マリアの着せ替え遊び
姫がミヤビを城に招く。
ミヤビはそれ付いて行く
「なにこれ?」
ミヤビは声を上げた。
大きな城の裏口から入るとそこは綺羅びやかな装飾や、キラキラとした宝石が一面に散らばっていた。
天井には絵が書いてあり、ここが城なのだということを一層実感した。
たが、ミヤビが驚いて声を上げたのはそのせいではない。
裏口を入って誰にも見つからないように歩いて行くマリアの後に続いて着いたのは、広い部屋だ。
そこにも綺麗な装飾が施された天井や壁があった。
ミヤビは驚いて声も出なかった。
こんな暮らしをしている人がいるなんて。
そう驚かずにはいられなかった。
「いらっしゃい!まずはそうね・・・服を着替えましょう!」
マリアは手を叩いて言った。
笑みを浮かべたマリアはシンと呼ばれる紳士然としていた男に何かを言い渡した。
そしてシンは着々と準備を進めた。
色とりどりのドレスは、薄い布やゴテゴテのものまである。
そしてシンは一つの大きな鏡を持ってきた。
スタンドミラーみたいだわ。
そう思いミヤビは鏡を覗きこむ。
その鏡には、自分の全身が映るはずだった。
だが・・・。
「なにこれ?」
なんでマリアが写っているの!?
そう疑問した。
「どうしたの?ミヤビ?」
マリアがミヤビと並んで鏡を覗きこむ。
そこでまたミヤビは驚く。
マリアの顔が2つ!?
鏡には2つのマリアの顔が写っていた。
ミヤビは初めのうちは角度でマリアが写っただけかもしれないと思っていた。
だが、今の瞬間で自分の顔が変わっていると事知った。
ミヤビは自分の顔が変化しているのだ。
そして、シンが初めて私の顔を見た時言った言葉の意味を理解した。
それであんなに驚いていたし、このマリアという少女も"面白い"って。
「じゃあ着替えましょ?」
そう言ってミヤビを着替えさせた。
様々なドレスに。
「私と同じもので似合うかしら?」
そうブツブツ言いながら着替えを進める。
そして完成した。
ピンク色を基調としてドレスでフリフリが少しだけ付いているシンプルな作りのドレスだ。
それをみてマリアは納得したかのように頷いた。
「どう?」
感想を求めてきた。
ミヤビはドレスなど来たのは勿論初めてだ。
自分は一生に1回着れるかどうか怪しいとまで思っていた。
ある種の願望が叶ったのだ。
「綺麗な服です。ありがとうございます」
「まだまだあるわよ。次は何を着る?」
ミヤビはマリアが言うままに次々とドレスを着ていった。
ミヤビは初めは緊張していたものの段々楽しくなりつつあった。
「ねぇミヤビ。帰る場所が無ければここに住むのはどうかしら?」
マリアがミヤビの着せ替えの途中で唐突に言い出した。
ミヤビは困った。
帰る方法が分からないし、そもそも帰りたくはない。
それに行く宛もないこの状況ではミヤビにとってありがたい提案だ。
だが、さきほど会ったばかりの少女にそこまでお世話になっていいものだろうか?
そういう葛藤がミヤビの中で起こった。
悩むミヤビはマリアを見て、手を叩いた。
何かを思いつたようだ。
「じゃあ夕食を一緒にしましょう?寝床も用意させるから一泊泊まって行きなさいよ」
そう言ってミヤビの腕を掴んでグイグイと引っ張る。
「シン?リン?今日は2人分用意して」
マリアがそう言うと、男が2人出てきた。
先ほどのシンと呼ばれる男と、もう1人はリンと呼ばれるシンと瓜二つの男性。
双子・・・?
一見でシンとリンを見分ける事はミヤビには出来なかった。
「はいお嬢様」
2人はピッタリと合った声で返事をした。
それを満足そうに聞いたマリアは引っ張っている手を離して振り向いた。
「じゃあそれまで何してようかしら?」
そんな風にミヤビに微笑みかけた。
双子ってのはなんだか神秘的ですなぁ。その分書きにくかったりしますが・・・