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少女の異世界奮闘記  作者: 羊洋士
第一部 上 ~ミヤビ~
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美食の余韻

ドレスで夕食を食べるミヤビはその場で、ワインを飲まされた。

そして慣れないアルコールに酔いつぶれてしまった。


リンがミヤビのために用意された部屋に、ミヤビを運ぶ。

ミヤビは酔って眠っている。

リンはそのことに対して対して思うことはない。

また姫のお戯れか・・・。

マリアは姫らしくない。

彼女は国と治世に対しての知識はあるが、それを行うための知恵とやる気がないように思える。

リンとシンは2人共マリアの幼い頃を知らないため、やる気が無いのかは判断できない。

だが、王族というのは後に生まれたほうが圧倒的に不利だ。

子供で何もわからない頃に兄たちに仕込まれるからだ。

兄達に逆らわないこと、姉達の力になること。

それらは国王によって禁じられた接触もあっただろう。

だが、国王も忙しい身であるため、全てを見ていられるわけではない。

目を盗むことなど誰でも出来る。

ただ、リンがそう思ったように、国王もそう思ったらしく、マリアの溺愛っぷりは他の兄弟よりあからさまだ。

それが、また愚痴の種になっている。

それらは事実だ。

だが、姫として生を受けたなら当然といえば当然だ。


「当然と言わなければならないとはな・・・」


眠っているミヤビを運びながらそう呟く。

明かりの灯っていないくらい廊下は月の光だけが頼りだ。

リンは暗闇でも十分見えるので、躓くこともない。

ミヤビを起こさないように揺らさないように歩く。

そして廊下を歩くと部屋についた。

扉はもともと半分だけ開けて換気していたので、両手がふさがっていても入れる。

入ると、マリアの部屋ほどではないが、それでも大きい部屋だ。

中心に大きな天蓋付きのベットがあり、壁際には家具が並べられている。

リンは部屋の中央のベットにミヤビを寝かしつけて頭を撫でる。


「貴女が何者なのかわかりませんが、ここにいる間は姫様が守りますから今は安心して眠ってください」


そう言って微笑みかけた。

マリアとおんなじ容姿をして、マリアのドレスを着て寝ている。

まるで自分とシンのようだと思った。

だが、彼女は先ほど合ったばかりだ。

だから、どんな人間かは分からない。

だが、少したどたどしく返答している彼女は悪い人間のように思えない。


「それは私が姫様にお仕えしているからだろうか?」


マリアは少々箱入りな所があるが、基本的にはやさしい。

我儘もこちらを困らすようなことは殆ど無い。

紅茶をせがんだりするが、それは愛らしさだと思う。

齢でいえば妹のような年齢だ。

兄妹のように近づきすぎているとリンはたまに自分を戒める時がある。

だが、マリアはそのことに怒ったりしない。

むしろ喜んでいるようだ。

だが、と思う。

だが、マリアはこの国の姫だ。

愛らしさだけでは生きていけない。

そのことはマリアも十分すぎるほど分かっているはずだ。

はずだと思うが、最近は本当に騎侯士の役目を放り投げている。


「やれやれ・・・」


リンは溜息をついて思考を止める。

これから後片付けとあすの準備をしなければならない。

そう思い部屋を出ようと足を扉の方へ向ける。


「リンさん・・・」


そう呼びかけられてリンは足を止める。

そうして振り向いた。


「どうしたのですか?」


リンは静かに返答した。

名前を呼ばれたリンは少し驚いていた。

シンと見分けたのか?

それとも私が名前を呼ばれた時は起きていたか?

考えるリンに対してミヤビは質問する。


「リンさんは、マリア様のことをどう思っていらっしゃいますか?」


「お仕えするに値する方と」


リンは即答した。

姫をどう思っているかという質問はたまに来る。

彼女の兄達からや、軍の将からだ。

そういう時のために決めている返答がある。

それが今言った言葉だ。


「じゃあ、私のことはどう思ってますか?」


「先ほど知り合ったばかりなので、お答え出来るほど貴女を知りません」


「じゃあ、姫が2人いるという事をどう思いますか?」


「姫様は1人です。貴女は客人です」


「じゃあ、リンさんとってシンさんはどんな人ですか?」


「信用できる兄弟だと思っております」


「本当に?」


「本当です」


リンはミヤビが何を思っているか分からなかった。

だが、聞かれたことなので応える。

淡々とした返答は乱れがない。


「すみません。変なこと聞いて・・・」


「いえ、問題ありません」


そう言ってミヤビは沈黙する。

リンはその姿を見て、気になることが合った。


「ミヤビ様。どうして私がリンだと思いました?」


「うん?なんとなく雰囲気がリンさんだから・・・。2人が似ているのは外見だけなので」


「私とシンはそんなに違うように見えますか?」


「なんとなくですよ」


「そうですか」


リンは納得はしていないものの、とりあえず頷いた。

確かにシンと私は対応の仕方に差はあれど、見逃すほどの些細な差だ。

雰囲気までよく似ているという事はよく言われる。

だが、ミヤビはそれを否定した。


「失礼します」


そういってリンは部屋から退出する。

リンは思う。

否定されたが、ただそれだけの事だと。


ドレスのまま寝てます。皺が気になるますね。

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