『腐』であるということ
※ボーイズラブに関する話があります。苦手な方はご注意ください。
さてさて、新年早々、なんちゅうテーマをもってきてるんでしょうね私。
ともあれみなさま、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
えっと、「腐」ですね。
これは最近、なにも女子に限らないってことで「腐男子」なんて言葉まで出てきたぐらいに人口に膾炙した言葉になってまいりました。そういえば近頃は「貴腐人」なんて造語もあるみたいですね。
世の中にははっきり「男子」とも「女子」ともいいきれない人もいらっしゃるので、いちいち性別を想起させない呼び方ができるといいのになあと個人的には思います。
こちらのエッセイをお読みくださっている方は、恐らく私が「腐」であることはすでにご存知のことでしょう。
一応説明しますと、それは男性同士の恋愛を妄想したり、そういう物語を読んだりみたりするのが好きだったり、別にそういう関係でもない男子ふたりを見かけただけでそういう恋愛の妄想が膨らんでしまうという種類の人、全般を指した言葉です。
そもそも私がこちら「なろう」でお世話になる前に、その女性向けR18サイトである「ムーンライト」で先に投稿をしはじめたのはそちらの種類の作品でした。今ではペンネームも分けていますので、この名前で検索しても出てはきません、あしからず。
で、ですな。
そのときは別に、こちら「なろう」に来る気などさらさらなかった訳なので、別段奇妙にも思わなかったのですけれども。
こちらでR18ではないボーイズラブ作品を連載するようになってから、特にSNS上なんかでは、私が「腐」であることを揶揄するというのか小バカにするというのか、まあ悪気はないんでしょうが笑いのネタにしてくる人というのが一定数はおりまして。男女の比率でいうと、圧倒的に男性が多いです。まあ予想通り。
別に、そうされることは想定内のことでもあって、ご本人は楽しそうだしさほど悪意まみれっていうんでもないので「はあ、そうですかあ」って笑って聞き流していたのですが。大体、それがイヤならこっちもおおっぴらに言わなければいいだけの話ですしね。
でもSNSというのは、会話している当人以外にも会話が見えてしまう場合もあり、中にはそういう会話を見て「あのオヤジ(相手は男性だったので)、つづれさんに向かって何いうねん!」と本気で立腹してくださるような(腐の)方もあったりして。色々と気をもんだものでした。
まあその冷やかしてくるお相手様も、ご自身は「百合大好き」ってな人だったので、私自身は「どっちかというとお互い様?」と思っていたのですが。なぜか一方的にこちらだけがバカにされているという状況。
それでもまあ、「どうも納得いかんなあ」とは思いつつも黙っていました。
このところ、私はこちらでBLだとかMLだとかにとどまらず、いわゆるトランスジェンダーについて扱った話なども書いていて、こういうことをさらに突っ込んで考えることが増えたのですが。
性的指向というのは本当に千差万別、人それぞれのもので、やっぱりたとえどんなに冗談のつもり、軽いつもりなのだとしても、相手を貶めたりバカにしたりできる種類の話題ではないんだよなと思うに至ったのでした。
最近、杉山貴士さんの
「自分をさがそ。多様なセクシュアリティを生きる」(新日本出版社 2008)
という本を読んでいまして。
この中で杉山さんが「性はグラデーション」ということをおっしゃっています。
つまり、要約するとこの世の中には「完全な異性愛者」も「完全な同性愛者」もごくまれにしかいない。そして中には性的なことにまったくの無関心という層もいる。
性的なことに関心のあるタイプの人はみんなそれぞれに、「異性を愛する自分」と「同性を愛する自分」とを程度の差はあるけれどもあわせ持っているのが普通。
その程度は人によってまちまちなので、これをグラデーションに喩えているわけです。そしてこのグラデーションを、性的マイノリティの人権擁護団体が「虹色」のモチーフを用いてあらわしているのだと。
これは私は始めて知ったので、「なるほど〜」と思ったのでした。
おっと話がそれました。「腐」に戻ります。
言うまでもなく、自分自身が同性愛者であるということと「腐」であることとは根本的には別の問題です。
けれどもどちらも、現在の社会で「普通」とみなされていることから外れている時点で、さきほど例にあげたような人から後ろ指を指されるという状況は変わりません。
まあ「腐」に関していうならば、バカにされる、されないというのも書いているものの内容にもよるのかもしれませんけれども。
実は私は、単なる興味本位で、面白半分に描かれているだけのBLがあまり好きではないのですが、そうした作品であれば低く見られたり嘲笑われたりするのもいたしかたないのかもしれないとは思う。
しかし少なくとも自分の書いているものは、よくあるような男性同士の恋愛を興味本位で扱うものではないつもりです。基本的に、誰かを愛することというのは自分よりも相手のことを考えられてこそ使える単語だろうとも思っていますし。
人と人が互いを想いあうとき、そこに同性だから、異性だからといって差異があるとは思いません。
「なろう」でもNLの恋愛ものは大人気。しかしその書き手さんが、BL書きのように「それがBLだから」というだけで無軌道にバカにされるということはない。ま、たぶんですが。
もし男女の恋愛を扱う物語を書く人を、大した理由もなしに茶化して馬鹿にすることが不適当であるならば、それが同性同士の恋愛を扱うものだったとしても、同様にそれは不適当と考えるのが自然ではないのかと思います。
現実はまあ、そんな甘くはないですけども。
そして「ケッ」とか思いつつそういう現実を横目で見ながらも、また今日も性懲りもなくBLを書く私なのでした(笑)。
「なろう」に来て以来、ちょっともやもやしていたことを遂に文章にしてしまいました。
ご不快なかたがありましたら申し訳ありません。
そこのアナタ、「これって俺のこと?」と思っていたらごめんなさい。多分違いますので安心してください(笑)。
だいたいの方は、私自身も普通に笑って聞き流せる程度のことしかおっしゃってはおりませんので! 大丈夫!(なにがや)
どうも論旨がぼやけているのは、まだ私の考えが十分にまとまっていないからです。
お目汚しを失礼いたしました。