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怪物に支配された世界を取り返す 作者:七夜月 文

すべてを壊した怪物 -グール討伐戦場跡地攻撃作戦-

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序章

実際そんな動きしねぇよみたいな動きをしたり
大きくなった分体が重くなり動きが鈍くなるはずが、むしろ筋力増強や骨格強化でスペックが増したり都合よく改変されたり
15キロ以上の重さの生き物が滑空飛行ではなく自力で空を飛べたり
体重に対してピョンピョン飛んだり跳ねたりして重力が仕事しなかったり
巨大化した昆虫や甲殻類が自重でつぶれたりしない世界。

そのあたりの突っ込みはなしの方向で。
 人が星の頂点に君臨している時代が終わって幾年月。
 時代は生体兵器との人類存続を懸けた戦いを送っていた。

 対人、対空、対物、対陣地、対生体兵器、多様なまでに存在する生体兵器。

 種類によってはその皮は厚く刃を通さず、
 種類によってはその鱗は硬く無数の銃弾をはじき、
 種類によってはその皮膚は柔軟で砲弾の威力を飲み込み、
 種類によってはその殻は頑丈で絶え間なく続く爆撃に耐えたという。

 その種類は4桁以上だといわれている。

 驚異的な生命力と治癒能力を持つ兵器の名を持つ怪物たちに、対人兵器は有効的ではなく人類は圧倒的に戦力が足りなかった。
 元々に立ち向かおうなどと戦意を持たせないように禍々しく生まれたそれらは敵として現れ惨たらしく人を殺す。
 お伽噺のドラゴンのような生き物ならば倒せばそれなりの武勇にもなりそうだが、残念ながらゲームに出てくるザコ敵キャラや台所に潜む虫の如くふいに何度でもいくらでもどこにでも現れる。
 そしてそこで人や物に甚大な被害をもたらす。

 もっとも生体兵器は対人を最低限のラインで出来るように作られたのだから仕方がないのことなのだが。
 だがそれも新兵器の開発で一方的な虐殺や蹂躙ではなくなった。


 生体兵器とは何なのか。
 それは昆虫や動物など生き物を基盤に作られた巨大生物、人の手によって生み出された怪物。

 元々は植物などを、砂漠に森林を貧しい土地に豊かな作物をと開発していたが、技術開発が進むと次第に軍事転用されていく。

 それは身を守るためや食料を確保するために殺すのではなく、ただ壊しただ殺すだけの殺戮兵器として作った。
 そして兵士を戦場に送らなくて済むという安易な考えから世界中で開発競争が起きることになる。

 最初はどこだったかもう記録は残っていないが、どこかの国の研究所から脱走した生体兵器が国の国境を越えたことから世界を、この星すべてを巻き込んだ戦争が始まった。

 兵器といっても所詮は生物、開発者たちはそれを知っていたはずなのにとある事を怠った、それにより生体兵器は敵国で繁殖、生息範囲を拡大し他国を飲み込み、何倍もの数に増え自国へとなだれ込んだ。

 そこからは生体兵器に有効的な兵器が開発されるまで、生体兵器を駆逐するために各国がさらなる生体兵器を作り出すことになる。
 しかしそれも一部が野生化、より強い生体兵器が野に放たれるという悪循環を生んだ。

 地形、環境、気候によって、多種にわたって作られた生体兵器に飲まれ世界は、魔界へと変貌した。
 さらにそれらは独自に適応と進化を続けている。

 狩られ駆除され飼育されていた存在は大きく形を変えてその復讐を始めた。
 希望と絶望が極端な比率で交じり合う世界で彼ら彼女は生き残るために戦い、何かを守るために命を懸ける。


 ーー


 かつて秀でた技術力を持った島国として存在していたこの土地も、自国や他国の生体兵器が我が物顔で闊歩する世界の一部となっていた。

 膝上まで伸びる草をかき分けながら遠くに見える巨大な石の壁に向かって歩いている男女。
 二人が向かう先には残った人類が作った生体兵器から身を守るための空間、シェルター。
 あちこちに点在しその壁は生体兵器の侵入を防ぐ。
 しかしその壁の防御力は防ぐ程度にとどまり撃退あるいは仕留めるということはできず、彼らはそこへと向かいシェルターの危険となる生体兵器を狩る職業をしていた。

「結成から半年そろそろ生体兵器との戦いにも慣れてきたことだし前線基地に行ってみたいんだけど、どうかな? だってさ、いまメール来た」

 毛先のはねた眠そうな少女が武器をわきで挟み手にした携帯端末を操作しながら幼馴染の同僚に話しかけた。
 国の崩壊で残された人々たちは一度は大きく文明のレベルを後退させたが、生き残ったシェルター同士の連携で再び残された人類は失いかけた技術を発展させている。
 生体兵器を倒す武器や彼女使う携帯端末などもその成果。

「どうかなって、俺もだいぶ戦闘には慣れてきたしいつまでも倒し損ねた弱った生体兵器の追撃をするってわけにもいかないだろ。イグサはどうなんだ?」

 彼女と同い年ながら若干疲れからか実年齢より老けて見える少年が彼女の顔を見て返事を返す。
 生体兵器と戦う武器は精密機器でありその重量は手で持つには少し重い、探しているものの付近に姿はないが、だからと言って武器を手放しで歩ける状態でもなく腰のホルスターにしまうわけにもいかない。
 警戒半分ダルさ半分といった様子でだらりを武器を下に向け、家に帰るような足取りで二人は探し物を続ける。

「んー? まぁ何とかなるでしょ。私的には早く各地のシェルター巡りをしたい。前線基地に行くってことはここから離れられるんだよね? ここ特にみる物がなくてつまらないの」
「前線基地はシェルターを守るために作られた砦だぞ? まっすぐ前線基地へ向かうならシェルターには立ち寄らないかもしれない。それに生体兵器の戦闘回数も増えるはず」

 彼等のかき分け踏みしめる伸びた草にはドロリと黒い液体が点々と続いていた。
 しかし次第に地面に残る斑点の感覚は開いていく。
 出血のし過ぎで血がなくなったのではなく、血が固まり止まりかけている。

「そうなの? またおあずけ?」
「俺たちは生体兵器と戦うためにいるんだから仕方ないだろ、血が止まった生体兵器は戦闘区域に戻ってるみたいだし、とりあえず向こうを探している隊長と合流しちまおうぜイグサ」

 二人の先には大きな影、致命傷を避けながらも全身に攻撃を受け満身創痍ながらも戦闘を続けようとする破壊の化身の発見に、二人の体に力が入りだらりと降ろしていた武器をいつでも攻撃できるように構えた。

「あ、いた。やっぱり戻ってきてたみたいだね。歩いてもあの速度なら追いつきそうだけど、どうするコリュウ? 走る?」
「生体兵器は逃げない……生物としてじゃなくて兵器としての面で、一人でも多くを道連れにしようとするんだっけか? 歩くのがやっとの化け物が戻ってきて何をするんだか、このまま戻ってもハチの巣にされるだけだろ」

「生体兵器の不思議の一つだよね、瀕死でも決して攻撃をやめることはない死んでも死ぬ気で殺しにかかってくる攻撃性。まぁこれなら私だけでも倒せそうだね」
「じゃ、仕留めるか。近づきすぎるなよ、近すぎず遠すぎず倒すぞ」

 初陣のようなそのおぞましい姿を見て恐怖しパニックを起こすことはなくなり、死にかけとはいえ一撃で人を殺すそれに適度な緊張をもって二人はその怪物へと向かっていく。
 その一匹を倒したところで世界に大した影響はないが何事も小さなことの積み重ねである。
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