43 性犯罪に関するあれこれ その2
こんにちは。
前回テーマにしていた韓国の女性DJさんの事件で、某SNS上でなにやらさらに雲行きがひどいことになってきておりまして。ついに、某国営放送のニュースにも取り上げられることになりました。
ということで、引き続きこの話題です。よろしかったらお付き合いください。
事件の概要については前回ご説明しているので、今回はそれに対する新たなSNSの反応などを中心にご紹介してみますね。
前回も少し紹介しましたが、あの事件に関連してその後すぐに「その女性も悪かった」的なコメントが目立ち始めました。ほとんどが男性によるものですが、中には女性によるものも。
要するに「あんな露出の多い恰好をしてファンのすぐそばに来るのが悪い、痴漢されても仕方ない、自業自得だ。自衛しろ」といったものですね。すでに彼女は10年にわたり海外でも同様のパフォーマンスをしてきて、その中では一度もこんな事件が起こらなかったのにもかかわらず、です。なんか詭弁を感じる。
ことほど左様に、どうやら日本の人たちというのは、性犯罪があった場合に、性加害をした人たちよりも、なによりもまず被害者を責める。「お前にも落ち度があったからだ」と言うわけです。
こうした行為を二次加害とか、セカンドレイプと呼びます。
これは、たとえ「性犯罪は悪いし、犯罪をしたやつが一番悪いのは当然だけど」という言葉をくっつけていたとしても、やっぱり二次加害になります。ちょっと気をつけた方がいいということです。
あまり意識せずにこういうことを言ってしまう人がいかに多いか、今回のことでよーくわかるとともに呆れました。
もちろん、これに敏感に反応したフェミニストの女性たちがすぐさま反論しておられました。
ところが、彼女たちの一部にはとても言葉がきついというか、犯罪を犯した人のみならず、日本にいる男性全員を指して「クソオス」みたいな言い方をして非難する人というのが少なからずいるんですよね……。
こんな風に言われたら、別に普段女性に対して痴漢行為なんかしない、自分はごくごく善良な人間だと思っている男性もムッとすると思うんですな。やり方として非常にマズい。不要な方面にまでわざわざ敵を作って炎上させてしまっているのでね。
そう心配していたら案の定、SNS上はいつもの逆上した「男 vs.フェミニスト」の戦いみたいになっていきました。
レスバに次ぐレスバ。……いやいや、それではいかんのやけども。
さらに困ったことには、この女性が韓国の方で、いわゆる「ネトウヨ」などと呼ばれるグループからも目をつけられ攻撃されはじめたこと。
かれらは今回の性犯罪とは無関係の過去の映像やらなんかをひっぱりだしてきて「反日」だのなんだのと彼女を叩き始めた。さらに「もう日本に来るな」なんていうコメントを出す有名人のアカウントまで登場。もうめちゃくちゃです。
これは、言ってみればそもそもの性犯罪事件とは直接関係のないことをもちだして本人を叩き、事件そのものをうやむやにしようとしているわけで、非常にたちがよくないなと思いました。それとこれとは別。事件として同列において語るべきことではない。
先ほども少し書きましたが、「あんな服装であんなパフォーマンスをしたのも悪かったと思う」というコメントは女性からも出ました。
これはちょっと考えなきゃならないことだなと思います。
日本に住む女性たちは、基本的にいつも性被害に遭うことを警戒しながら生きている。電車内などでの痴漢被害、近しい人からの性被害などをまったく経験したことのない女性はごく少数だからです。だからこそ身についた「自衛」の感覚。
でも、だからといってくだんのDJさんが自分の好きな恰好をして(といっても公序良俗に反するものはNGですが)自分のパフォーマンスをすることは彼女の自由だし、彼女の権利ですから、「それはするな」と言いにいくのはやっぱりおかしい。それは相手への人権侵害にあたる。
あくまでも、悪いのはそれを言い訳にして、本人の体を同意もなく触りに行く人たち。
ここを間違えてしまうとすぐさま、二次加害へとなだれ込んでいってしまう。
どうやら日本という国はまだまだそのレベルだということのようです。
ちなみに今回、彼女の体を触った人の中に女性もいたそうです(DJ本人の談)。
これについて、とある男性がSNS上で「女が女の胸をさわることに何の問題が?」みたいなことを言ってて、これまた女性たちから「問題があるにきまってる!」と叱られていました(苦笑)。袋叩きみたいになっちゃってて、ちょっとキレてはりましたが、まあね、当たり前なんよ。
ふだん、あまり女性とからみのない男性にはわからないようなんですが、一般的な女性たちはあまりお互いのプライベートゾーンである胸部を楽しくもみあったりしません。それはかなり珍しい行為だし、うれしいと思う女性も少ない。むしろ「気持ち悪いからやめてほしい」という人の方が圧倒的に多い。
もちろん私もいやです。いきなりそんなことされたら顔面パンチ食らわせるかもしれん(笑)。
アニメや漫画で、たとえば温泉やらプールやらのシーンで女の子たちが楽しそうに胸をもみあったりするのってよく見かけるわけなんですが、あれはほんと、作者さん(製作者)による妄想の産物であり、フィクションだと思っていただいたほうがいいかと。
知らない人にいきなりプライベートゾーンを触られるのは、男性だってイヤなもんじゃないんでしょうかね? ちがうんだろうか。あ、ちなみにダンナはイヤだそうです。
今回の件は、DJさんのエージェントが彼女を触ってしまった人たちに対してはっきりと特定し、刑事罰をうけさせるべく動くという声明を出しました。
あ、そうそう。
「犯人が日本人とは限らないじゃないか!」みたいなことを言う人もいたのですが、それはあまり関係ないかもと思っています。もし日本国籍の人たちでなかったとしても、かれらは少なくとも「日本でやるならお目こぼしされる確率が高いぞ」と思ってやったんじゃないの? と思ってしまうから。
日本という国の人々が、警察が、司法が、女性に対する性犯罪を軽く考え、甘い裁きしか下さず、むしろ被害者を責めて二次加害をし、加害者のことははっきり肯定しこそしないとはいえ、ゆるやかに擁護する。少なくとも全体としてそう見える動きをする。
海外の人たちにもそう思われているのだとしたら、それはそれで非常に情けない話です。日本の司法の敗北じゃないんでしょうかね。
犯人たちが外国籍の人たちであったとしても、日本の恥は雪げない。ここは間違えたらアカンところ。……と、私は思いますね。
ではでは。