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52 性暴力と少子化について

 

 はいこんにちは~。

 今回は前回までのお話ともちょっとリンクする感じです。

 お時間のあるときにお付き合いいただけましたら幸いです。


 痴漢だけでなく、この世にはいろんな性暴力が存在しますね、残念なことに。

 そして日本では特にそうなんですが、SNSで見ている限り、どうも一般的に男性たちによる性被害の軽視が問題だなと思われることが多いです。

 まあしょうがないんですけどもね、例のアイドル事務所のような事件もあり、男性が絶対に狙われないというわけではないのですが(あれは対象が男性というよりは少年、子どもだったわけですが)どうしても性被害を自分ごととしては考えられない、という男性が多いようで。

 日常的に細やかに心配してくれる人っていうのは、すでに自分の家族だとか恋人だとかが性被害を受けたというつらい経験をされた過去がある人ぐらいのようです。


 ところでSNSで見ていると、あの事務所に関して男性によるこんな意見までありました。

「こんなに年数が経ってから告発している時点で嘘っぽく感じる。本当に被害を受けていたら翌日にでも警察に駆け込めばいいのに、被害者はそうしていない。疑わしい」という(内容はそのままではありません)。

 いやいやいや。

 性被害について、あまりにも理解と認識が足りなくて呆れました。

 少しでも性的な被害を受けたことがある人ならわかることですが、あれはまず心理的にすごいショックを受けてすぐには動けないものです。被害者が幼すぎる場合、そもそも自分がされたことが理解できておらず、成長して初めて「自分は性被害をうけていたんだ」と認識してはじめて傷つく、ということすらあります。

 社会的にも羞恥心の方が先にたって、人に対して自分のされたことを表現すること自体に大きな壁があるし。未成年の場合はとくに、心配させたくなくて家族には言いにくかったりもするし。

 だからどうしても、告発までに数年、場合によっては数十年もかかることに。


 少し話がそれました。

 前回の痴漢の例では、いまでは女性専用車両などを作って痴漢被害を減らそうと、社会的にも努力がはじまったところですね。

 あれに関しても男性アカウントが結構な割合で「女ばかりを優遇しやがって。それは男性差別だ!」みたいに叫ぶのを見るのですが、いやいやいや。


 そもそも女性専用車両ができたのって、大阪の地下鉄御堂筋線で起きた事件がきっかけでしたよね。

 ご存じない方のために少しご紹介しますと、1988年11月、大阪地下鉄御堂筋線内で男二人が一人の女性に痴漢をしていたところを別の女性(仮にAさんとします)に見つかり、Aさんは被害女性を逃がしてあげました。それ以前にも似たような事例があってAさんはその二人組のことを覚えていたようです。

 それを恨みに思った二人の男はAさんを拉致し、他の場所まで連れまわした挙げ句にレイプしました。とんでもない事件です。


 こうした恐ろしい事件がなければ社会が動かないというのがまず残念ですが、ともかくも。それで設置が進むことになった女性専用車両に対して男性が「男性差別だ」と叫んでいることに頭痛がする思いです。

 そもそも痴漢する者がいなければそんなものを設置する必要すらないのですから。

 諸外国に比べても公共交通機関における日本の痴漢件数の多さは抜きんでているらしい。もちろん外国では、痴漢なんて軽いものでなくすぐにレイプや殺人になることが多いから、という理由もあるようなんですけどもね。それはそれでまた対策が必要そうです。


 ともあれ。

 痴漢は確かに、レイプや殺人などに比べれば軽い犯罪でしょう。しかし、軽いからと言って影響が少ないかといえばそうではないと思っております。


 なぜか。

 私自身も経験があるからこそ言うのですが、まったく面識のない他人ばかりでなく友人・知人・家族などから受けた性被害によって、人は人間不信に陥るからです。

 男性からそういう行為を受けた女性は、少なからず男性不信になり、男性を恐怖するようになり、場合によっては鬱を引き起こしたり、外に出られなくなってしまって引きこもりの状態になったりする。

 男性とちがって女性は、本当は引きこもりでも対外的に「家事手伝い」などと言われて引きこもりのカテゴリーとしては認識されにくいという側面があり、なかなか実数が把握できないというのが現状。

 わたしたちが考えている以上に、男性への恐怖心のために家から出られなくなっている女性は多いのかもしれません。もちろん、その原因のすべてが性被害だとは申しませんが。


 家から出られていて、働けているのだとしても、一度でも性被害をうけた経験のある女性は多くの場合に男性に対して積極的な態度には出にくくなるのではないでしょうか。同僚として普通に働くことはできても、個人的なお付き合いなどはなかなかできない……という感じになるのは無理もない話。

 特に、性被害を受けやすいのは若い女性たちなので、そういう人たちが男性との交流を避けるようになるのは、この少子化が問題になっている日本では特によろしくないよなあと思ったり。


 やっぱり、どんな人間集団でも弱者をきちんと守ったうえで新たな世代を儲け、全体的に発展していこう、というのが健全な動き方かと思います。

 日本社会で言えば弱者はまず子どもや女性だと言えるでしょう(もちろん障がいを持つ人など、ほかにもたくさんおられますが)。かれらをきちんと守らないで、全体がうまくいくとは到底思えない。

 痴漢などの性被害について軽視する動きは、それとは真っ向から反する動きだと思うのですよね。


 すさまじいまでの女性嫌悪、女性への憎しみを燃やしているタイプの男性アカウントは、しばしば少子化を女性のワガママのせいだとします。つまり、「女が結婚相手に対して高望みしているから、オレたちが結婚できない!」というわけです。

 しかしそんなことよりも、もっと男性たちが(多くは)若い女性たちへの性加害についてしっかり理解し、その重大性をよくわきまえて、女性専用車両など女性の心身を守るための活動に積極的になり、「痴漢は絶対に許さないぞ」という態度を表明するだけでも、だいぶ世の中は変わってくるのではないかしらん。

 少なくとも、痴漢などの性加害によって男性とのおつきあいやら結婚やらから遠ざかってしまう女性はかなり減らせることになるでしょう。


 そうそう、中にはこんな男性アカウントもあったな。


「まったく知らないアカの他人の女を守ったからといって、オレに何のメリットがあるの?」という。


 これこそ暗愚。愚かの極み。

 さきほどから言っているように、それが「男性とつきあえる・結婚できる女性」の母数を当然、減らしてしまっているんですからね。

 そのために守れなかった女性の中に、もしかしたら未来、その人の彼女や奥さんになってくれたかもしれない女性がいたかもしれない。そういう風に考えられないものかなと思う。

 いま、「見ず知らずの不特定多数の女性や子どもを守る」ということは、未来の少子化を食い止めるためのひとつの方策だということもできるのではないか。

 今回はそんなことをつらつらと考えたのでした。


 みなさんはどんな風にお考えになるでしょう。

 今回はこのあたりといたしますね。

 ではでは。


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