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6話 旅の始まりと進路と

「どうも、ありがとうございました!」


よし、これである程度の物は買えたぞ。

流石最初の街、物価が凄い安いな。…いや、まあ買える物もたかが知れてるけどな。


とりあえず、所持金的に装備品の新調は無理と判断して、道具屋で最低限の回復薬やその他異常状態を治す道具、調合レベルの低いアイテムを作れる簡易生産キットを、食材屋で携帯食料と水筒、料理に必要になるであろう味付け用の塩や砂糖も買っておいた。所持金の方は…ほぼ0になってしまったな。まあ何とかなるだろう。


さっきライカとフィールドに出ていた時はスルーしてたが、このゲーム内で重要なパラメータに空腹度と給水度という物がある。生物は皆、物を飲み食いしないと生きていけない訳であり、このゲームにおいても適度に飲み食いをする必要がある。

空腹度は何かを食べる事によって、給水度は水を飲む事によって回復できる。空腹度も給水度も三割を切った地点でステータス減少や空腹、渇きといった異常状態になり、ゼロになると徐々にHPとMPが減ってしまう。ゲージの減りは所持アイテムの重量や装備、戦闘の有無によって大きく左右される。ただ何もせずに居れば殆ど減る事は無い。(ただし給水度は減る)

…いやな、俺もこれさっき気が付いたんだよな。ふっとステータス画面開いたら、ゲージが半分切ってたからあわてて携帯食料を食べて回復させた。ちなみに携帯食料は乾パンみたいな奴だった。味?美味しくないわこんなの。


「さてと、準備完了したしそろそろ出発するかな。」


俺は同じく道具屋で買った簡単な地図を見る。


アインスの街は平原のど真ん中にあり、東西南北にそれぞれ道が伸びている。

北側は山脈へと続いていて、ここの敵は強すぎて攻略組も足を踏み入れてはいない。

南側は初心者の狩場になっている。その奥には森が続いているらしいが、あまりにも広い為に探索は難航、一部の物好きなプレイヤーしか足を運ばないエリアになっている。

東側が正規ルート、石畳の道を進むと第二の街のツヴァイにたどり着く。

西側にはダンジョンがある。その名も『手慣らしの洞窟』。その名のとおり、ダンジョンのチュートリアルが学べる場所になっている。


…ふむ。普通なら第二の街に行くべきなんだろう。…が!


「普通とは違う選択をしてみるのもいいかもしれないな!」


と、俺は地図を見ながらうんうんと頷く。よしよし、進路は決まった。

食料も地図も持ったし、一通りのアイテムは買い揃えたから抜かりはない、行くぞ!





「さて、ここからだな。」


俺はアインスの街の南側、初心者が集う平原の奥に居た。

モンスターを取り合っている初心者たちを尻目に俺は一人で先へ進み、ライカと二人でモンスターを狩っていた場所へと戻って来ていた。


辺りを見渡すが、今のところモンスターの気配はない。

さっきのレベリングでアビリティやスキルのレベルが軒並み上がっている。グラスウルフ以外なら問題ないだろう。

そのグラスウルフに遭遇する可能性はあるが、そもそも姿も見た事が無いのだ。戦ってみなければどう強いのか、どう厄介なのかなんて分かりはしない。百聞は一見に如かず、だ。


「しっかし広いな。森なんて見えないぞ?」


俺はただっぴろい平原を一人でトボトボと歩く。徐々に減る空腹度と給水度を回復させながら、たまにエンカウントするモンスターを狩って進む。


ここら辺はプレイヤーも少ない。ちらほら遠くの方に見えるのは恐らく、ルーキーを卒業した正規ジョブのパーティーだろう。


「おーい、そこの君ー。」


「え?はい?」


トボトボと歩いていると声を掛けられた。振り向くと、一人の背の高い赤色の髪の女性が立っていた。

着ている鎧は金属製の胸当て。腰には剣を二つ下げている。ふむ、二刀流の剣士か。


「君って一人かな?ここまで一人で来るなんて結構凄いと思うけど?」


「ええ、まああちこち行ってみようかなと思いまして。」


「あー、なんとなく分かるよその気持ち。でも、装備も貧弱だしソロでここは危ないよ?グラスウルフが襲ってくるかもしれないし。」


…まあそうだろうな。

俺だって、こんな場所でルーキーが一人で初期装備でブラブラしてたら心配するわ。


「大丈夫ですよ。うまくやりますから。」


「うーん……そう?何か困った事があったら言ってね?私もソロだから、もし気が向いたらパーティー組んであげるよ?」


「ええ、ありがとうございます。その時は是非に。」


手を振りながら去って行く女性を見送りながら俺も森がある方へと歩みを進める。

いい人だったな。あの人もソロって言ってたし…って事は案外強い人なんじゃないか?

まあここのモンスターも街周辺のモンスターと同じだからソロでも狩れるだろうけどな。


さて、と。地図によればこのまま行けば森にたどり着くな。森についての情報も出現モンスターも全く何も知らないけど。…まあ死んだらその時はその時だ、デスペナルティをちょっと食らうだけだ。


「…ん?もう夕方になるか。」


ふっと空を見ると、太陽が傾き始めていた。ゲーム内の時計を見ると、時刻は午後五時三十分を指している。後一時間もすれば、辺りは暗くなるだろう。


…マズイな。

このゲームでは、夜になるとモンスターの一部が凶暴化したりアクティブモンスターがさらに活発になったりとモンスターが強化される。

強引に狩るならパーティーを組んで安全を確認しながら狩るのが一番だが、大抵のプレイヤーは宿屋へ戻って翌朝を待つ事になる。


「少し急いだ方が良さそうだな。」


俺は少し歩くペースを上げる事にした。森の入り口付近には確かキャンプがあった筈だから、そこで夜を過ごそう。




MAP機能は付近を歩く事で自動的にマッピングされます。(オートマッピングの事)

地図を買うと、簡単ではありますが全体図が表示されます。(しかし、最初の街で買えるような安物では詳細は確認できない)

つまり、MAP機能は近距離用、地図は長距離用という訳です。(ただし、MAP機能はオートマッピングが進めば進むほど普通の地図よりもはるかに優秀な地図になる。凄く時間食うけど)

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