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40 優生思想について

 

 こんにちは。

 今回は、前回の「弱者男性」から派生したお話となっております。

 あのあとも、引き続き某SNSではこの「弱者男性」に関連した話題で炎上しておりました。


 前回はこの造語「弱者男性」について「収入が少なくて30代以上ぐらいの、女性にモテない男性たちを指す言葉」と説明しましたね。あ、一応申し上げておきますが、この言葉の是非についてはここでは論じません。私個人はこれをあんまりいい言葉とは思わないし、不快に思う人も多いだろうなと思いつつ、あえて使用しております。


 このところ、この言葉にはどうやら「オタク」と呼ばれる男性たちのことを多く含むようだ……ということがわかってきました。

 そうした男性のことをヘイトする女性たちのグループは、かれらをすぐに「キモオタ」とか「チー牛」みたいな蔑称をつかって呼びます。端で見ていてもあまり気分のいいものではありません。

 まあ、ヘイトされた側も黙っているわけではなくて、女性たちを性器の言葉を使って呼ぶなどかなり無礼なことをしていますので、まあお互い様っちゃあお互い様なんですけどもね。「どっちが先か」と言い出したらきりがないし。


 さてさて。

 そんな感じで基本的に「自分にとって気持ち悪いと感じる男性グループ」に対して嫌悪感を隠そうともしていない女性のひとりが、とある「弱者男性」と思われる人を相手にかなりやりあっておりました。

 それを見ていたらこんなことを言い出したのでびっくりしたわけです。

 原文ママではありませんがこんな感じ。

「お前ら弱者男性のキモオタの遺伝子なんて残す意味ないんだから、わざわざ女をあてがわれて残す必要ないんだよ!」……みたいな。

 いやもっと辛辣でひどい言い方だったかな……とにかくひどかった。

 この人と似たような意見のほかの女性も、「強者男性」つまりハイスペックで収入が多くて見た目もよくて女性にモテるような男性たちの遺伝子こそ優生なんだから残すべきだ……という論調の人がけっこう見られました。


 ううーん。

 なんか見ていて恐ろしくなりましたね。

 最近問題になっている、旧優生保護法の問題を見ても明らかなように、そういう思想って他人の人権を侵害する方向へまっすぐに向かってしまう危険なものだと思うし。

 SNSのほうでも少し論じた内容なのですが、こちらでもう一度、もう少し膨らませて論じてみたいと思います。


「誰かの遺伝子は優秀だけれど、ほかの誰かの遺伝子は優秀でない」。そんなこと、人間である誰にも決められるもんじゃないと思うのですよ。当の女性アカウントさんはあまりにも堂々と言い放っていましたけども。

 そんなもの、まさに神の領域です。神のみぞ知る、ってやつ。


 そもそも生物学的な見地からいうと、生き物には遺伝子上、さまざまなバリエーションがあるほうが好ましい、と言われています。同じような傾向の個体しかいないと、急激な環境の変化に対応しきれずに種全体が滅んでしまう……ということが往々にして起こりがちだから。

 生き物には遺伝子的に多くのバリエーションがあることが必要である、というのが今の科学者の基本的なご意見。


 長い目で見れば、だれのどの遺伝子が今後人類が生き残っていくために「優秀」と言えるかどうかなんて変わってくるし、遺伝子を研究しているエキスパートである科学者にだってわからないことでしょう。

 それを、「お前らが気持ちわるいから」という悪感情のまま、なにも考えずに他人に向かって言い放つって、どういうことやろ、と思って。


「いま流行りの顔立ち・スタイル」「いま求められる働き方」に沿う、それを得意とする遺伝子っていうのは存在するのかもしれませんが、その優位性が今後もずーっと続いていくなんて保証はどこにもない。

「オタク」だの「弱者男性」だのと他人をラベリングして「その遺伝子は無価値」「だから残す必要なし」だなんて、だれにも言えることではないし、言うべきではない。なによりも相手と、相手が属しているグループの人たちに対して無礼ですしね。


 そういうことまで口走ってしまうだけの、彼女を不快にさせるような何かを、「オタク」と呼ばれる人たちがこれまでにやってしまったからこそではあるんでしょうけども、それでも言っていいことではないなあ、と私は考えてしまいました。


 なお、「オタク」と呼ばれる人たちってこんな感じでなにかとバカにされたり蔑視されたりしますけども、オタクに共通するのは「好きな物事に対して集中できる才能があること、こだわりきれるところ」やないかな~と思ってて。

 それは、ひとたび何かの仕事に役立ったとき、すさまじい光を放つ。人間全体にとっての福音をもたらすことだってきっとある。

 オタクに限らず、だれにだってそういう可能性はある。少なくとも私は、そういう風に思える人でありたい。


「お前らは無意味で役立たず、だから遺伝子を遺していく必要なんかない」などと決めつける権利はだれにもない。

 それはあまりにも傲慢かつ、視野の狭い勝手な意見にすぎない。

 こういう風に貶められたことがある人はぜひ、そんな意見は跳ね飛ばしてください。

 そして、今こだわりたいこと、好きなことに集中していかれたらいいと思います。


 ……まあ、あんまりエロいコンテンツとか、女性を不快にさせる感じの活動はちょいと見えにくいところでするとか、そういうのは気を付けたほうがええかもしれませんけどもね……(苦笑)。

 ではでは。


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