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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
2章 迫る怪物と挑み守るもの ‐‐私情の多い戦場‐‐
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シェルター防衛、1

 東の地、キノウラシェルター付近、茶色く枯れた草を踏みつけ一般兵だ必死に戦場を走っていた。

 土色のつなぎのような戦闘服にプロテクターをつけたの赤い腕章をつけた一般兵の隊長の男が、倒れている部下に肩を貸して走り出す。

 彼らが戦っている細長いシルエットは5つ、すべて同じ種類の動物型の生体兵器。


 多くの一般兵と戦闘車両が防壁の外に出たが逆に返り討ちにあい、戦闘車両は皆その機動性についていけず翻弄され武装を破損させられ無力化され逃げる歩兵を置いて撤退している。


 すでに生体兵器を倒そうとシェルターの内側から出撃した兵士たちにかなりの被害が出ていて、一般兵はすでに戦意を喪失し助けられる味方を助けながら撤退を始めていた。

 彼らの目指す先にはシェルターを守る大きな外壁、その外壁とシェルター内部をつなぐ大きな扉、それが彼らの言う大扉。


 隊長の肩を借りながら部下の男は片足を引きずりながら大扉へと向かう。

 彼らの目の前に見えるシェルターの外壁、生体兵器から人々を守る最後の盾には多数の砲台が付いており、今も撤退を援護するため生体兵器に向かって砲撃を続けていた。


 防壁にある砲台は戦車に乗せられているものと同じ火力のエクエリで、そこから放たれる光の弾が撤退する一般兵たちの頭上を飛ぶ。

 光の弾の着弾点に爆発などはなく、生えている草木を焼き灰に変え地面を白っぽく変色させる。


 防壁からの距離のある砲撃の攻撃は着弾までわずかな時間があり、その間に生体兵器に回避されて一発も当たっていなかった。

 生体兵器は彼らの真後ろまで外壁からの攻撃をよけてやって来る。


 二人と生体兵器との距離数メートル、ここまで来てしまうと味方に当ててしまわないようにと防壁からの砲撃は消極的になっていた。

 したがって今彼らは誰の助けも受けられない。


 兵士たちは二人は同時に悲鳴を上げながら生体兵器に向かって黄土色に塗装された金属の塊、対生物壁用兵器、エクエリ、正式名エクセプション・エリミネーターを構えそれを乱射する。

 生体兵器の頭を狙った銃口から次々と光の弾丸が放たれるが、それを生体兵器は見て避けた。


 その間に兵士二人は攻撃を続けながら後ずさり少しでも生体兵器から距離を取り大扉へ向かっていくが、途中で隊長の男が石に躓き部下とともに二人同時にしりもちをつき、同時に二人の銃口が上を向いて左右に飛んで光の弾丸をよけていた生体兵器は自由になる。

一般兵の目の前までやってくると生体兵器は鎌のような爪のついた両腕を振り上げ、そのまま後ろに倒れる。


尻もちをついた一般兵たちは何が起きているかわからず、目の前で突然倒れた生体兵器を見つめていた。



 そこへ駆け足で現れた周囲の一般兵の戦闘服とは違う服装の男女。


「やっぱ、楽に倒すのは獲物に夢中になっているときに限るねぇ」

「おじさん達大丈夫? マジでごめんね、私たち休暇中だったから、支度に時間かかっちゃって」


 倒れている一般兵二人が体を起こし振り返ると、そこには黒色のスーツを着た男と同じく黒色のブレザーを着た少女がいた。

 色は同じでも服装のデザインがは違うが両者とも精鋭特有の隊の名前と同じ花の形に作られたバッチをつけている。


「大丈夫か? シェルター防衛任務お疲れさん、そこでゆっくり休んでな。もう少し進んだところに俺っち達が乗って来たジープあるから落ち着いたらそれに乗って帰りな。後は俺っちたち蒼薔薇隊にお任せってね」


 黒を基調にしたスーツをボタンを開けて着ている彩度の高い金髪、垂れ目の男は、そういうと倒れた生体兵器に近づきエクエリを数発撃ち込んで生体兵器が息絶えたことを確かめる。


「まぁ、そうはいっても隊長は会議だし、副隊長は報告書書いて昨日徹夜でまだ寝てるし、一人は迷子で来ないだろうから。蒼薔薇隊って言っても私たち二人だけどね。とりま心配しないでください、マジ速攻で終わらせますんで」


 黒を基調にしたブレザーの下に灰色のパーカーを着込んだ緑髪の不機嫌そうな少女は、目元にかかる緑色の前髪を左右に分けヘアピンでとめるとエクエリを構え周囲を見回す。


「にしても男を助けるのは気が進まないなぁ」

「うざいから、いちいち文句言うなし。ていうか今仕留めたのわたしだから、何言ってんの?」


 黒い服の精鋭は、生体兵器の意識が一般兵に向けられている間の隙をついて攻撃し的確に弱点を突いて一撃で倒した。

 しかし、今のは運が良かっただけ、たった二人加勢に来た程度で残り四匹の生体兵器が止められいと周囲の一般兵は加勢せず撤退を続ける。


 生体兵器はとても俊敏で至近距離からの攻撃をよけるほどだ、今の一匹にした不意打ちとはわけが違う警戒されてしまえば四匹まとめて相手をしなければならない。


「増援……なのか……?」


 現状をゆっくりと理解し始めた一般兵たちの質問に答えることなく、金髪の男は残り四匹の生体兵器に向かって走り出した。


 一般兵は10人以上からなる班で生体兵器と戦かう。

 精鋭は一隊、数人係で生体兵器と戦う。

 しかし、彼らは二人、しかも隊長と副隊長が不在だという。


 その言動に一般兵たちは逃げながら振り返り不安げな表情を浮かべていた。


「ちょっとトガネ先輩……ったく。すぐかたつけちゃうんで、その怪我してる人の看病でもしててください」

「俺っちは男の面倒は見ないの、助けただけでも奇跡に近いよ」


 緑髪の女性シジマ・ライカも生体兵器を倒すため、先を走る明るい金髪の男性ムギハラ・トガネの後を追う。

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