99 映画「落下の解剖学」
こんにちは。
本日はこの映画のご紹介を。
某国営放送の番組でちょっと紹介されて以来、気になっていたこの映画。先日ようやく映画館で観る機会を得ました。
〇「落下の解剖学」(原題「Anatomie d’une chute」)
2023年製作
監督:ジュスティーヌ・トリエ
脚本:ジュスティーヌ・トリエ / アルチュール・アラリ
主演:サンドラ・ヒュラー
フランス 142分
ご存じのかたも多いかと思いますが、こちらは女性監督作品としては史上3作目となる、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したヒューマンサスペンス作品。このほか、第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しています。そのほか第81回ゴールデングローブ賞では最優秀脚本賞。
つまり、「脚本の妙」ですね。これに最も注目が集まった作品、ともいえるわけです。
拝見してみて感じるのも、やはりそれではあるのですが、いやもう役者のみなさんも本当に素晴らしかったですよ。
11歳の少年、ダニエル役のミロ・マシャド・グラネールさんがもう出色でした。彼は主役であるベストセラー作家の女性、サンドラのひとり息子であり、視覚に障害のある子どもとして登場します。
人里はなれた雪山にある山荘に、ベストセラー作家サンドラとその夫、そして視覚に障害のある息子ダニエルが飼い犬とともに暮らしています。
ある日、犬と散歩に出かけたダニエルは、父が家の外で血を流して倒れているのを見つけます。慌てて母親を呼び、救急車が呼ばれますが、父親はすでに死んでいました。
家の高い場所(2階あるいは3階)からの転落死、つまり事故か自殺のように思われたのでしたが、状況に不審な点が多く、作家サンドラは夫を殺害した疑いをかけられ、裁判になってしまいます。
最初のうちこそ仲睦まじく暮らしていたかのようだったこの家族。裁判が進むにつれて、この夫婦の間にあったドロドロしたどうしようもない感情や関係が暴き出されていくことになります。
裁判の場には11歳の息子、ダニエルも証人として、あるいは傍聴人として参席しているのですが、見ているこちらがハラハラすることばかり。一応、本人の強い希望があってこうなっているとはいえ、彼にとっては愛する父の変死であり、母が殺人の疑いをかけられているという、非常にストレスフルな状況にほかならないわけですからね。
サンドラの性的な嗜好やなんかまで赤裸々に暴かれていく過程の中に、11歳の息子が同席しているってどうなんよ……? ってなりました。
ああ、しかしあまり多くを語ると、こちらもまたネタバレになってしまう……!
それは大変マズいので、このあたりにしたほうがいいかもしれませんね。
いやでも本当に脚本よ! 脚本のすごみを感じる作品でしたわ……!
あ、けれどもあとひとつだけ。
こちら作品はフランス人の監督のものであり、フランスの作品ではありますが、作中ではしばしば英語が使われます。
というのもこの夫婦、妻のサンドラがドイツをルーツにもつ人、夫がフランスをルーツにもつ人であり、お互いの意思疎通のためにしばしば英語を使ってコミュニケーションしていたのです。
裁判はフランス語で進められるため、ついに苦手なフランス語では語りきれず、サンドラが「英語で話しても?」というシーンが。
やっぱりあちらの方でも、詳細な感情的な内容を伝えようとする際には言語的な不自由を感じる場面があるんだろうな~なんて、ふと思ったりしました。
ともあれ、やっぱり一見の価値ありの非常によくできた映画だったと思います。
よろしかったら、何かの機会にご覧になられたらいかがかと思いました~。
ではでは!




