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98 コミック「スキップとローファー」

 

 こんにちは。

 今回はたぶんはじめて、マンガ・コミックのご紹介です。ネタバレは回避しようと思いますが、まっさらな気持ちで作品をみたいという方はどうぞブラバをお願いいたします。

 今回こちらをご紹介しようと考えたのは、とくにこちら、今回の能登半島地震の地域ご出身の作家さまによる作品だから、というのが大きいのです。

 よろしかったらお付き合いくださいませ。


「スキップとローファー」は、高松美咲先生により、2018年よりマンガ雑誌「アフタヌーン」にて連載されている作品。現在も連載中です。

 人気作になって少し前にアニメ化もされた作品ですが、アニメになる以前から目をつけておりまして、ダンナとともに紙のコミックスにてずっと拝読しております。最初に見つけてくれたのはダンナのほうだったかと記憶しております。


 内容としては、田舎から上京してきた女子高生、岩倉美津未ちゃん(以降「みつみちゃん」と呼称します)と、その周囲の高校生やそのほかの人々の交流をえがくヒューマンドラマ。どろっとした部分もありながらもほっこり系。もちろん恋愛要素もあり。


 主人公みつみちゃんは、勉強こそできるものの、過疎地に暮らしていたためにちょっと都会の人とのコミュニケーションには経験値が足りず、難しさを感じているタイプの女子高生。少しばかり変人ではありますが、とにかくまっすぐで悪意がなくて努力家で、たいへん友達思いの優しい女の子です。

 彼女は出世街道をひた走る(笑)という個人的な目標のため、東京の優秀な高校へ進学することになり、田舎の家族から離れ、叔父の家に居候させてもらって通学しています。

 ところが当初からトラブル続き。入学式である初日から遅刻しそうになるわ、新入生挨拶の場であまりの緊張で衆人環視の中吐いてしまうわと大変な経験をするみつみちゃんでしたが、「ちょっと変な子」と思われつつも、彼女の人のよさを知った周囲の子たちが少しずつ彼女のまわりに集まってきます。


 ……と、こう書くと「よい人ばかりの心温まるハートフル作品」みたいに見えてしまうのかもしれませんが、そこはやっぱり「アフタヌーン」ですしね。人間の裏側というのか、ふだんは笑顔の下に隠している暗いドロドロした感情みたいなものも、ちゃんと逃げずに見据えて描かれているところが素晴らしいのです。

 もちろんみつみちゃん自身にはそこまでの内面的・恋愛的ドロドロはないのですが、周囲の女の子たちや男の子には、過去にいろいろあったりしてね……。今どきの高校生たちを等身大に描いていて、もやもやはありつつも最終的には心がほっこり、納得感があるところがすごい。本当に感情表現が丁寧なんです。


 特に、彼女に最初から興味を示すイケメンくんである志摩聡介しまくんは、過去に子役の仕事をしていて傷ついた経験から、いつもにこにこ人当たりはいいのに、人との距離を保っていてどこか冷めた目で人を見ているタイプの少年でした。

 そんな彼が、まっすぐであけっぴろげなみつみちゃんに少しずつ本気で惹かれていく流れがとても秀逸。それでいて、単なる恋愛ものには絶対にとどまらないところがもう本当に魅力的。


 ちなみに、みつみちゃんの叔父は女性の恰好をし、心は女性を自認する人。田舎暮らしのなかで(当時は詰襟の黒い学生服を着た姿で登場)やっぱりひどく心を傷つけられ、居場所のなさを感じていた……という方なんですが、このかたがとっても「空気を読む」ことに()けている。それで、なにかと人間関係で悩むことの多いみつみちゃんをそっと見守っていて、時には必要な手助けをしてくれたり、背中を押してくれたりするのです。

 そのさりげなさと鋭さが同居する感じが、とっても「スキップとローファー」らしいというか。


 作者の高松先生は、この能登半島地震のあと、SNSや新刊の巻末でコメントを出されました。

 先生の故郷である能登にはご実家があるわけですが、先生はこの地震でお祖父さま、お祖母さまを亡くされたとのことです。ご実家も全壊。

「スキップとローファー」に出てくるみつみちゃんの実家はそのおうちをモデルにされたものだということで、今回の新刊の売り上げの一部は震災への寄付にするとのことでした。


 あらためまして、震災でお亡くなりになった皆様のご冥福をお祈りいたします。

 そしてまだまだ、復興へのとっかかりにも至れずに苦しんでいる現地のみなさんに、少しでも早く日常が取り戻されていくことを祈ってやみません。同じように阪神・淡路で家が壊れ、親しい人たちが亡くなり、仕事を失い、水や電気やガスが通じずに苦労を強いられた経験をもつ地域の者として、わずかながらでも助けになれることを探していきたいと思います。

 これをお読みくださったみなさまにも、あらためまして感謝を。

 どうもありがとうございました。


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