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67 映画「シチリア・サマー」

 

 はいこんにちは。

 今回はがらっと変わりまして、映画のお話~。

 今回の「シチリア・サマー」以外にも色々観てはいるんですが(「ゲゲゲの謎」とかね……)とにかく衝撃が大きかったのでこちらを語ろうかなと。


「シチリア・サマー」(原題:Stranlzza d’Amurl・直訳すると『愛の奇跡』)

 イタリア、2022年制作、134分。PG12の作品です。

 監督は「はじまりは5つ星ホテルから」などに出演した俳優、ジュゼッペ・フィオレッロ。

 主役の二人は、たくさんの応募者の中からオーディションで選ばれたかたで、ガブリエーレ・ピッツーロさんとサムエーレ・セグレートさん。おふたりとも2004年生まれということで、映画製作時には18歳だったことになりますね。


 この映画を私が知ったのは、例によって色々なインド映画をあちこちに観にいっている中で、本編の前の映画の予告編を見たところから。映像があまりにも美しく、またどうやら男性同士の恋愛を描いた内容らしいというのがわかって、気になっておりました。

 とはいえこちらは、1980年にシチリア島で実際に起こった「ジャッレ殺人事件」をもとにした物語。悲劇的なラストを迎えることは事前にわかっておりました。


 ということで、ここからは映画の冒頭をすこしご紹介。

 1982年のイタリア南部、初夏のシチリア島。

 17歳のジャンニ(サムエーレ・セグレート)は、街の不良たちのボス格であるバイセクシャルの男、トゥーリに目をつけられ、その関係で「あいつはゲイだ」という噂を広められてしまい、なにかと不良グループから嫌がらせを受ける日々を送っていました。

 ある日、そのトゥーリと仲間のひとりからバイクで追いかけられ、自分もバイクで逃げていくうちに、たまたま近くを通った16歳の少年、ニーノ(ガブリエーレ・ピッツーロ)のバイクとぶつかってしまいます。

 ニーノは花火師の父親をはじめとする明るく愛情深い大家族に育った少年でした。

 その事故をきっかけに、ふたりは急接近。

 うつくしいシチリアの景色を背景に、うるわしい友情をはぐくんでいきます。それがやがて「友情」にはとどまらないものになり……。


 しかし当時のシチリアは、宗教的(カトリック教会)な背景もあって同性愛には非常に偏見が強く、不寛容で差別的。そのため、次第にふたりの関係を知るようになった家族や街の人々によって、ふたりは悲しく引き裂かれることに。

 ラストは非常に衝撃的でありつつも、あまりにもあっけなくて茫然としてしまいました。


 景色の美しさとは裏腹に、街の人々の人間関係、嫉妬や愛憎がうずまく様子はどろどろとしてひどく、また醜く描かれていきます。

 特筆すべきは恐らくジャンニの母親であるリーナと、ニーノの母親カルメラ。おふたりの女優さんの素晴らしい演技が光っていたと思いました。

 単なる「少年たちのひと夏の美しい愛」みたいな映画ではなく、もっともっとひりつくような現実味があり、どろどろしていて、胸がぐっと苦しくなる、そんな映画。もとが実話であるということも物語に重みを加えています。


 パンフレットも購入しましたが、これまたおしゃれなデザインで、写真集のような美しい装丁。これはお勧めです!

 あ、でもひとつだけ。

 パンフレット内で音楽ジャーナリストであるという磐佐良推という方が、「本作は日本のサブカルでトレンドとなっているBLモノの感覚で鑑賞するべきではない。」と述べてらっしゃるんですが、「それはどうなのよ」と。

 今や日本のBL界隈、本当にいろんな物語が生み出されておりますからね。

 その中には、今作のようなリアリティのある、そして重いテーマのものもたくさん存在しております。もはや「芸術的」と呼んで過言でないものも多数。

 そういう現実を、このジャーナリストさんはご存知ではないんだろうなと。

 そこだけはちょっと残念でした。


 今回はこんな感じです。

 本当に映像の美しい、そしてテーマを何度も反芻したくなる映画でしたので、よろしかったらご覧くださいませ~。

 ではでは!


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