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少女の異世界奮闘記  作者: 羊洋士
第二部 上 ~マリア~
24/44

怒声へと

喧騒から一夜明けて姫は2日酔いを隠しての会話

「あたたた・・・・」


マリアは朝食を食べるために食堂に来ていた。


「姫様。昨日は呑んでいらしたのですか?」


シンはマリアに呟く。

昨夜は1人でアルマンに会いに行ってたというのは秘密だ。

2人には秘密で会いに行ったのだ。

そして、2人で酒を朝まで飲んで、マリアは夜が明ける少し前に屋敷に戻った。

それから寝ると起きられなくなるので、眠気を我慢している。


「なんだ?今日はアルマンを招くのだからもう少し緊張しろ。それとも不安で昨日は眠れなかったか?」


マリアはガイウスの言葉に微笑みを返してた。


「ええ。ちょっとね」


「姫様大丈夫ですか?」


心配そうな顔でシンがマリアを覗きこむ。


「大丈夫よ。心配ないわ」


マリアはシンにそう呟いてパンを千切る。

そしてパンを口に入れる。

言うことを聞かない胃で、少しずつ朝食を押し込めていく。


「困ります!貴方はだれですか?」


朝食の途中で騒がしくなった。

メイドの1人が大きな声を上げたのだ。


「誰か来たのかしら?」


そういって食堂の入り口に注目する。

そこに入ってくる人間がいる。


「よー!ご機嫌麗しゅう。姫様」


アルマンだった。

アルマンはフランクに片手を上げて、マリアに挨拶した。

だが、マリアが挨拶する前に声を上げる人物がいた。


「貴様!!アルマン!!こんな朝早くから来るとは無礼だぞ!!」


ガイウスの怒声にアルマンは動じずに答える。


「すまねぇな。今日来いって言われてたから一日中開けてたんだが、暇だったから。都合が悪ければここで待たせてもらってもいいかなぁって」


「貴様!騎侯士の前でその口の利き方!どういう了見だ!?」


ガイウスは大声を上げて怒っている。

マリアはガイウスの怒りを抑えようと声をかける。


「ガイウス。口調はいいわ。あとすこし落ち着いて」


マリアはガイウスに言ったあと、次はアルマンの方向を向いた。


「せっかく来たのだから、朝食でもどう?」


「残念ながら、普通は飲み明かした後は何も食べれないものなんですよ?」


マリアは苦笑した。

アルマンは、一応マリアを気遣って、昨日単身で乗り込んだことを伏せておいてくれた。

だが、"普通"を強調して、嫌味を言ってきた。

それがマリアには面白かった。

こんなことで面白がれるのは、すこしお酒が残っているのからかもしれないと自分で思う。


「じゃあ、紅茶でも飲む?それと話は始めちゃってもいいかしら?」


アルマンは席の一つに座って、紅茶を受け取ろうとする。


「私は構いませんが、いいんですか?手早く済ましたいところでね」


アルマンが了承の意を表すと、それに対してガイウスは言い放った。


「良い訳ないだろうが!痴れ者が!!」


ガイウスはまだ怒っている。


「まぁすぐに終わるのかはあなた次第ね。何も考えずに了承すれば、直ぐに帰れるわ。普通飲み明かした後というのは眠いものね」


嫌味を返した。

それを聞いてアルマンは笑った。

ガイウスはそれでも怒っていたが、マリアの言葉で自重した。


「はっは!こっちは断りに来たんだがな!」


「最初はそれでもいいわよ」


マリアは微笑みを崩さずに言う。


「私の下に付く気はない?」


「ないね」


「そう?残念ね」


「分かったか?」


「分かったわ。説得しなければならないのね」


「あんまり分かってねーじゃねーか」


そう言ってアルマンは笑った。


「まぁ条件を聞いてからでもいいじゃない」


そしてマリアは姿勢を正してアルマンに向きあう。


「貴方が私の傘下に加わって欲しい。まず、守護地の再配置と戦役の義務、命令の実行義務を課します」


「それじゃあ俺は損ばかりだな。お断りだ」


マリアは考える。

この男が何を考え、何を欲しているかを。

アルマンは領地を追われた。

その原因となったのは、騎侯士に歯向かったからだ。

何故この男が命がけでそれを行ったかが不明だ。

だが、聞くわけにはいかない。

聞くというのはそれでまず交渉の一つになり得る。

教えるから何かよこせと言われても仕方ない。


「その代わり、議会への出席を許可します。兵の支援という名目で物資を支援できます」


「議会なんて開いたことないじゃねーか。それに物資なら間に合ってる」


「貴方ほどの人が、それで守護地を守れると本当に思ってるのですか?」


ここで出来ると言えば、マリアはアルマンを解任して兵を没収するつもりだ。

危機感の無い騎士など必要ない。

没収を今までしなかったのは、このアルマンが戦力を保持し、守護地を守ってきたからだ。

だが、見込みなしとマリアが判断すればアルマンもこの地にいられなくなる。

見込みなしと判断されるような事はアルマン自身あまりいい事ではない筈だ。


「・・・・」


アルマンは沈黙した。

手勢は大体4千程。

実際に他国に侵略されたなら、簡単に蹴散らされる程しかいない。


「兵が足りないならばこちらから兵を送ります。他国に侵略を受けるなら、私が戦場にでます」


「はっ!姫様に何が出来るって?」


「先陣を切るのは将の役目。それが出来ないようならば私が騎侯士である必要はない。戦場をかけてこそ騎侯士です。アリスティアはそういう国です」


「確かに他の騎侯士はそうしてきたな。ただ全員ではない。腰抜けでも口だけならなんとでも言える」


「出来なければ私を殺しなさい。罪には問いません」


「それを信じろって?」


アルマンは懐疑的な声を上げる。

それに対してマリアは言う。


「信じてもらいます。出来ないと判断するしたならば、その時点で私を殺しなさい」


「騎侯士を殺すってのはなぁ。騎士にとって致命的な汚点なんだ。姫様に殺される覚悟があったとしても、俺としては釣り合うもんじゃねぇな」


現状維持を求める相手を説得するのは難しい。

相手が殆ど何も望まないならば、こちらも答えようがない。

それによって交換条件が成り立たないのだ。

アルマンを解任することは出来る。

アルマンは領民の支持を得ていない、急ごしらえの騎士だ。

だが、それをするならば、他の騎士も解任される危険を感じ、離れていくだろう。

それはマリアにとって好ましくはない。


「・・・・・」


マリアは悩む。

この問題はこの領地全体に関わる問題だと思ったからだ。

平和な生活に慣れ、求めることを忘れた騎士や領民は多いだろう。

示さなければならない。

まだまだこれからだということを。

だが、それをするには、マリアには実績も力も持っていない。

手勢も少ない。

こんな状態でどうしろと?

そういう気持ちがマリアの中で起こる。

苛立ちと焦りがマリアの心を満たす。

それを見たガイウスが声を上げる。


「姫様。もう良いでしょう。この男は役に立ちません。即刻解任して次のものを呼びましょう」


「おいおい。俺を呼んだガイウスがそんなこと言うのか?猛将も地に落ちたな」


「小僧。口に気をつけろといった筈だ」


ガイウスはアルマンを睨んだ。

アルマンはそれに対して動じることもなく、飄々としている。

マリアは最悪それも考える。

だが、それでは何の解決にはならない。

基盤にある問題は、姫が自領地を放置していたことで起きた、生活の不変化だ。

それは停滞という思考に行き着く。

だが、それではいけない。

これから先はそれでは他勢力に潰されるのをただ待つことになる。

それを見たアルマンが言った。


「まぁ姫さんの気持ちを分からないわけじゃあねぇよ。俺だって人の上に立って、兵士を育ててきたんだ。だからこそ、兵達を潰されるのは御免被る」


だが、今のままでは潰されるのは時間の問題だ。

それはアルマン自身も分かっている筈だろう。

それでもマリアの指揮下には入らないという。

要は騎侯士という存在自体が信用出来ないのだ。

そうマリアは思った。

ならばだ。

ならばどうすれば信用してもらえうだろうか?


「大将!!」


マリアが考えている途中で大きな声がする。

アルマンの部下の男だ。

その男は慌てて、食堂に入ってくる。


「どうした?」


アルマンは落ち着いて答える。

そのアルマンに対して、男は報告する。


「隣の国がアリスティアに向けて進行の準備に入ったらしい!先ほど声明がだされた」


「声明?」


「国境付近で多発する盗賊を対処するために大軍を出すらしい」


「いい事じゃないか」


「それが・・・それに即して国境周辺の警備は国を跨いで自分たちがやると言ったらしい」


「まるまるそれが目的か。王はなんと?」


「こちらの警備は万全であり、貴国に迷惑をかけるものではないと」


「まぁまぁ妥当だな。それに対しては?」


「困窮極まる状況で貴国の対応を待っていられない」


「つまりさっさと戦争したいということか?お前の慌て様をみるに、進行ルートに俺の領地があるってことか」


「私の領地ね」


マリアは訂正した。

それに対して、アルマンも言い直す。


「ごほん。俺の守護地があるってことか」


「そうだよ大将!!」


「予想の敵兵は?」


「1万は超えると」


「ちっ!」


アルマンは騎士の中では弱小騎士で4千程しか兵力がない。

それに対して相手は1万超え。

相手にならない。


「ガイウス!王様に文を送って」


「内容は」


「もし、隣国が我が国の国境を跨ぐようなら騎侯士としての役目を果たす許可を」


「いいのか?」


マリアとガイウスのやり取りを聞いたアルマンが言葉を挟む。


「おいおい!俺の兵じゃ抑えられないぞ!」


「事は国家レベルの話です。騎士では対応できなくて当然です。私が出ます」


「姫さんじゃあどうしようもねぇよ!いつものように座っておけよ」


「ここで出なくて何が騎侯士か!!そのための力と責任だ!!分かったら貴方の兵を借りるわ」


「くっ!そんなには貸せないぞ?」


「どれくらい?」


「出せて3千。それ以上は警備に支障が出る」


「十分。ガイウスは?」


「俺は姫と姫の領地の守護が任務だ。急いで集めるとなると4千程だな」


「合わせて7千か・・・足りないわね」


「姫の兄弟に頼んではどうだ?コーネリアの騎士馬なら寡兵をひっくり返せるかも知れない」


アルマンが提案した。


「それは出来ない。頼れば代わりに大きなものを要求される可能性がある。場合によっては敵にとられるより多くの損害になる」


そういってマリアは突っぱねる。

それを聞いてアルマンは叫んだ。


「だが!お前が名誉を欲しがっている間に領民は死ぬんだ!!その責任を取れるのか!?」


「被害は最小に抑える。それが私の責任よ」


名誉を欲しがっている。

たしかに傍から見ればそう映るかもしれない。

それは自分が信用がないからだ。

だが、それでもやらなければならない。

マリアの領地を守るためにも。

私のためにも。


「この領内の騎士に伝令を!私は騎侯士としての責務を果たす!と」


そう宣言することで、兵士を補給できるかもしれない。

騎侯士の逆らわないという証のために兵を出すはずだ。

それに対してアルマンは口を挟んだ。


「待て!この領地には練度の高い兵は俺の所と、そこのガイウスの兵だけだ。他の奴らは邪魔になるだけだ」


「それでも使える者は使います。それに貴方がそうであるように、私を信用している騎士はこの国にはいません」


「兵は期待しないというのか?」


マリアは頷く。


「惰弱な騎侯士に無駄に兵を送らないでしょう。送っても新人など入って日の浅い兵のみ。それなら邪魔にならない様に使えばいい」


「使う使うと言うな!!兵士は人間なんだ!!それを忘れてもらっては困るぞ!!」


「知っています。兵士は私と同じ人間です」


それを聞いてアルマンは驚いた。

騎侯士や騎士はその職務と権限の特殊性のために、自分が普通の人間とは違うという妄想に囚われている物が多い。

とくに王族が"兵士と同じ"などと口にする者は少ない。

それはアルマンにとって予想外の返答だった。


「兵を貸すかは保留にしろ。とりあえず情報を集めて報告する。それから作戦を立てろ。それによって指揮に入るかを決める」


そういってアルマンは椅子から立ち上がり、足早に去っていく。


二部の上終了です。

ここまで付き合ってくださったことを心の底から感謝いたします。

内容的には、屋敷に行ったらマリアが掃除したくなったので掃除して、さぁ領地立て直そうとしたら、兵が居なくて、増やそうとしてマリアのメタルな肝臓で勝負しに行って二日酔いになって、アルマンに言い負かされて戦争になる話です。

だいたいこんな感じ。

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