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少女の異世界奮闘記  作者: 羊洋士
第二部 下 ~開戦~
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逃走反転

兵を失いながら撤退するマリア。しかしそれでもレオニールの軍勢はだんだん距離を縮めていく。


マリアは敵の軍勢が再び進行を始めたのを知った。

それは敵を討ちにいったレクスらが息絶えたことを意味する。

彼らが引き止めた時間は少しの間。

だが、100倍の相手にその時間を稼いだのだ。

マリアは心のなかで感謝していた。

マリアの軍はその時間で速度に乗ることが出来たからだ。

マリアは撤退する。

そしてマリアの軍は平原に出る。

見渡す限りの平原で視界は良かった。

マリアはそのまま兵を進める。


「走れ!!止まるな!!足を止めると死ぬぞ!!」


「おおおおお!!」


それを追うのはレオニールの軍。


「進め!!敵の首を討ち取れ!!」


「おおおおお!!」


距離は段々と縮まっていく。

それでもマリアは撤退を続ける。

マリアは焦りを密かに持っていた。

この平原で逃げきれるだろうか?

捕まったらそこでこの戦は終わる。

味方の軍勢は敵に蹂躙され、私は死ぬか捕虜。

どちらになってもマリアには、アリスティア騎侯士としては死を意味する。。

例え生きて国に帰れたとしても、戦で負けに導いた将として一生日の目を見ることはなくなる。

戦こそがアリスティアでの価値であり、戦えないものには王族ではいられなくなる。

その熾烈な迄のプレッシャーは、王族を強くしてきた。

百回やって百回勝てるのが戦ではない。

だが、上手く負ける、最後には勝つという流れすらこなして行かなければ未来はない。

それは、マリアにとっても同じ事だ。

兄たちはそれぞれ努力している。

兵を強化し、経済を強化し、勝つための努力を惜しまない。

だが、マリアにとってその思考は不利だ。

姫になった短い時間で積み上げられるものなど高がしれてる。

それでも挑んで行かなければならない。

それがこの国の姫の在り方。

戦で成り上がった国の在り方だ。

私はここでは死ねない!!

マリアは自分に叱責し、走り続ける。

マリアの兵たちは疲弊していた。

もう限界か!?

それでも走らなければ死んでしまう。


「走れ走れ!!」


マリアはそう叫んで撤退の戦闘を走る。

平原を進む。

この先には村がある。

小さな村だが、質素に暮らし農作物を都市に流している。

立派にこの国の経済を支えている村だ。

リリィの故郷だ。

その村に近づいていた。


「はぁはぁはぁ」


兵たちも息が上がっている。

ついに、村が見えてきた。

もう限界だ。

だからマリアは叫んだ。


「状況開始!!"通りぬけ"を始めろ!!」


マリアはそう叫んで立ち止まる。


「おおおおお!!」


そう叫んで立ち止まったマリアの横を兵たちが通り過ぎる。

マリアは目を瞑って息を整える。

ここまでは逃げれたけれど、限界だ。

これ以上敵に接近されたら対抗することもできなくなる。

だから、マリアは行動を開始させた。

マリアは兵を全て自分の前に出すのだ。

そして最後の1人が通り過ぎた所でマリアはまた叫ぶ。


「"反転"!!」


マリアを通り過ぎた兵たちはその声を合図に足を止め、体を反転させた。

最後尾に出たマリアが、その兵達の反転を経てまた最前になる。

それをみてレオニールは考えた。

諦めたか?

ならば、押しつぶすだけだ。

敵の撤退で自軍の兵たちも疲弊していた。

この先に村があることはレオニールも知っていた。

だからこその"追う"という選択をしていた。

その村まで進軍するのは予定通りだったからだ。

それが敵を追うことで早まっただけのこと。

追ったとしても、村の向こうに逃げられれば追わないと決めていた。

ここで野営をして、味方の補給を待つための拠点を立てるつもりだ。

そうして新たに兵を立てなおして、前線を押し上げる力を得るのだ。

レオニールはそのための先陣。

だからその使命を守るために敵を蹴散らす。

レオニールは前進を加速させた。

兵たちもレオニールに続き速度を上げる。

その軍勢はマリアに迫る。


「すぅ~」


マリアは息を整え終わり、剣を翳した。


「勝つぞ!!雄叫びを上げろ!!」


「おう!!おう!!おおおおお!!」


レオニールはその発言に驚いた。

勝つ?この状況で?

諦めて特攻を選んだか?

ならば落ち潰すだけだ。

そう思い突進を続ける。

そしてマリアは次の言葉を発する。


「よろしい!!"表を上げろ"」


その言葉の後に1つの事態が生じる。

レオニールはその事態をみた。

そして兵の1人が報告が全軍を揺るがす。


「大将!!軍の両脇に兵が出現!!それぞれが大隊級の人数です!!」


レオニールは戦慄した。

そして思わず声を上げた。


「この為に逃げていたのか!?」


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