戦いへ至る時
準備をし、戦場にそなえたマリアたち。そして、それはこの日のために。
大量の足音を引き連れて歩いている男がいた。
その男は今から戦場へ向かって歩いている。
目的はアリスティアへの侵略。
少しでもアリスティアの領地を得るための進軍。
その尖兵だ。
男は2メートル程の背を持ち、対峙したものを物怖じさせる。
筋肉で覆われた腕を持ち、剣を握り振るう。
それだけで、気迫が相手に伝わる。
男は戦いの名手だった。
「大将。もうすぐ山を抜けますぜ」
男は部下にそう呼ばれていた。
男の名前はレオニール。
猛将として名を馳せていた。
レオニールは勇敢な突撃を攻撃の主とし、迅速な撤退を重きにおいてた。
勇敢であれば勝てる。
そして、退却も勇敢である。
そうレオニールは兵の前で声高らかに謳っていた。
それを知らぬ兵士は彼のものには居ない。
「ふむ」
レオニールは気を引き締めた。
国境を抜けると敵地だ。
下山では敵に襲われなかったが、山を抜けるとそうは行かないだろう。
必ず敵兵が待ち構えている。
国防の為にはそうしなければならない筈だ。
通り道はある領地。
そこは王の息女というだけで有力騎侯士の無能な姫が治める領地だ。
だからこそレオニールはここを選んだ。
その領地を足掛けにし、いつでも国を狙えるぞという牽制をかける。
それがレオニールの今回の目的だ。
だが・・・・。
姫が無能であれ騎士が有能であれば手こずるかもしれない。
また、姫が他の騎侯士に泣きついている可能性だってある。
何があってもおかしくない。
それは将としての嗜みだ。
「もうすぐだ!気を引き締めろ!!」
「おおおおお!!」
レオニールは兵に雄叫びを上げて士気を上げる。
そうして一行は進んでいく。
細い道を歩き、根の露出する木々を越え谷をくぐる。
そうしてたどり見えた。
「平原だ!!山を抜けるぞ!!」
1人の兵が声を上げた。
レオニールは頷いた。
両脇にある高い岸壁がある谷の道をもうすぐ抜ける。
そうすれば平地に出られる。
平地では多数という強みが活きる。
こちらが少数なら撤退し、山で戦いを挑める。
どちらになってもレオニールの得意戦術。
だからこそ、レオニールは恐れない。
レオニールの勇敢は歴戦の記憶が支えていた。
たとえ、敵が誰であってもタダでは負けんぞ!!
そう意気込んで歩を進める。
レオニールが平原に向かって歩いていると、前方に見えるものがあった。
「敵か?随分少数なのだな・・・」
レオニールは不審に思った。
少数なら少数なりの戦い方があるだろう。
たとえば、山で乱戦を仕掛ける。
たとえば、狭い路地で戦う。
それらをしなかったのは何故だろうか?
「だが、チャンスぞ」
レオニールは不審を拭った。
無能の姫ならば、戦足らずの頭で意地になっているだろう。
もし意地になって立っているのなら、それは絶好のチャンスだ。
「全軍敵だ!!剣を抜け!!」
レオニールがそう叫ぶと、兵が行動で示す。
全員一斉に剣を抜いた。
そして皆、眉間に皺を寄せ、緊張した。
◆
マリアは自らの兵を率いて、敵を見た。
敵は多い。
そして、敵将は強い。
それは前情報で分かっていたことだ。
だから、今更おそれることじゃないわ!
恐れはずっとあった。
自らの使命と言いながらも、それは払拭できるものではなかった。
だが、ここに来た。
ここに立ってしまった。
立ってしまったからには責任を取らなければならない。
勝利に導く、騎侯士の責任を。
マリアは静かに剣を抜いた。
この剣はガイウスの教えが詰まっている。
それは生き残るための剣であり、同時に生きるための剣だ。
その剣を握りしめて、敵を睨みつける。
「さぁ、行くぞ!!」
マリアの、臨むための戦場が始まる。
二部下が開始です。
よろしくお願いします。
猛将レオニール。
部下の信頼が篤い人物。
内政には弱い方です。
戦バカってやつです。




