103 映画「オッペンハイマー」
こんにちは。
気になっていたけれど、個人的に色々と思うところもあってなかなか一歩が踏み出せず二の足を踏んでいた映画。
まあ、世界で唯一原爆を落とされた国の民として複雑な心境になるのはあたりまえですしね。
でもまあ、仕事の都合でうまく観に行く時間がとれそうだ……となった時、「やっぱり観に行くか」と決心。
ということで、まずは概要からご紹介。
〇「オッペンハイマー」(原題「Oppenheimer」)
2023年製作
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
原作:カイ・バード/マーティン・J・シャーウィン
主演:キリアン・マーフィ
助演:ロバート・ダウニー・Jr
アメリカ 180分 R15作品
うーん、これはね……。一言でいって、難しい。
仕事が終わってから観に行ったわけですが、後悔しましたね。もうちょっと頭が明晰にはたらくコンディションでちゃんと観るべき映画でした。
主人公であるオッペンハイマーが天才的な理論物理学者だからということもありますが、話している内容が難しいというのがひとつあります。もちろん、この映画のテーマはそちらではなくて、学問を究めていった結果、あの原爆を創造する存在になってしまった一個の人間である男が、その恐ろしさを実感する中で抱えていく苦悩や葛藤、ということになるかと思います。
主役を演じたキリアン・マーフィは、「TENET テネット」「インセプション」「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」などで知られるクリストファー・ノーラン監督作品の常連俳優なのだそうで。つまり監督とは「阿吽の呼吸」みたいな信頼関係にあるのだろうなと推察します。
いやもう、本当に鬼気迫る演技で、とても演技には見えませんでしたね、全編。
こちらの映画は第96回アカデミー賞でも最多ノミネート、最多受賞作品となり、クリストファー・ノーランが監督賞、キリアン・マーフィが主演男優賞、ロバート・ダウニー・Jrが助演男優賞、さらに作品賞、撮影賞、編集賞、作曲賞と7つの部門で受賞するほどの高評価をうけました。
そのほか、世界じゅうの映画賞のうち355の賞にノミネートされ、そのうち333で受賞しているという、すさまじい高評価作品。
だから観た、というわけではないんですが、「評価を受ける作品とはどういうものか」ということには正直、だいぶ興味はありました。
結論。
いやもうほんとスゴイですわ。
本当に目の前にリアルのオッペンハイマーさんがいて、彼の感じている苦しみや悲哀を自分もそのまま感じてしまうというかね……。原爆の製造工程などについても、とことん現実的な手法による描写で、カラーとモノクロを使い分けて淡々と進んでいきます。
とはいえ、各所ですでに批評されている通り、実際の原爆によって日本の国土と人々がどんな目に遭わされたか……という描写はほぼなく、あくまでもオッペンハイマーさん自身の心象風景として暗示されるのみにとどまっており、その意味ではなんだか食い足りない気持ちも起こってしまう。
とはいうものの、原爆投下の現場にいたわけでもない彼が実際に何をどこまで想像できたか、受け止めきれたか……と考えると、あのぐらいの表現が一番しっくりくるのかもしれない、とも思ったりして。
原爆の威力を甘く見積もっていたうえに、それによる被害の甚大さについても、かなり甘く考えてしまっていた……というのが実際のところなんでしょう。
原作は小説であり、ピュリッツァー賞に輝いた傑作。日本語訳も出ており、早川書房から出版されているとのこと。
こちらを読んでから観るほうが、より理解が深まってよかったのかもしれません。
あ、そうそう。
助演であるストローズ役のロバート・ダウニー・Jr氏は映画「アイアンマン」「アベンジャーズ」などでおなじみのお顔なのに、映画をみている間はまったく「あ、あの人だ」とは気が付きませんでした~! そのぐらい、いわゆる「ヒーロー」からは遠い演技をきっちりとこなしておられます。
言ってしまえば(オッペンハイマーを責めたてる)悪役なわけですが、その悪どさ、汚さをこれでもかと表現されています。すばらしい役者。
そのほか「オデッセイ」のマット・デイモンや「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレックなどなど、錚々たる俳優陣によってがっちりと脇も固められていました。
そら見ごたえあるわ! という納得感がハンパないです。
ともあれ、まずはご自身で観て、判断されるのがよろしいかと。
ある程度は「予習」をしてから臨まれるとなおよいかな~と思いました。
ではでは~。




