の付け根に命中、被膜が裂けて片翼がもげる。

 片翼ではどう羽ばたいても体勢を立て直せず、片翼だけ受ける空気抵抗で回転しながら海面にたたきつけられた。


「やったわよ、見たわねソウマ」

「姉さん次、今のやつから右に20、上に50、ちょっと遠いけど射程距離に入るまた大型」


 双眼鏡に着いたメモリを言われたとおりに合わせそこにいる生体兵器を狙う。

 上空を飛びまだ小さいがその姿はしっかりと見える。


「大型? それにしては大きくない?」

「大きいから大型って言ったんだけど」


 次に狙った大型の生体兵器、もちろん足には落とすための瓦礫を持っている。


「いやそうじゃなくて」

「ん?」


「あれ大きいわ」

「何言ってるの姉さん」


 生きている限り成長を続ける生体兵器の体にそのため隙間が大きく開いているが、当時はしっかり体を覆うように設計されていた錆びついた鉄板がその体を覆う、その姿は資料や戦場跡地で見ることのできる戦闘機を思わせるもの。

 その錆びついた羽にはところどころ掠れ汚れているが黄色い星が円を描くように並ぶイラストが描かれていた。


「あれがたぶん」

「スターサークルね、ただの生体兵器と変わらないけど名前がついてるってことは特定危険種なのかしらね」


 よく見ればスターサークルの周りには護衛が付き守るように飛んでいる。



「まって、あれ……あれ、たぶん。ミサイルよ」

「え」


「あいつ、ミサイル持ってる! 気化弾頭の」


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