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118 フジテレビ 第三者委員会報告書(要約版)を読んで

 

 はいこんにちは。

 今回は、日本で非常に有名なテレビ局と、そこで番組を多数持っていたタレント──もうはっきり言いましょかね、かつて国民的人気を誇ったアイドルグループの一員だった中居正広氏──が起こしたとされる、女性への性暴力に関する報告書、その要約版を読んで考えたことをつらつらと。


 そもそも、問題の発端はなんやったかというと。

 一年ほど前にやっぱり女性との問題をスッパ抜かれた芸人M氏のときと同様、これまた昨年の年末あたりに同じ週刊誌がこの中居氏のこともスッパ抜いた形です。

 すでに女性と中居氏の間では示談が成立しているとかで女性本人からの話はほとんど聞けなかったようなんですが、まずその女性はフジテレビの女性アナウンサーだったとのこと。

 女性は中居氏から性暴力を受け、PTSDを発症し、仕事を辞めざるを得ない状況まで追い込まれたとのことです。


 これだけだと「男女関係のもつれか」みたいな受け取り方をする人も多いかと思いますが、いかんせん、ここには大いにフジテレビ社員の「仲立ち」が介在していたと考えられる。ここがなにより問題でした。そして実際、ふたりの間には恋愛感情など微塵もなく、女性はだまし討ちに遭ったような形で中居氏宅でふたりきりの状況になり、被害を受けた。

 こうした内容で週刊誌のスッパ抜きから始まってSNS内でもこの件が炎上し、騒ぎがどんどん大きくなった結果、中居氏は遂に芸能活動を引退すると宣言してテレビから姿を消しました。


 今回の第三者委員会は、この事案を受けて今年1月に発足し、今回の報告書は2025年3月31日付で発表されています。


 ①守秘義務について

 気になる部分としてはまず、すでにふたりが示談していることを踏まえ、委員会は両者に対して守秘義務の全面解除を求めたそうなんですが、女性側は了承したのに対して中居氏はこれを拒否した、という点。

 具体的には、「女性(報告書では「A」とされる)が中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの事実」と「示談の内容」については本人たちに聞けず、フジテレビ(報告書では「CX」という略称を使っています)関係者へのヒアリングと関係書類から認定した、とのこと。

 それでも、結論として中居氏は女性Aに対して性暴力をおこなったということが認定されました。


 ②フジテレビ(CX)社員の係わり

 この件が起こってから、女性Aは重篤なPTSDを発症して入院にまで至っている。もちろん上司を通じてCXに被害申告をしたのに、適切な措置をとらず、そのまま中居氏を自社の番組に出演させつづけた。ここは会社として重大な問題とみなされています。まあ、当たり前ですが。


 ③中居氏の女性の誘い方

 ここにもだいぶ、色々な疑問点が浮かびます。

 まず中居氏は「今晩、食事はどうか」「メンバーを誘っている」という主旨の誘い方をし、さもほかにもいろんな人(CX社員や番組制作にかかわるメンバー)が同席するかのように言った。

 その後「メンバーはこない」「二人きりになるけど、どうするか?」「飲食店をさがしている」と連絡。

 けれども、実際にはほかに誰も誘ってはおらず、飲食店の予約もしていなかった。

 そのうえで食事の直前に「飲食店がみつからなかった」と言い、自宅へ誘った。


 ま、「大ウソ」ってやつですね。

 最初からこの女性とふたりきりの場面を作る気満々だった。と、そのように理解されても仕方のない状況。


 報告書にもありますが、若い女性アナウンサーである女性Aと、人気タレント中居氏の間には圧倒的な権力格差が存在する。これを踏まえれば、女性がこの誘いをそうそう簡単に断れる状況でなかったことは自明のことです。


 ④同意の意味

 報告書にもある通り、ここで女性がした「同意」とはあくまでも「ともに食事をする」という同意でしかありません。

 さらにこんな誘い方をされ、結局中居氏の家でのふたりきりの食事となってしまったことは女性の真意とは程遠いもの。

 しかもこの誘いを断れば、仕事上の支障が生じると考えられ、断るに断りきれないのは確かです。女性はやむなく食事に行った。「ただ食事に行った」のです。それ以上の行為は、なんら「同意」などされていない。


 ⑤CX社員の関与

 この事案当日に関してだけ言えば、フジテレビ社員が二人の間を「とりもった」とは言えない、と報告書は書いています。

 ただし、そのほんの二日前に、同じ中居氏所有のマンションで行われたBBQの会というのがあり、これはCX社の業務として参加したものと認定されています。こうした関連性から考えて、今回の被害女性が「ほかのメンバーにも声をかけている」と誘われたこともあり、これをBBQの会と同種の会合だと認識したことに影響を与えたと書いています。


 ⑥結論

 以上のようなことから、委員会はこの事案を明らかにCXの「業務の延長線上」における「性暴力」と認定しています。


 実際の報告書そのものはもっともっと大部なもので、このあとフジテレビという会社の人権意識などについても述べています。


 今回の件では、SNS上に飛び交うあまりにもひどい文言を、私もじっと見つめてきました。

 中居氏については、かつて「SMAP×SMAP」が放送されていた全盛期のころを中心にグループを好きでしたし、CDも少しですが持っていたりもします。それだけに、今回の件は残念に思って見ていました。

 しかしそれ以上に、被害者である女性をバッシングする声の多さ、強さにショックを受けました。

 事実がまだよくわからないうちからセカンドレイプに次ぐセカンドレイプ。一般男性はもちろんですが、中居氏が超人気タレントなだけあってそのファンである女性たちまでが口汚く女性をののしっている構図。さらには、中居氏を知る芸能人も何人か週刊誌を叩くコメントやセカンドレイプに当たる文言を流していました。


 性暴力にあったとき、被害者本人がどれほど傷ついているかを考えると、まさに地獄のような様相だったと思います。

 こうして第三者委員会によるかなり詳細な調査が行われたことは本当によかったと思いますが、中居氏のあまりにも手慣れた「女性を罠に掛ける手口」みたいなものを見ていると、「ほかにも被害者が多数いたのでは?」という疑念が頭をよぎります。もちろんフジテレビのみならずほかのテレビ局、さらに芸能界全体に、こうしたことが蔓延しているのではないか……とも思えてきます。


 人に一時の夢を見せ、夢をあたえる仕事。それが芸能だろうと思います。その内情がこうした酸鼻きわまる悪臭を放つ状況であることが、けっして「あたりまえだ」「こんなもんでしょ」といった状況でありつづけてほしくはないものです。


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