88 映画「PERFECT DAYS(パーフェクト・デイズ)」
はい、観てきました。
いや、こちらもまた必ず映画館観ようと決めていた映画のひとつですが、なかなか時間が合わず、やっと今ごろでございます(苦笑)。
こちらの作品は、2023年にドイツ・日本で合同で制作されたものです。
監督はドイツの名匠、ヴィム・ヴェンダース氏。
舞台は東京。それも特に「THE TOKYO TOILET プロジェクト」なるプロジェクトで、いろんな建築デザイナーの手によって設置された東京・渋谷のオシャレなトイレが舞台となる作品。
すでにご存じのかたも多いでしょうけれども、主演の役所広司さんはこの作品で、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門における男優賞を受賞されています。
この賞は、19年前、「誰も知らない」でまだ当時は少年だった柳楽優弥さんが受賞して以来の快挙。
東京、渋谷の下町で、小さな古いアパートに一人暮らしをする男、平山。
朝起きてから毎日非常に規則正しく行動する人で、各地域の公衆トイレを掃除する仕事をしているのですが、そんな男が日々を淡々と暮らしている姿が丁寧に描かれていきます。
放っておけば、ただただその暮らしが続いていくとしか見えない毎日なのですが、彼の単調な生活をあれこれとかき乱し、狂わせてくるのは、彼に少しずつ係わってくる様々な人々。
それぞれに悩みを持ち、苦悩を抱えている様子があるものの、それらは詳しく語られません。
そうした人々の人生が、一瞬だけ彼の人生に重なりあい、まるで木漏れ日のようにちらちらと、また走馬灯のように通りすぎていく……。
なんといってもすごいのは、やっぱり役所広司さん。
平山にも、わざわざ人には言わない苦しい過去があるらしいのですが、普段はそんなものはおくびにも出さず、ただ淡々と公衆トイレを清掃し、食事をし、公衆浴場へいき、コインランドリーを使い……という毎日を送っています。そんな一人の男が、本当にそこで生きているようにしか見えない。
平山は、別になにか特別なことができる人物でもない。平凡で、ひたすら無口に毎日生活をしているだけの男で、変わったところがあるようには見えないのに、「確かにそこにいる」と観客に説得力をもって見せることができるって……。
すごすぎる。これしか言えん。
少しでも「演技」をやってみたことがある人ならわかると思いますが、これほんと、すさまじいことですからね……。
いや驚きました。本当にすごいです。
語彙力なくなってますね、すんません(苦笑)。
物語の結末は、ぜひ映画をご覧になって、ご自身それぞれで感じてほしいなと思いました。
ということで、今回はこのくらいで。
ではでは~!