114 カップうどんCM炎上
はいこんにちは。
なんだか映画以外では久しぶりな気がする~。
そうそう、前回はタイツの件でしたもんね。
今回はカップのインスタントうどんのアニメCMの炎上についてです。
この件、そもそもCMがネット上のCMらしいので、一般のテレビCMとはわけが違うようなんですけども。
某SNSでちょっと前から話題に上ってきていたものです。
おおまかに経緯を説明すると、大体こんな感じ。
某大手食品会社T社が長年販売している、超有名なカップうどん、カップそば。確か以前にはあの有名人気漫画「鬼滅の刃」ともコラボしたことのある商品です。赤いキャラと緑のキャラがうまく商品にハマったんでした。
で、今回はそのうどんとそば、それぞれにアニメで作ったCMができて発表されたわけです。商品それぞれ、うどんは女性バージョン、そばは男性バージョンが作られたようです。
シチュエーションとしては、どちらも日常の中でカップうどんやそばを食べている人物の様子を描写するというもの。
男性はどうやら学校の教師らしく、ほかの先生方が帰ってしまった夜に、ひとり自分のデスクで仕事をしながらカップうどんをすする……というもの。
一方の女性バージョンは夜の自室で恋愛ものらしきドラマか映画をテレビで視聴しつつ、若い女性が感動して涙を浮かべながらカップうどんをすする……というものになっていました。
まず男性の方と女性の方とで、製作スタッフがまったく異なるらしく、だいぶテイストはちがう感じ。
男性はどちらかというと絵柄もリアル寄りの描写で、全体に淡々と進んでいく感じです。
他方、女性の方は男性のものと比べるとだいぶお目めがキラキラと華やかな雰囲気の絵柄であり、麺をすする様子、「よいしょ」と髪を耳に掛ける様子、睫毛が涙にぬれ、頬が紅潮している様子などいわゆる「アニメ的に美少女を描く手法」がけっこうふんだんに使われている感じでした。
基本どちらにもセリフらしいものはほとんどなく、人気のある声優さんが使われていますが吐息などのちょっとした声が入る程度。
ここで、主に女性たちから「このCMちょっと気持ち悪い」という感想が出始めたようです。
私がこの件に気づいたのはこの時点でした。
で、動画をちょっと見てみたところ、私個人は「そこまで気持ち悪いかな……?」と疑問に思うぐらいの感じでした。女性の声優さんも私は好きなかたでしたし、アニメだと「まあそんな感じやろねー」と思うぐらいで。
でも、これで次第にまた「フェミニストがまたうるさいことを言いだした!」とばかりに男性アカウントたちが攻撃的なことを言い始め、「会社と一般市民」ではなく「女性対男性」のいつもの言い争いに発展していきました。まあよくあるやつです。
私自身はわりと傍観している感じでこれらの言い合いを眺めておりました。
でも、しばらく眺めていて、とあることに気づきました。
女性たちの多くが、「なぜこれを気持ち悪いと感じるのか」という理由について語っておられた内容に「なるほど」と思う部分があったのです。
つまり、そういう女性たちは若いころから、普通に食事をしている場面で男性たちから性的なまなざしを向けられたり、性的なからかいを受けたりしてきた記憶がある。
例えばバナナやウインナーなど、長くてある程度の太さのあるものを食べたり、棒アイスキャンデーを舐めたりするときや、ねばっこいもの、白い液体状のものを口にするときに周囲の男性から「いやらしい目」で見られ「エロい」と囃され、ひどい場合は性器を見せられ「オレのも舐めて」などと言われたというのです。
……うん。これはひどい。十分トラウマになる。
これらは当然、いわゆるAVや18禁もののアニメなどのエロ表現をしっかりと学習してしまった男性による勝手な妄想の発露であり、それをもとにした女性への嫌がらせということになるでしょう。
そしてこういう体験をしてきた女性たち(とも限らないでしょうが)にとって、カップうどんの女性バージョンCMがかなり気持ち悪いと感じるのは、恐らくそのカメラワーク等々が、「女性を『エロいもの』として見ている男性による視線」でもって操作されている、と見えるからでしょう。
男性バージョンでは存在しなかった、女性の口元や耳元をアップにしたり、濡れた目元や赤らんだ頬をクローズアップしたりという「視線」の演出は、女性を「性的なモノ」として見つめている男性(こちらもそればかりとは限らない)の視点をもろに見る者に想像させてしまっている。
つまり、そこを女性たちは「気持ち悪さ」を感じ、普通のアニメとしてなら「アリ」でも一般の老若男女が目にするはずのCMではあまりよろしくない表現だと判断した、ということだと思われます。
私個人は、単純にあまり食べ物の食べ方で「エロい」などとからかわれたりしたことがなく、そこまで気持ち悪いと感じずに済んだ……と、そういうことのようです。
CMである以上は、そういう風に不快な気持ちになる人がいると分かった時点で会社側もなんらかの対応を取ったほうがいいのでは? と思うのですが、T社さんは今のところ女性たちからの「不愉快です」との感想を無視している状態。それに対して擁護する男性アカウントは「それでいいんだ」と拍手喝采している状態です。いやべつに、勝ち負けの問題ではないんやけども(苦笑)。
これでいいのだろうか……と疑問には思いますが、まあそれは当の会社さんが決めることですのでね。
その結果、自社の他の商品までイメージダウンして多くの(主に)女性たちから買われなくなれば、困るのは会社とそこに務める社員のみなさんになってしまうのですが……そのへんのことはどうなんでしょうかね。
なんにおいても言えることですが、人は決して完全な生き物ではありません。だから必ず間違いを起こす。
でも大事なのは、自分とは異なる視点から「それは間違っているのではないか」と問いかけられたときに、なるべくフラットな視点に立って多くの人の意見を聞き、それが「是か非か」を判断すること。さらに、もしも「非」であるなら恐れることなく「非」であることを認めて改善するべく動くこと、ではないでしょうか。
いやもちろん、当該の会社が「是」と判断するというならそれはそれでいいと思います。あくまでも「是」だという判断ならば、そのままそのCMを流し続ければよいだけです。そして当然、その結果についても、しっかりと受け止めていかれるしかないだろうなと思うだけです。
これについては今後の動きをまた見て参りたいと思いますが、ひとまず今回はここまでといたします。




