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少女の異世界奮闘記  作者: 羊洋士
第一部 上 ~ミヤビ~
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メイド生活の始まり

メイドになる決意を固めたミヤビは、ジャクリーンの指導に入る。

厳しいジャクリーンの教えに対してミヤビは心のなかだけで悲鳴をあげる生活を送ることになる。

食事の後にジャクリーンメイド長と対面した。

そして、頭から足先までじぃっと見て、ジャクリーンは言った。


「あなた、本当にやる気ですか?」


「・・・はい」


鋭い眼光に晒され、ミヤビは気後れする。

そこにジャクリーンは注意した。


「返事が小さいし歯切れが悪い。もっと淑女らしく、静かにそれでいて通る声で話しなさい」


「はい」


「まだ小さいですね。まぁそれはこれから覚えていけばいいことです。まずは貴女は私について来てください。よろしいですね?」


有無を言わせない目でミヤビを見る。


「はい」


「語尾が弱い。よろしい。では、付いて来なさい」


そう言ってジャクリーンは背を向けて部屋から出る。

ついて来いと言っているのだ。

ミヤビは遅れないように歩き出した。


「返事を聞いてませんが、ついてきているのですか?」


「はい」


慌ててミヤビは返事をする。


「よろしい」


彼女はそう呟いて、先に進む。

食事を摂っていた部屋の先には直ぐに厨房に繋がる。

そこではジャクリーンと他数名のメイドたちがいた。

そのメイド達にジャクリーンは声を掛けた。


「みなさん、申し訳ありませんが聞いてください」


そう言うとメイドたちは一斉に手を止め、ジャクリーンの方向を見る。

ジャクリーンはそれを確認すると、言葉を続けた。


「新人が入りました。皆さん仲良くしてあげてください。ミヤビ。自己紹介なさい」


そういってミヤビは一歩前に出る。

ミヤビは思った。

淑女らしく、そしてハッキリと。


「皆さん、ミヤビと申します。よろしくおねがいします」


そういい終わり頭を下げる。

するとそれに応じるように、メイドたちは一斉に頭を下げる。

腰から上半身を折り曲げて下げる頭も、元の姿勢に戻る仕草もすべてシンクロしていた。

その一連の動作を見てジャックリーンは頷く。


「皆さん。お仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした。続きをお願いしますね」


そう言うとメイドたちは自分の手元の作業に戻る。

皿洗いを何人かで分割して行い、あるものはキッチンの掃除などをしている。


「では、自己紹介は済みましたね。では部屋を案内しますから、その道すがら説明をしましょう」


「はい」


ミヤビは返事をした。

ジャクリーンはキッチンを後にする。

それにミヤビはついていく。

マリアと食事していた部屋を抜けて廊下に出る。


「まず、我々の仕事は食事の管理と部屋の管理、建物の保全が主です。交代で庭を選定したりしていますが、まず部屋の掃除をしてもらいます」


「はい」


「返事は良くなりましたね。まずは部屋を覚えることが大事です。使われていない部屋も掃除しますから忙しいですよ」


そうしてどんどん部屋の説明をしていく。

部屋が多い。

長い廊下にはズラリと扉が並んでいる。

どれもがミヤビにあてがわれた部屋と同等の広さを持っていた。

それが数十とある。

一頻り回るとジャクリーンが説明を続けた。


「それから貴女の活動範囲を限定します。基本的に今回ったところだけで生活してください。他の場所に行くと別の主に仕えるメイドがいますので、トラブルの種になりかねません。私もメイドもこれを徹底しています。これは私達全員のルールですので」


「はい」


「良い返事です。あとは掃除の手順と方法ですが、それは今から私と一緒にやりましょう」


「はい」


「もう一つ。貴女は他のメイドとは違う扱いになってしまいます。姫様のお気に入りですので。その点を踏まえて私はあえて言いますが、仕事に特別扱いはしません。ですが姫様のお相手をさせて頂かねればならのですから激務は覚悟してください」


「はい」


「よろしい。では掃除に移ります」


そう言ってジャクリーンは1つの部屋にミヤビを連れてきた。

そこは倉庫のようなにロッカーや道具が置いてある。


「ここで掃除道具を取って現場に向かいます」


そう言ってバケツとモップ、それと布を数枚ミヤビに持たせてジャクリーンはその部屋を後にする。

掃除道具を持っているのもあるが、そもそもジャクリーンは歩くのが早い。

それに付いて行くように駆け足になった。


「走らない。私たちは火事であっても歩いて行かなければなりません。誰かに見られているかもしれないという事を自覚なさい」


「はっ、はい」


「返事は常に一定声量で。息を乱さない体力をつけなさい」


「はい」


ミヤビはジャクリーンに少しついて行っただけでひどく疲れていた。

ただ、細かいことでも、注意の内容をジャクリーン自身は完璧に熟している。

それでいて顔色一つ変えない。

当然であるかのように。

それがミヤビにとっては衝撃だった。

2人は掃除に取り掛かる。

ミヤビはジャクリーンに仕草一つ一つ指摘されながらもこなしていく。

目の回る生活が始まった。


一部上の終了となります。

ここまで読んでくださったこと、感謝いたします。

内容的には、異世界飛んで食って騒いでメイドになる話です。

今後はメイド編です。

よろしくお願いします。

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