ミヤビのメイド仕事
メイドになるためにジャクリーンの指導を受けることになったミヤビ。
次第に溶け込んでいけるのか?
ミヤビが生活を始めて少し経った。
仕事と生活には少しずつ慣れ始めてきた。
掃除は少しずつ慣れ、やり方も少しずつわかってきた。
窓を拭き、照明と家具の埃を払い、床を掃除する。
数日に1回、定期的にカーペットを掃除する。
そして担当分が終了したことをジャクリーンに説明した。
「終わりましたか?貴女は今日あと2つ部屋の掃除がありましたが間に合いますか?」
「はい」
「よろしい」
どうしても間に合わせなければならないという意地があったため、急いで掃除をする。
たまにジャクリーンが見回りに来てチェックをしている。
今では部屋を幾つか担当することになった。
たまにジャクリーンは掃除している所を見に来ている。
「遅い。時間はかかっても今の半分にしなさい。掃除の順番を考えないと終わらないですよ」
そう言いながら手本を見せながら掃除する。
「掃除に決まった手順はありません。ですので自分でやり方を考えなさい。私の方法はやり方の一つです」
そう言いながら、ジャクリーンは教えていく。
ミヤビはこの日々に達成感を覚えていた。
今までの現実の生活とは違う。
何かを出来て、そしてそれを評価される。
それは時には落ち込むこともあるが、何の意味もなしに怒られる事はない。
ジャクリーンはいつも凛としている。
ミヤビはそのジャクリーンに憧れつつあった。
格好いい人だなと。
そう思いながら掃除をしていく。
担当分の部屋を掃除し終えると、もう夕方になっていた。
「はい。今日は終わりですね。お疲れ様」
そう言ってミヤビだけは開放される。
他のメイドたちはこれから食事の準備と残りの仕事がある。
ランプにガスを入れに行ったり、夜通しの仕事もある。
ただ、ミヤビが開放されるのはマリアのお気に入りだからだ。
ミヤビはジャクリーンから開放されると、身を綺麗にしてマリアの部屋に行った。
服は以前もらった服の中の1つだ。
その服を着てマリアの部屋の前に立つ。
ドアを3回ノックする。
「入りなさい」
マリアがそう言うのを聞いて、ドアを開いてマリアの部屋に入る。
マリアがミヤビの顔を見ると笑顔になる。
「あら!今日も来てくれたのね!!」
「はい、マリア様」
返事をするミヤビは腰から折る礼をした。
それをみてマリアは嬉しそうだった。
「すっかりジャクリーンに使われているようね。良い事だわ。彼女は気が難しいから」
そういって、マリアがミヤビに駆け寄る。
「さぁこっちにきて」
「はい」
マリアはミヤビの手を引いてベットに座らせる。
ミヤビは初めはこの行動に抵抗を示していた。
主人の目の前で座るなど、と思ったこともある。
それにそうすることで、ジャクリーンに怒られる事も怖かった。
だが、当のジャクリーンはこのことを知っても気にする様子はなかった。
「主人の意向に柔軟に対応するのもまた、やらなければならないことでしょう。貴女が正しいと思うならやりなさい」
そう言った。
だからミヤビは座ることにしている。
それが、マリアと自分との距離間なのだと思う。
「ジャクリーンは厳しい?」
「ちょっとだけ。でも優しい人ですね」
ミヤビは微笑みを浮かべながら答えた。
本心でそう思っていた。
それを聞くとメアリも喜んだ。
「ジャクリーンは私の育て親みたいな人だから。私にも厳しく言われたわ」
そう遠い目をして言った。
頬には喜びを貯めて、微笑んでいる。
楽しい思い出を思い出したのだろう。
「前はこんなことがあってね・・・」
そういう、取り留めもない話をしていく。
同じ容姿の2人であり、今は主従であり、友でもある。
その感覚はミヤビにとって大変な切り替えであったが、苦痛ではない。
仕事があって話し相手がいることに安らぎすら覚えていた。
ミヤビはそういう生活を送っていた。
ここから二部です。
よろしくお願い致します。
あと、メイドっていいものですね。