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42 性犯罪に関するあれこれ

 

 こんにちは。

 いやあ台風6号がやっと去ったかと思ったら今度は7号。

 わたくし関西在住なので、いままさに頭の上に7号くんがいる感じです。みなさんはご無事でしょうか? なにごともなくご安全にお過ごしになれますように。


 さてさて。

 今回はこちら。やっぱりSNSのほうで目にした事件なんですが、概要を少しご説明しますね。

 韓国で10年以上DJとして活動してきた女性が、このほど日本でのライブを行われました。この中で、彼女自身がファンたちのそばまで行ってパフォーマンスをする時間帯があったようなんですが、観客の一部が彼女の胸をわしづかみにするという事例が発生。しかもひとりではなく数名です。

 そのときは女性はプロとして、にこやかにパフォーマンスを継続したのですが、あとで「あんな怖い目にあったのは初めてでびっくりした」とコメントを出しました。

 彼女の胸元をつかんだり触ったりしたのは男性だけではなく、女性もいたようです。

 はっきりとした痴漢行為であり、性犯罪。


 この方はほかの国でも似たようなパフォーマンスを含むライブをずっと続けてこられた人なんですが、こんな目に遭ったことはない。それが日本でだけこんなことが起こってしまった。これは大きな問題です。当たり前ですけどもね。


 で。

 ここからがさらに問題だった。

 もちろん起こったことについては国内外から非難が集中したのですが、どうやら国内の男性と思われるいくつものアカウントが、例によってこう言い出した。


「あんな露出の多い恰好をしてファンのすぐそばに来るのが悪い、痴漢されて当然だ」

「ナンチャッテDJとしてチヤホヤされているんだから、ちょっと触られるぐらいいいかってならないのかね(冷笑)」

「ああいう恰好をして人気を得てきたんだから、そういうリスクだってわかっているはずだろう(だから飲み込むべきで騒ぐようなことじゃない)」──。


 いやもう、驚きますよね。非常によく見るやつではありますが。

 まさに普段、電車内や飲みの席などでの痴漢やらセクハラやらに遭った女性たちが主に男性からたたきつけられる「被害者にまず非があった」論法。

 少なくとも「犯罪をしたやつは悪かったが、被害者だって悪かった」「自衛しなかった自分が悪い」っていう言い方。

 特に日本ではこういう論法がまかり通る場面が多すぎる。まことに枚挙にいとまがないというやつです。


 しかし本当にそうでしょうか? 本当に被害者が悪いのか。

 当のDJさんもこれに対して反論していました。

「私があの恰好をしてパフォーマンスをするのは完全に私の自由である。私にはどんな格好をして活動してもいいという自由がある」と。


 ほんと、その通り。

 誰かも言ってましたが、「そんな恰好してるんだからオレ(あるいは私)が触ってもいいと許されている」と勝手に解釈するほうが悪い。なんなら「家にカギがかかっていなかったら盗みに入っていいのか」っていう話になる。そんなもの、一方的に自分にだけ都合のいい言い訳です。ただの保身です。これはいじめの事件にも通ずるものがあると思いますが。


 今回は他国での同じようなライブの映像も流されました。日本と同様、観客のすぐちかくで彼女がパフォーマンスをしていても、ファンはみんな彼女から差し出された手と握手をしたりハイタッチをしたりするだけで、決してプライベートゾーンを無理やり触るなんてことはしていない。そんなことをするのは日本の観客だけ。

 なんという恥ずかしいことか。まことに恥ずべきことです。今すぐに意識を変えて改善に取り組むべき事案です。


 彼女は韓国の人ですが、単純に性犯罪の数だけで言えばあちらのお国だって相当なものです。ただし、「その後」が日本とは違う。日本よりもずっと厳罰だし、なにより周囲にいる人たちからものすごい非難の目を向けられ、みんなして捕まえられ、すぐさま警察に引き渡されたりもする。

 日本ではそこが野放しにすぎるのです。社会全体が「痴漢なんてそのぐらい、大した犯罪じゃない」」みたいな甘い気分が強すぎる。なんなら「被害者がそんな恰好をしていたから」とか「そんな時間帯にそんなところを歩いていたから」とか、すぐに被害者が悪いことにしてしまいがち。ここに大きな差があるのです。


「許せない!」と騒ぐのは大抵が女性であることも問題です。

 犯罪者以外の多くは一般的な、性犯罪などしない男性たちであるはずなのに、男性アカウントで激怒して「こういうことは許せない」「させないためにはどうするか」と真剣に語る人は海外にくらべて非常に少ない。むしろすぐに「被害者にも悪いところが……」という犯人擁護説に傾いてしまう。

 社会全体が性犯罪に対する認識を甘くしている。日本という国にとって、これは非常に問題があるなと感じます。

 女性アーティストは今後、日本で公演することそのものを忌避するようになるかもしれないし、やったとしても海外のようにファンのそばまでは来ないことになるかもしれない。日本側がきちんと対処できない以上、それこそ「自衛」するしかないのですから当然です。


 今回の事件については、実際の映像もすでに出ていますし、犯人がすぐに特定されて警察につながることを期待しています。

 ただ今回のことを「ひとつの事例」として終わるのではなく、日本全体が性犯罪についての考え方や対処についてもっと真剣に取り組み、被害者をひとりでも減らし、被害者の人権をしっかり守れる国になれることを願ってやみません。


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