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書くことと読むこと



 はい、本日のお題は、書くことと、読むこと。


 いやもう、言わずもがなのことではありますが、何かを書こうと思ったら、ある程度は人様の書いたものを読んでいるというのは大前提としてありますよね。

 絵を描くことも同様なのですが、なんでもはじめは物まねから始まるわけで。

 文章でも、やっぱりどこかで何かを読んで、なにがしかの感銘をそこから受けたからこそ、「自分も何か書いてみようかな」なんて思うのでしょうし。


 最近、就職が決まったことはお話ししたかと思いますが、実は拙作「白き鎧 黒き鎧」の主人公である佐竹氏が目指すところの、司書の仕事を始めました。

 それも、子供たちにかかわる司書。

 つまり教育現場ですな。

 ですからあまり詳しいことはここには書けませんけれども。


 ともかくも、私のいる地域の学校図書館は、長い間かなり行政から無視され、ほったらかされてきた場所でした。長らく、専属の司書すら配置されていませんでした。

 昔のことを思い出してみても、母校である学校の「図書室」は、なんだか暗くて汚くて、古くて汚れた本ばかりが埃を積もらせて並んでいる、そんな場所に過ぎませんでした。

 要するに、いわゆる教科の学習には力を入れても、そこに図書館が関わることの効果や教育的な意義について、さっぱり()()の方々は理解してなかったらしいですな。だから予算なんかさっぱりおりなかった。まことに情けない話ですが。

 ちなみに昔は「図書室」という言い方が一般的だったかと思うのですが、最近はその機能の向上ということも鑑みて「図書館」という語を充てることが増えているようです。

 これからの学校図書館には、「情報センター」としての機能が求められている、というのがその主旨です。


 こちらのサイトには、まさにその名の通り「小説家になりたい」という方も大勢いらっしゃることでしょう。

 かく言う私の勤める学校にも、そう思って小説を書く少年少女たちがいるようです。

 最近有名になったとある青春小説(人の臓器の名前がタイトルにある、あれですな)は高校生の方が書いたものだとも聞いておりますし、本当にそれを目指す若い方が増えているのだなあと感じます。

 なんとも心強いことです。


 ただそれが、一過性のものであって、単に儲けたいばっかりの出版社、つまりは「汚い大人」の食い物にされるのだけは許せない。

 「コンテンツ」なんて言えば綺麗に聞こえると思ったら大間違いです。実際に食らわれているのは、そういう夢を持ってる若い書き手さん、つまり人でしょう。

 そういう大人が多すぎるんですよね。恥ずかしいことに。

 次から次へと新しい「新人作家」を掘り当てて、そのせっかくの才能を食らい尽くしてダメにしてはポイと捨てる、そんな光景があちらこちらで散見されます。

 自分の作品が書籍化されて大喜びしたのも束の間、気がついたらえらい借金背負わされて、命まであやういことになったなんて若い人の話まで、ちらほら聞こえてくるぐらいです。恐ろしいことです。

 お金の絡む話は、ほんまに怖い。

 関西弁になっているのは、多分拙作「ぽっちゃり男子」の影響でしょうが、まあお許しください。


 ほんま、気をつけてほしい。

 大人の甘い言葉に踊らされないでくださいね。

 「こいつがダメでも、あとにいくらでも別の書き手の若い子がおるし」ぐらい、平気で向こうは考えてるんですから。


 で、です。

 そんな風に「食い物」にされないためにも、小説家になりたい人は、しっかりした文章を書くための土台を身に着ける必要があるでしょう。

 そのためには、やっぱり読書。

 それも、とにかく、いいものをたくさん読むこと。


 じゃあ、「いいもの」って何や。

 やっぱり、時代を乗り越えても人々に読み継がれてきた、本当に力のある作品群がそうだと私は思います。

 つまり、ここ数年でわっと人気が出てあっというまに消えていったような、そんな作品ではない、ということですね。


 実は司書の研修の際に、心に刺さる言葉をとある公共図書館の司書でもある講師から聞いたのです。

 学校図書館には、当然、公共図書館のような広いスペースはない。だから、古くて誰も見ないような資料を何年も置いておくような場所はない。

「ですから、いっとき人気が出て購入したような本、一過性の本などは、勇気をもって処分して、新しい風を常に入れるようにしてください」

 と。


 これ、書き手でもある自分からしたら、心臓の冷える言葉でした。

 「わあ、自分の書いたものもこういう司書さんがたから『一過性の作品や』『二、三年もしたら除籍処分ね』って捨てられる運命なんやないやろか」……ってね。

 もうぞわぞわ来ましたね。

 皆さんはどうですか?


 ま、ともかくも。

 若い人たちには、いい文章をたくさん読んで、書くための力をいっぱいに蓄えて、人生経験もたくさん積んで、変な大人の食いもんになどならない、本物の書き手になってほしいと思う。

 そのためにも、身近に頼れるいい司書さんを見つけてほしいですね。

 学校図書館だけでなしに、公共図書館にもです。

 どんどん、司書を使ってください!

 司書を暇にしてたらあかんのんですよ!

 そして、いい本、いい文章をたくさん読んでほしいなと思います。



 さて。

 本日をもって、毎日更新も一年と十ヶ月となりました。

 この文章をその記念として、ここに発表させていただきます。

 ご高覧、まことにありがとうございました。



                         平成29年4月24日

                           つづれ しういち

 




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