王との謁見
勝利の報告をしに王のもとへ。
そこで知らされる王の判断と衝撃の事実とは・・・・
勝戦の宴から数日後。
マリアはシオンと数名の兵を引き連れ、首都へ出発していた。
兵は10名には及ばない程だ。
その兵をシオンに任せる。
彼女なら暗殺の危険を察知できるから。
マリアが少し危険があるとおもったのはそれだ。
事をやり遂げたあと、王やその周りに、邪魔だという判断をされるかもしれない。
マリアは本物の姫ではないのだ。
王族に他の血を入れない。
それは存在してもおかしくない思想だ。
「シオン。兵達は大丈夫?」
「大丈夫さ。二日酔いは消えてる」
マリアはそれを聞いて微笑んだ。
本当は旅路で疲れていないかと聞いたのだが、シオンは別のことを心配していたようだ。
それともわざと間違えたように言ったか。
どちらにしても大丈夫そうだったのでそれ以上聞かなかった。
そうして黙々と城へとの道を進む。
数日の旅路を終え、城についた。
マリアが到着したら、兵に部屋をあてがい、そこで休ませた。
そして単身で王へと謁見をしにいく。
到着事態は、事前に手紙を送っていたのでスムーズに行うことが出来た。
謁見の間へマリアは進んでいった。
「どうぞ。姫様」
「ありがとう」
兵士が謁見の間の入り口を開けて入るように促す。
マリアは礼を言って、謁見の間に入る。
大きな空間だ。
石で出来た硬い床があり、王まで続くカーペットを彫刻の施された柱で挟んでいる。
その道をマリアは進む。
その先に王座に王が座っている。
それを見ても落ちつて、歩を進める。
そして王の前で跪いて言った。
「マリア・マキシレオーネ。勝戦の報告に参りました」
それに対して王は応える。
「うむ、これでしばらくは大丈夫だろう。大儀であった」
「はい」
形式的な発言。
王自身も実の娘でないことは承知しているためか、言葉に感情が篭っていないような気がする。
そして、王は隣に居た兵士に命令した。
「人払いを」
「はっ!」
兵士は返事をして、下がる。
同時に謁見の間にいた兵士も姿を消した。
王はそれを確認すると、マリアに言った。
「マリア、いやミヤビか。よくやってくれた。そちにマリアの領地を預けても大丈夫だろう」
「ありがとうございます。王の為、そしてマリア様の為、領地を守ることを約束いたします」
そのマリアの発言に王は頷いた。
「そうなると、そちは名実共にマリアと成り代わるわけだな」
「それはどういう?」
マリアは疑問符を浮かべた。
それに応えるように王が何かを取り出した。
マリアがよく見ると、王が取り出したものは桶のようなものだ。
木でできた背の高めの桶だ。
「それは?」
マリアの質問に王は頷いて、その桶に手を入れた。
そして、取り出す。
「!?」
マリアは王の取り出した物が何か気付いた。
それは、大きさは20cm程の楕円形の物で、重さもある。
人の頭だった。
「マリア・・・さ、ま?」
今の自分と同じ顔の造形をしていた。
その頭が本物のマリアだと直感した。
そして唖然となるマリアに対して王は言った。
「マリアは一人でいい。どちらを残すかは、先日の戦で決着付いたのだ。そちのほうを残すのがこの国にとって有益だと」
「・・・・・」
マリアは驚きで声を出せない。
そのマリアに対して王は無機質な言葉で続けた。
「マリアよ。これからも頼むぞ」
そう言って、王は桶に本物のマリアの生首を収めて、兵を呼んだ。
「謁見は終わりだ。マリアも疲れている。部屋へ案内しろ」
「はっ!」
そうして兵の一人がマリアに近づく。
「さぁこちらへ」
「え、ええ・・・」
そして王との謁見を終えた。
マリアは滞在する部屋に帰った。




