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38 カミングアウトとアウティング


 こんにちは。

 ここのところの話題と少しかぶってるかもしれませんが、またもやLGBTQ関連の話題。

 少し前のニュースですが、最近こんなニュースがありました。

 こちらは読売新聞オンラインから抜粋した内容。


 東京都内の保険代理店に勤めていた20代の男性が、職場の上司から同意してもいないのに自分の性的指向などをアウティング(暴露)され、精神疾患を患うなどしたことにより、池袋労働基準監督署から労災認定を受けた……というもの。これはパワハラ認定されたということでした。


 NPOなどによれば、男性は2019年5月、職場の上司に対して、緊急時の連絡先として同居するパートナーの男性の氏名を伝えたとのこと。

 上司には自分が同性愛者であることは口外しないよう求めていたにもかかわらず、その後上司は職場のパート従業員である女性ひとりにそれを伝えてしまったと。

 女性は20代男性を無視するなどするようになり、男性は不安神経症を発症して2019年11月に退職。2021年4月に労災を申請しました。池袋労働基準監督署はこれを「アウティングはパワーハラスメントにあたる」として労災認定したという記事でした。

 男性はその後の記者会見で「当時はパニックに陥り自殺も考えた。アウティングは命にかかわる重大な問題であることが広く知られてほしい」と語ったとのことです。


 ことほど左様に、アウティングは重大な案件になりうるとてもデリケートな問題。

 当事者がだれかに自分の性的指向やジェンダーについて告白することを「カミングアウト」と言いますが、それをされた人は、そのことを他人に勝手に開示することは基本的に控えたほうがいいでしょう。

 どうしても言いたいと思うのならば、まずは当事者である人に了承を得る必要がある。これは当然。

 ましてこの問題では、当事者男性は別に自分から進んでカミングアウトしたのではない。仕事上、緊急連絡先について上司に伝える必要が生じて、仕方なく伝えたに過ぎない。それをこの上司は「ひとりぐらい伝えてもいいだろう」と(実際、当事者本人に事後にそういったという記事もありました)軽く考えて伝えてしまった。ここが大問題。

 もちろんご本人はちゃんと反省されているだろうことを望みますけれども、どうなんでしょうね……。


 さてさて。

 このことにも絡んでなんですが、最近SNSでは「もっと気軽にカミングアウトしたい」という当事者さんのご意見が出まして。

 それに対して、「気軽にカミングアウトするのは勝手だけれども、された側はそれをアウティングしたら責められたり訴えられたり、とてもめんどくさいことになるから迷惑」とか「カミングアウトはセクハラ」などという声が見られました。

 セクハラっちゅうのは私にはどういう意味だかわかんなかったんですが、「アウティングしたら訴えられる、それは重荷だからカミングアウトはやめてほしい」というのは理解できるなと思ったり。

 仕事上、守秘義務のある件を抱えることはありますが、それは仕事だから。普通の人間関係の中でさらに守秘義務を負わされるのは、一般的な人にとっては負担になる。もちろん、相手がとても大事な人、家族や友達であるならそのぐらいの負担は負おうと思えるなら問題ないのですが。


 でもまあ、コミュニケーションの問題ですよね、これ。

 カミングアウトするときには、アウティングしてほしくないなら同時に「ほかの人には言わないでほしいんだけど」とちゃんと釘をさすか、事前に聞いてみてそれを重荷と感じそうな人だったら最初からカミングアウトしないとか、いろいろと方法はありそう。


もちろん一番いいのは、当事者の人たちが気軽にカミングアウトしたとしても、最初の記事のように変な目で見たり、無視したりと差別的な態度をとる人がいなくなることです。とはいえ、それは今すぐに実現できることではない。

 他人のものの考え方や習慣を変えることほど、難しいことってないからです。


 ところで、かなり前に、一橋大学の男子学生がアウティングされたことで自殺してしまったという事件がありましたが、あれも次第に状況が明らかになったようで。

 そもそも、当事者だった男性はノンケ(男性に恋愛感情を抱かないタイプのひと)の男性を好きになったことで告白し、つまりそれがカミングアウトになった。告白された男性はそれを断ったけれども、その後当事者男性は彼につきまとうなど迷惑行為が発生。告白された人は困って、とうとうそれを周囲のほかの人に相談してしまった(つまりこれがアウティングになってしまった)。

 その後、アウティングされて周囲から変な目で見られるようになった当事者男性が自殺してしまった……という流れだったらしく。


 これはほんと、どうすればよかったの? と思いました。

 アウティングはしてはいけないけれど、じゃあノンケ男性はこの困った状況をだれに、どのように相談すればよかったのか。事前に「あまりつきまとうなら、このことを〇さんに話して相談しなければならなくなるけどいい?」ときけばよかったのか??

 いやいや、その時点でもう、当事者男性とふたりきりになることすら怖くて嫌悪感しかなかっただろうし……とかとか、いろいろ考えてしまう。


 カミングアウトとアウティングの問題については、非常に個人的でデリケートな問題であり、「こうすればいいでしょ」と乱暴に結論を出せるようなものではないなと感じております。

 いまは学校という場所で働く私ですが、たくさんの先生や生徒たちがいる環境で、一定数はLGBTQと呼ばれる人がこのなかにいることでしょう。基本的にはそういう意識でこの場にいるように、普段も心がけております。

 いざカミングアウトされたときにはどう対応するのかも、ときどき考えたりしております。

 みなさんはどうお考えでしょうか。

 ではでは。


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