表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/120

鎧うらばなし(1)

 今回は、拙作の小説、「白き鎧 黒き鎧」の裏話その一。

 ……と、言うほどのものでもありませんが。


 そもそも、どうしてネット小説を書くようになったのか。

 ずばり、自分の脳内にある「妄想」たちが、「もうダメだ! 我慢できん! もう外へ出してくれ!」と叫びだしてどうしようもなくなったから、です。

 もちろん、そう叫んでいたのは、私にとってのネット小説処女作であるムーンライト作品の方ですが、それについては色んな大人の事情により、ここでは言及を控えますね。うふふ。


 さてさて、お話を戻しましょう。

 元々が、私は幼い頃から絵や漫画を書く人間で、キャラクターやストーリーを考えることが大好きな子供でした。

 毎日、罫線のない白いノートにコマを割っては、鉛筆で描いたストーリー漫画(らしきもの)を学校へ持参し、友達に読んでもらう。それが、小学生だった私の日課のようなものでした。

 考えてみますと、今やっていることとさほど変わらないような気もいたしますね。

 毎日更新しては、読んでくださるかたの声を聞かせて頂いて、楽しんでいただけるのが嬉しい、ただそれだけです。

 そういうスタンスは、今も昔も変わらないということなのでしょうか。


 ともかくも。

 周囲の友達に漫画を読んでもらうという日課は中学生になっても続きましたが、次第にそれがペンで描く漫画になり、スクリーントーンを貼ったり印刷して製本したりと、少しずつグレードアップしていったわけです。

 大学生になってからは、所謂いわゆるオフセット印刷で、漫画サークル仲間とオリジナルの同人誌なども作るようになっていました。


 実は拙作「白き鎧 黒き鎧」の主人公である佐竹と内藤は、そこで描いたストーリー漫画の主人公二人であったりします。

 二人とも高校二年生であることと、クラスメイトで友達であることは同じでしたが、佐竹はなんと下の名前がなく(考えてすらいなかった)、剣道をする人でもありませんでした。さらに、内藤も下の名前は別のものでした。実は漢字は違うのですが、今はその名残のように、彼のお父さんの名前として採用しております(!)。

 とはいえ基本的な性格設定や関係性などは同じで、内藤の弟・洋介も存在していました。内藤のお母さんが他界しているのも同じです。

 馨子さんも、名前こそ違いましたが、あの佐竹の母ということで、彼女にだけは佐竹も頭が上がらないというのか決して勝てないというのか、そんなハイテンションのキャラそのままのひとでした。とは言え、漫画そのものには登場すらしなかったのですが……。

 なお、彼女のキャラクター造形については、当時もともとの漫画をお読みくださっていた方の妄想によるところが非常に大きかったりもします。


 話の内容はまったく違うもので、内藤の亡くなった母親が、それで寂しがっている洋介を幽霊(?)になって迎えに来て連れ去ってしまい……というような、どちらかといえばオカルティックなストーリーでした。

 本当に、今とは全然違いますね。

 けれども、そうして困った状況に追い込まれ、精神的にぼろぼろになる内藤を、それに激怒した佐竹が助けるために動き出す……という展開そのものは、「鎧」とよく似ていたような気がします。

 要は、二人の力関係は同じだったということでしょうか。

 あ、因みに、別にBLではありませんでしたよ(笑)。


 いつも、プロットなどあって無きがごとしといった書きかたで、完全な「キャラクター先行型」の書き手である私ですが、それは漫画を描いていたころからまったく変わっておりません。

 一応プロットは考えるのですが、書いているうちにキャラクターが、

「ああしたい」

「こうしたい」

「こんなことをするのは御免だ」

「俺がそんな台詞を言うわけがなかろう、ふざけるな」

 などと言いだすと、もうどんどんストーリーが変化していってしまいます。

 ですから当然、話も破綻しやすくなる。

 こうなるともう、話に勢いは出ますけれども、書くほうにしてみれば恐ろしいまでの綱渡り状態になります。つまりキャラクターを作者本人が御しきれなくなるわけです。まさに戦々恐々、気を抜くことができません。


 常に、その好き勝手しすぎるキャラクターたちのとっちらかした伏線(?)の全てを回収するべく走り回っている、そんな感じの執筆風景だと思っていただけると、非常に分かりやすいかと。

 とはいえ、だからといって私が考えた「一応のプロット」どおりにキャラクターを動かそうなどとした途端、これまでの経験上、奴等はまったく動かなくなってしまうことが分かっているのです。ええもう、イヤと言うほど。

 そしてもしそれを放置などしてしまえば、しまいには最悪の事態、つまり「エタる」という、恐ろしい結果を招くのです。


 それに重々懲りているので、私はもう、彼らを「放任」するしかないわけです。

 「ああもう、好きにしなさい」と放り出し、私は彼らの後ろから、必死に話の辻褄を合わせつつ、伏線を回収して回るわけです。

 もはや彼らの奴隷ですね……。


 今、ネット小説ではなんとかかんとか「完結」の二文字を付すことができておりますが、それも実は大変奇跡的なことだったりします。

 いつもいつも、「本当にネット小説の神様ありがとう」という心境です。


 いつ「エタって」もおかしくない、常に真っ青になりながら、

「あんた何いってんの!?」

「ここでそれするの、え、マジで!?」

「ちょっともう、勘弁してよ〜!」

「だれがそれ回収するの? やっぱり私? そうなんかあああ!」

 とか言いながら、日々執筆しているのが私。

 いつも綱渡り状態の、とってもいい加減な物書きです。


 あ、そうは申しましても、書くことそのものにいい加減な訳ではありませんよ?

 勿論、真摯な部分もございます。

 それはまず、読んでくださる読者の皆様と、何よりキャラクターたちに嘘をつかない、つまり誠実であること、その一点です。


 これを裏切って、どんな執筆も成立しない。

 それが私のネット小説流儀でしょうか。

 なんてね。


 でもでも……ああ!

 これでブクマが一気に減りそうですね(苦笑)。

 でも、本当なんだから仕方がない……!

 なんだか色々、ごめんなさい……!


 そして、最後にもう一度言います。


「ネット小説の神様、ありがとう」。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ