食後の情勢
食事を終わらせ、これからやるべきことを考える。
食事の後に話は転る。
「さて、これからどうするかだ」
マリアは紅茶を飲んで食後の胃を休ませた。
そうして一息ついて話を聞く。
「まず、どうしなければならないか・・・教えてくれる?」
「そうだな」
そう言うとガイウスは頷いた。
「騎侯士の仕事はまず領地の治世と守護が基本だ。国の法だけでなく地方の特色合わせて条例を設定する。まぁこれは俺とシンがやろう。まずは見ておけ」
「そうさせてもらうわ。あとは守護ね」
「そうだ。これが一番厄介だ。代理が出来ない。姫自身でやってもらうしか無い」
「それはどういう意味?」
姫自身でやらねばならないというのは確かにそうだろう。
マリアが表に出て、兵に叱咤激励と報酬を与える。
それはマリアが傀儡であっても出来る仕事であるとマリアは思った。
それを厄介という理由はなんだと説明を求めた。
「うむ。この国の騎侯士は皆強い騎士と兵を持ってそれぞれが国防に努めている。つまりそういう気質がこの国にあるのだ。だが、当然それを纒めるものが必要だ。騎士たちを纒める騎侯士が」
「つまり、より騎侯士であらねばならない?それはどういう・・・?」
「この領地はメアリ様が兵站に興味があられなかったために、最弱になってしまっている。それでもやってこられたのは騎士がそれぞれで動いて国防していたからだ」
それを聞いてメアリは納得した。
「なるほど。忠義はすでに失われ、騎士はそれぞれで行動しているということか・・・」
「そうだ。だから示さなければならない。纒めるものが誰なのかを」
「それで厄介ね・・・」
ガイウスは頷いた。
人の上に立つなら、信用は必要だからだ。
基盤として"騎士を敬え"や"騎侯士の言うことは正しい"という事を教えられていても、一度自由の旨味を知ったのだ。
彼らはその旨味でもって行動し、防衛をしている。
今までは大きな戦が無かったから対して困ることはなかった。
だが、今後に平和が続くとは限らないのだ。
大きな力に対抗するには烏合の集では戦えない。
それに、姫路自身が強い兵を持っていることはステータスなのだ。
強い兵を持っていなければ、マリアが騎侯士である資格なしという声が上がり降格されてしまう。
それを避けるためにも常に強くあり続けなければならない。
「ただ・・・・」
考えるマリアに対してガイウスは声を掛けた。
「ただ、立て直さなければならないというのは必ずしも悪いことばかりではない。どの騎侯士も一度は通る道だ。それはどういう兵達にするかという楽しみもある」
猛将のガイウスらしい意見だと思う。
マリアはその意見に頷いた。
そう思って行動しよう。
まずはこの領地の兵站を確立すること。
そうして舐められないこと。
それは最低でもしなければならない。
兄弟たちの中から新王が生まれるならそれに対抗する力が無ければ、不要と切り捨てられるかもしれない。
そういう領地に人は集まらない。
経済もそれでは回らない。
「他の騎侯士の兵たちってどんなものなの?」
メアリはガイウスに質問した。
立て直すなら知っておいたほうがいい。
「そうさな。兵達で有名なのは第一子と第三子だな。第一子のマクシミリアンは大兵を用いて寡兵を蹂躙するという戦法が多い。それだけ兵に余裕があるということだ。そのほうが効率がいいのだ。大きい人数で少数を倒すほうが消耗が少ない。派手さはないが強い。第三子のコーデリア強い騎馬隊を持っている。それだけでなく険しい山で騎馬隊を崖上から疾走して強襲するほどだ。こちらは派手だし、常に有利な条件で戦える質の高い兵達を持っている」
それをきいてマリアは納得する。
それは恐ろしい兄弟たちだ。
「次期王の有力候補はその2人?」
「いや、有力候補はマクシミリアンと第二子のハワードだ。ハワードは資金繰りが得意でそれを持った戦場の運用をする。補給部隊が留まることがなく兵達が長く戦える。それに傭兵を雇って兵の増減をさせているため敵に回すとやりにくい。戦略を立てても想定以上の兵を導入できる」
なるほど。
マリアの兄弟は強豪ばかりだったようね。
本物のマリアが逃げ出したくなる理由もわかってきたわ。
そういってマリアは頭を抱える。
「歴史的に見ても強豪騎侯士は確かに王の子息や息女が多いな。それは意識の違いかもしれんし裏で王が手を伸ばしていたからかもしれんが、現状の騎侯士は腕がることは確かだ」
なるほど。
貴族のボンボンという訳ではない。
それぞれがどうすればより良い治世を牽けるを日々研鑽しているのだ。
それも物心付く幼い頃より。
だが、騎侯士になったのなら自分もそれに対抗して行かなければならない。
だからという様に聞いた。
「で、私はどうすればいい?」
マリアの目は真っ直ぐガイウスを見ていた。
その目を見てガイウスは頷いた。
「この領地には2人の有力騎士がいる。1人はガイウスで、もう1人はアルマンだ」
「アルマン・・・。それが私の目標になるのね」
「まぁそうだ。騎士としての民衆から好かれていると言えばそうではない。だが、兵達を統率するカリスマがある。つまりこの男を味方につけると・・・」
「なるほど。この領地の兵を掌握できるということね」
「そうだ。だがな。ここでも難しいことがある」
「何?」
「アルマンは兵達の好むような治世をする。そして、そのことは民衆にとって好ましいことではない。よって姫がアルマンを向かい入れるようなら、軍中心の領地になり民衆からの支持が減る可能性がある。それだけ戦好きな性格なのだ」
「ならどうするか、ってこと?つまり"迎え入れる"のではなく"戦列に加える"ってこと?難しいわね」
「だから難しいと言っているだろ」
そういってガイウスは紅茶を啜る。
一息置いて、マリアに聞いた。
「どうする?」
それに対してマリアは答えた。
「そうね・・・。まずは会ってみないとわからないわね」
そう言ってマリアも紅茶を飲んだ。
アリスティアは戦で成り上がってきた国なので国政には戦という部分も多分に含まれます。その中での騎士。
ザックリというと、国王が首相、騎侯士が県知事、騎士が市長みたいな感じです。




