26 最近の離婚トラブルに関して思うこと(3)
つづけます。
前回は話がいじめにまで広がってしまったので、ここでDVや家庭内のモラハラに話を戻します。
SNSにいると、「ワンオペで育児・家事をこなして大変なのに、夫が非協力的で……」という奥様がたの愚痴をいくらでも拝見します。
そうした愚痴のつぶやきに、非常にたくさんつくコメントのひとつがこれ。
「そんなダンナを選んだのはお前だろ」。
つまり、結婚前に夫の正体を見抜けなかったお前が悪い、自己責任だ、というわけです。
ですが、これは本当にそうでしょうか。
子供を儲けることを前提にして、あるいは子供ができたから結婚する男女というのは、大抵はそれなりに若い人が多いでしょう。
早ければ十代、遅くても三十代前半などが中心ではないかと思います。
特に十代、二十代の前半ぐらいだと、十八の子がいる私からすればまだまだ人生経験も少なくて、人を見る目が十分養われているとはいいがたいと感じます。
そんな若い人に向かって「見る目がなかったお前が悪いんだ」と切り捨てる。それでいいのでしょうか。
まあこれも、例によって無責任な「匿名の」コメントなので、そもそも見るに値しない、論ずるに値しないということは先に申し上げておきますけれども。
誰だって、お付き合いをしはじめたころに、相手の男性あるいは女性に「いい顔」しか見せないものではないでしょうか。だからこそ、デートの前には一生懸命いい服を選んだりお化粧をがんばったり、ダイエットしたりと頑張るわけで。
少なくとも、わざわざ借金があることや、賭け事好きであることなど、マイナス要素を知らせてお付き合いを始める人はいないでしょう。
同じ性格でも、よい風に出る場合もあればそうでない場合もあります。
「優しい人」は「優柔不断で自分でなにも決定できない人」かもしれませんし、「決断力がある人」は「思い込みが激しくて他人の意見をまったく聞かない人」であるかもしれません。
そしてなにより、DVをするタイプの人は、多くの場合に非常に外面がよいのです。だからこそ、奥様が一生懸命訴えても、義理の家族や夫の同僚にはなかなか信じてもらえない。「まさかあの人がそんなことをするはずないよ」と一蹴される。なんなら「あなたに落ち度があるからじゃないの」と勘繰られる……という事態が頻発するのでしょう。
これを、まだ経験の浅い若い人に「自分で見抜け」というのは厳しすぎる意見だよな、と常々思っています。
実は私、別にこれは男性側だけの問題とも思っていなくてですね。
もうひとつ問題に思うのが、女性が結婚相手に求める条件の厳しさなのです。
女性たちが「普通の見た目でいい」と言うのは、往々にしてとても「普通」とは言えないような、爽やかで見た目のいい、背の高い男性であったりします。また年収も、いまや非常に平均賃金が落ち込んでいるこの日本で、「最低でも年収600万」なんていう希望も普通に見聞きします。
昔は「三高」なんて言いまして、学歴、身長、年収の高い男性が非常にモテたという時代がありました。が、今もそれは大して変わっていないように感じます。
まず性格がよくて優しい人がいいのは当然として、さらに学歴が高く、それゆえ収入もよく、できればイケメンで背が高い男性ならなおよい。
もちろん、たとえこの条件を満たしていても、家族になったあとも相手に非常に優しくて、家事・育児とも非常に協力的、かつ対等に話し合いのできる人だってたくさんおられるでしょう。
でも、これってかなり落とし穴もあると思うのです。
学歴が高い、年収が多い、ということは、その人は人生のなかでかなり努力もしてきて、その結果相当プライドも高いだろうということ。もしかしたら、少しでも気分を損ねたり能力を疑ったりすると、激昂するタイプの人なのかもしれないということです。
プライドは、ないよりはあったほうがいいのですけれども、行き過ぎはやっぱりよくない。
やはり、いい大人としてある程度の謙虚さをもち、結婚相手とは学歴が違おうが年収が違おうが 「対等な相手」としてきちんと意見も聞き、話もできるタイプの人でなくては、ともに結婚生活を営むには不十分ということになります。
そんなことまで、まだ若い身空のひとに短い交際期間できちんと見抜けるでしょうか。「ほぼ無理じゃね?」と私なんかは愚考するわけです。
とまあ、いろいろ書いて参りましたが。
これはべつに、全体として男性が悪い、女性が悪いということではなく、敢えて言うなら「どちらもそれなりに少しずつ悪い」としか言えないようなことです。
もちろんDVやモラハラは犯罪であり、責められてしかるべき行いです。それはそうなんですが、被害者とされる人たちも、もう少ししっかりと、事前に人とのコミュニケーション能力であるとか、人の本質を見極める目みたいなものを培う努力も必要ではないかなと。
そのために必要なことはなにか?
いろいろありましょうが、ひとつには読書。これかなと思います。
別に小説を読むことだけが読書ではないので、色々な経験談を読んでみるとか、コミュニケーションのコツについて書かれたものを読んでみるとか。結婚に関連する様々な法律について調べてみるとか。いざとなったら頼れる施設やシステムを調べておくとか。
あとは信頼できる、話を聞いてくれる先輩や相談先を複数もっておくとか。
「情報は力」です。
夢も希望もないことを言うようですが、ズルい人というのはそうしたことも見越して、「見た目は綺麗だけどちょっとバカな子・学歴の低い子・考えの浅い子」を選ぶ傾向がある気がします。
「玉の輿にのれた~♪」なんて喜んでいる場合ではない。そこにはとんでもなく大きな落とし穴が待っているかもしれんのです。ほんと気を付けてください。
それと、これは特に女性に言いたいんですが、たとえ結婚しても、自分で自由に使えるお金はしっかりプールしておいてください。それに関してはどんなに信頼しているダンナであっても教える必要はありません。
いざというとき、子供を連れてシェルター等に逃げる際にも、弁護士に相談する際にも、お金はどうしたって入り用になります。どこかの部屋やホテルを借りて、三か月暮らせるぐらいの資金は必要。
そのとき、「お金がなくて逃げられない」とならないよう、自分とお子さんを守るための最低限の用意は、(たとえどんなに「私のダンナは大丈夫」と思っていても)しっかりしておいてほしいなと思っております。
ながながと3回分も連ねて書いてしまいました。
なにかのご参考になれば幸いです。