57 スウェーデンの子育て事情
こんにちは。
今回は特に、こちらの本からのお話です。
〇「危機の現場に立つ」
中満 泉・著 / 講談社(2017)
こちら、実は「司書ばなし」のほうでご紹介しようかなと思っていたのですが、子育てに関する内容がとても印象的だったので、その部分だけこちらで語ろうかなと。
よろしかったらおつきあいくださいませ。
中満さんはこの本が出版された時点で「国連軍縮担当事務次長・上級代表」ということです。
若いころから国連で平和のために働くことを志し、クルド難民危機やボスニア・ヘルツェゴヴィナの紛争など、多くの危機的な現場で一般市民の安全をどう守るかに尽力されてきたという方。あの有名な緒方貞子国連難民高等弁務官の下でも学んだかたです。
そちらの話は「司書ばなし」のほうへ譲って、子育てのお話。
中満さんは仕事をする中でスウェーデン人の男性と知り合い、ご結婚され、はじめてのお子さんをスウェーデンで、そして二人目を日本でご出産、子育てをされたようです。
育児をめぐる様々な状況の違いが浮き彫りとなり、日本に住む自分としてはひたすら「スウェーデン羨ましいい!」とならざるを得ませんでした。
スウェーデンには、いわゆる「専業主婦」と呼べる女性がわずか2パーセントしかいないそうで。出産・育児のために仕事を離れる人がほとんどいないのだとか。
育児のための休業は両親に、子ども一人あたり480日間与えられ、そのうち60日間は父親、60日間を母親が必ず取得すると決まっている。育児休業後は、もとのポストに必ず戻らせることが義務づけられているし、休業中ももとの給与の八割が支給される……と、もう至れり尽くせり。
スウェーデンには「待機児童」なんてものはないそうです。なぜなら職場や家の近くに必ず子供を預ける施設があることがやっぱり義務付けられていて、預けることができない人がだれもいないから。
これを羨ましいと言わずしてなんと言おうか。
と、そんなことを考えてちょっとSNSでつぶやいたところが、なんか変な人に絡まれた。
要約すれば「スウェーデンだってこんな悪いところがあるのに! 手放しでほめたたえるなんて愚かしい」みたいなことですな。
いやいやいや。
別に手放しでほめたたえてはおらんし。
だれより、著者の中満さんご自身が「スウェーデンにもさまざまな問題はあるが」と前置きしたうえで書いておられますしね。実際にそこに数年住んでいたし、なにより夫がスウェーデン人なわけですから、実情もよくご存じのはずですし。
そもそも人間がすることなんですから、「百パーセントすばらしい国」なんてどこにもあるはずがない。
ですが、少なくとも今の日本の状況から比べれば子育てに関してだけいえば天国でしょうよ。学費も医療費もかからない。まあ税金は収入の半分ぐらいになるそうで大変ですけども、それはそのまま自分に還元されてくるという信頼できちんとできあがっている。
というのも、スウェーデンの政治家は公金をどう使ったかがガラス張り状態で、すべての国民に対して見えるようになっており、ネット上で閲覧できるようになっているそうな。
だからうっかり、旅先で間違って私的なお土産のチョコを買うのに公的な活動のみに使用が許されているカードを使ってしまった官僚が、辞職に追い込まれたこともあるそうです。すっごいですね。ガラス張りですね! 日本とは大違い。
国民の政治への関心も高く、投票率は8割越え、女性の政治家は全体の4割を超えているとのこと。
ほんと、そういうところも羨ましい。
よくない点もそりゃあるでしょうけれども、学べるところ、真似していったらいいところ、たくさんある国だと思います。
そういうところから謙虚に学んでわが身を振り返り、改善していけばいいことです。
私はそう思いますが、みなさんはいかがでしょうか。
ではでは、今回はこのあたりで~!




