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46 広告に起用されるJKたち その2

 

 はい、前回の続きになります~。

 簡単におさらいすると、先日、宇都宮市で開業したというLRTライトレールのPRとして「協力 宇都宮市総合政策部広報広聴課」と入れたうえでミニスカセーラー服姿のJK5人の萌え絵が流された、というもの。

 驚いて問い合わせた人が多かったのか、宇都宮市が公式見解を出し、「あれは公式のキャラクターではない、あちらが宇都宮をPRしていることは知っているが、ウチは基本的に関係ないよ」と言った……みたいなかんじ。

(※ここで実は新たな動きがあり、キャラクターの責任者側と宇都宮市との見解の相違についてさらに動きがありました。この件については次回に譲りますね)


 さてここで、少し擁護派(おもに男性のオタクと呼ばれる人たち)とフェミニスト(主に女性と思われる)の意見について見てみましょう。


 フェミニストさんたち、女性たちはまず、生理的にこの「萌え絵」に対する忌避感が強いらしくて「キモッ」が多い(苦笑)(ちなみに正直そういう反応はやめたほうがええなと思ってる。オタクたちの反感を不必要に買って煽ることになるだけだから)。


 そのほか

「未成年をこうして客体化してPRに使うのはいかがなものか」

「これは女性、女子高生を性的に搾取するものだ」とか。


 そして私も言いましたが

「電車の痴漢はいまや大きな社会問題なのに、最も狙われやすいと言われている制服姿の女子高生でアピールはおかしい」

 ほかにも

「いざ電車内で痴漢にあったら、先日の韓国DJの件のときのように『あんな恰好をしてたから触られたんだ、自己責任だろ』というくせに、こんな恰好の女子高生で電車をアピールするのか。こんな恰好で電車にのって痴漢に遭ったら、どうせ『自己責任だ』っていうくせに」

 というのもありました。


 この最後のはね……正直、自分も娘をもつ親としてうなずいてしまわざるを得ない。あの絵を見て喜ぶ人、引き寄せられてくる人はその多くが恐らく男性であり、制服姿のJKを好む人たちってことなわけで。

 あ、もちろん女性でも好きだって人はいますよね。なんならこの絵を描いている方も女性らしいし。

 まあ、そこで性別は関係ないです。どちらの性の人でも、「女子高生大好き性癖」は持っているものですしね。

 とにかく。

 そういう「性癖」を持つ人がこのPRによって興味をもち、あの電車に乗りに来るのだとしたら、これを利用する女子高生たちは危険になりそうに思う。と、そういう危惧を覚えるのは親としてあたりまえの考え方やと思うんですな。


 これに対してオタクのみなさんはすぐ「二次元と三次元の区別もつかないんですか~?」みたいな嘲笑とともに相手をバカにするコメントを入れるのが日常茶飯事なわけですが、それだからといって別に親が心配だって思う事実は変わらんよ。実際、ああいうものが好きだと思う人たちが集まってくることが予想されるわけだから。

 なんなら逆に「二次元美少女が好きな人たちは絶対にリアル女子に興味はなくて、どんなことがあろうと手はださない」なんていう証拠があるわけでもなし。

 そこまで自衛していてさえ痴漢にあうのが今のご時世であり、痴漢にあったらあったで即座に「お前の自衛が足りなかったからだ」と責められるのは被害者ですしね。ほんま悲しい話ですがそれが現実。


 とはいえ二次元の絵、キャラクターにすぎないものは、どこまで行っても現実の人間ではなく人格もなく、もちろん「人権」も持っていません。だから作者や運営が女性のキャラクターに(男性キャラもですが)露出の多いいわゆる「エッチな」服装をきせ、蠱惑的(こわくてき)なポーズをとらせることは法に触れるわけじゃない。表現の自由がそこにはあるから。

 ただそれを「だれに」「どこで」見せるのかは問題になりますけどね。


 今回の例で言うと、JKのキャラクターたちは今にもパンツ見えそうやとはいえ(笑)、別にプライベートゾーンを晒しているわけでもないし、胸の谷間や股の線を強調しているわけでもない。

 ゆえに全ての年齢の人が見ても構わない絵だと言える。


 ただ今回のフェミニストさんたちのうち、比較的頭の冷えたタイプの方による批判には一考に値する見方がいっぱいありました。

 つまり、「なにかをアピールしたいときに、なぜ女子高生を客体化したキャラクターばかり使うの?」というもの。「なぜすぐに(特に未成年の)女性の体を商品のように扱って客寄せを狙うの?」という疑問。


 一例として挙がったのが、「本来男子ばかりで構成されている高校野球の雑誌(一部出版社です)の表紙が、なぜかチアリーダーの女子高生の顔ばかりである」という昨今の奇妙な状況。この雑誌、もとはちゃんとメインである高校球児たちを表紙にしていたのに、このところはずーっとチアリーダー女子の顔ばっかり並べているらしい。

 ま、売り上げがあがってないんやろな。

 となるとすぐ、「顧客アピールのために女の子を使え!」となる。しかも恐らく被写体である相手の女の子は素人で、この雑誌の表紙に使われることの許可も得ていない可能性すらある、というお話。これはこれで問題やんねえ。

 許可を得ていればええ、とも言えないし。中には先生側から「この子なんかどうですかね」みたいな話さえある、という記事まであったし。

「その方が売れるという実績があるんやからしゃあない」っていうのは勝手が過ぎる。

 売れるためなら安易に未成年の子を被写体にした写真を載せてええ、とはならんはずなんでね。


 要は「広告のために使用するアイコンは男性でも、もっと年上の女性でもおばあちゃんでも構わないはず、なぜならLRTは町の市民がみんなで使う公共交通機関だから」。これは納得しかないんよね、私個人としては。

 それだとよく見る市の広報みたいなポスターを思い出すわけで。実際に萌え絵のすきなひとや男性たちへの訴求力は当然さがるんやろうけど、「だからこのJKアイコンを使っていいのだ! これが正義だ!」みたいにふんぞり返るようなお話でもない。


「オトコは若いオンナが好きなんだ、だからそういうモノで釣るのは正しい!」


 っていう主張なんやろなーと思ってみていますが、現実にある公共交通機関をPRするのにその流れでやって本当にいいのか? 完全に無問題なのか?? とめっちゃ疑問に思います。

 それだと本当に女性を「モノ」としてしか見ていないことにもなり、そういう意味でも問題がある。


 こういう指摘に対してすぐに「じゃあ対案を出せよ!」と偉そうにいうオタクの男子もよくおられるんですが、「未成年の女性の姿を商品・モノとして出すこと」にはもうちょっと疑問というか、抵抗感というか、もう少しちゃんとした万人にも納得のいく理由が言えるようになっといてもらわんと困る。……まあ言えんのやろうけども。

 根底にあるのが「だってオトコは本能的に若いオンナが好きなんだもん!」だけでは、不快感を示す層の説得は難しいと思われる……。


 もちろん今回の件は原作が「女子高生による宇都宮PRのためのアイドルユニット」ってことだからこうなってるわけですが、その前提を知らずにぱっと絵を見ただけだと、いかにも「今にもパンチラしそうな女子高生のイラストを使って町をPRしてんねんな」と理解されてしまう絵づらだったのも本当。

 これはやっぱり、いくら公式のものでないにしても、公的な乗り物のアピールとしてはちょいと悪手やったように思う。まあ自由っちゃ自由やけどもね。キャラクターには人格はないんやし。キャラクターは作り手を訴えてきたりしませんからね。


 あああ、今回も長くなっちゃった。

 つづき、まだもう少し語りたいので次の項へゆずります。

 ではでは。


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[良い点] 『そういや、つづれさんの他の作品、読んでなかったな・・・』と、気付いて、『B級』から巡ってきました~。 [一言] ・・・で。 話題の件なのですが、ひとつ根本的な視点が欠落してる気がして・・…
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