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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
10章 身も凍る荒波をすすむ ‐‐深紅の冷海の嵐を抜けて‐‐
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艦内戦闘 5

 隔壁の内側で生体兵器が通り過ぎるのを待つ二人は、壁にもたれかかりにげ出す時を待っている。

 生体兵器に破壊され隔壁に空いた穴から外の様子をうかがう。


「こっちは電気壊されて通路が暗くてよく見えない、でも音は聞こえないから生体兵器はいないと思う」

「早くしたに逃げないとアラタが無事逃げられたかここからじゃわからねぇ」


「ミカヅキが戦闘モードに入ってる限りは、緊急措置以外は何を支持しても受け付けてくれないからなぁ」

「でももうその報告も終わったぞ? 相変わらず戦闘は続いているみたいでどこからか声が聞こえるけどな」


『ソウマ様、シンヤ様』


「ミカヅキ!」

「お、なんだ」


 天井のスピーカーを見上げる。


「ミカヅキ、静かになったけど戦闘はどうなったの、姉さんやお父さんは無事?」

「アラタは無事なのかよ、なぁ?」


『アラタ様はリアス様たちと行動を共にしており無事です。ですが、アオイ様が現在生体兵器に追われる身となっておられます。こちらで足止めは行っていますがなすすべなく、一番近くにいたのがお二人だけなのです。現在この場所に向けてナビをしていますが、アオイ様を助けるためにご協力ください』


「姉さんが!」

「くそ、助けえねえと、まじかよ生体兵器とまた戦うのか」


 アラタが無事と聞いてほっとするシンヤだったがそれでもアオイが生体兵器に追われていると聞いて息をのむ。


「さっきあれだけ怖かったんだ、姉さんは一人でエクエリも持ってない」

「ああわかってる、急がねぇと」


 穴の開いたほうの隔壁が開く。

 凹みゆがんだ隔壁はきちんと上がらず半分ほど開いたところで止まるが二人が外に出るには十分なほど、身を低くして首のない生体兵器期の死骸が落ちている暗い通路に出ると耳を澄ませた。


『艦内カメラで生体兵器の位置は大体把握できています。この付近にはアオイ様を追っている生体兵器以外折りません、お早く』

「この先階段だけどとりあえずどっちへ行けばいいの、上? 下?」


 アオイの危機と知って焦り駆け出すソウマ、一人で先に行ってしまう彼をシンヤが止める。


『上へ、艦首エントランス方面へとお向かいください。息が上がり徐々に速度が落ち、アオイ様の体力が限界を迎えつつあるようです。迎えに行かないとここまで自力で来ることはできないと思われます』


 一刻も早く助けに行きたい焦るソウマを押さえつけるのは重量でやはり足かせとなる大型のエクエリ。


「まてソウマ、俺の持ってるこいつが重いの忘れてるだろ。お前は一人でつかつか行けるかもしれないけど俺走れないんだよ! 捨てて行っていいなら置いてくぞ!」

「もう、姉さんが危険なんだから早く。それがないと生体兵器倒せないんだから!」


 一人で運ぶのが困難な大型のエクエリを二人で支えて足音の響く暗い通路を進む。



 電源が落ち赤色灯と誘導灯の明かりを頼りに走るアオイ。

 すでに元気はなく壁に手をついて歩くより少し速い速度で走る。


『生体兵器が迫ってきています、このままの速度ですといずれ追いつかれます』

「アラタちゃんを連れて、上に下にと、生体兵器に怯え、上の階からも落ちて、私の体、ボロボロ、怪我をしていないのが不思議なくらい」


『助けが来ています、もう少しだけ頑張ってください』

「私、死ぬわ、きっと。でも生きたまま食べられたくはない」


 ゆっくりと逃げるアオイの後ろで隔壁が閉まった。

 そのさらに後ろでは金属の裂ける音が連続して聞こえていて、それは生体兵器によって閉じた隔壁が次々に破壊されていく音。

 額に書いた汗をぬぐうと隔壁のしまった道を振り返る。


「さっきより音が近くなってきてるわ。あの生体兵器は私のこともう見えないはずなのになんで追ってきてるの?」

『おそらくはアオイ様の服に着いた生体兵器の血なのかもしれません。隔壁二枚裏まで迫られています、防火扉は強度が足らず大した時間稼ぎになりません』


「終わるのね、アラタちゃんやシンヤ君とか、新しい友達ができてうれしかったわ」

『広い通路に出れば、コイルガンや遠心銃などがあります。生体兵器をしとめることはできなくても弱らせることはできるはずです、そこまでお逃げください』


「毎度不思議に思うけどなんでそんなものが艦内にあるのよ」

『シェルターでの暴動、襲撃に備えての過去の対人殺傷兵器です。今は使用を封じられていますが生体兵器への使用はできます。通路に出られましたら艦首のほうへエントランスへと向かってください』


「はいはい、だったら、動く歩道くらいつけてくれてもいい気がするのよね」


 細い通路を抜け生活用の広い通路にでる。

 すでに艦内の対人兵器は生体兵器の迎撃用にアオイのほうに銃口が向けられていた。


 大昔都市戦艦建造中、国が壊れた際に都市戦艦の乗っ取りなどが行われた場合を想定し対人用の武器が搭載されていて、細い通路に入れば隔壁で幽閉し捕縛、広い通路での徹底抗戦に備えてのこれらの武器。

 高速回転し弾丸を飛ばす壁から半円飛び出た円盤状の遠心銃、電力を消費し電磁力を頼りに高速で鉄塊を飛ばすコイルガン、それらは見通しのきく広い通路に配置されている。


「私ごと撃ったりしないわよね」

『そのために、早くお逃げください。ここから先、隔壁ではなく防火シャッターのみですそのため防御能力は目隠し程度にしかなりえませんアオイ様』


 アオイの後ろで遠心銃が回転を始めた。

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