マリアとなりて
ミヤビはマリアとなって自分の領地に戻る。
姫の帰還だ
ナレーション上の注意
※ミヤビ=マリア
※マリア=本物のマリア
夏の日差しが、青々そした木々に降り注ぐ。
若葉達はその薄い色に太陽の光を受けて輝く。
生命が活発になる自然の間に、回廊がある。
その道は草を書き分けられただけの簡素な道だ。
それでも、平均幅は3メートルほどで、土が踏み固められている所を見ると何度も人が通った事が伺える。
その道を進む団体がある。
馬を数頭とそれに続く数名だ。
「いい天気ね」
そう先頭付近にいる少女が呟く。
「ほんとうに・・・」
そうシンは呟く。
ミヤビ様は・・・・いやマリア様だったか。
これからはマリアと呼ぶように言われていることをシンは思い出す。
本名はしばらく忘れよう。
「マリア様。もう少しで領地に着きます。しばしの我慢を」
「風が気持ちいいわ。急ぐ旅じゃないならゆっくり行きましょう?」
それに対してガイウスは答えた。
「できるだけ早く帰りたいが、今は急いでも仕方ない。緩やかに進んでも問題なかろう」
「そうね」
マリアになった少女はガイウスに笑いかけた。
マリアは思う。
私はもうミヤビという少女ではない。
マリアという姫だ。
そう思おう。
自分はマリア。
そういう決心をしてからは気が楽だ。
「この先が私の領地ね」
ガイウスは頷いた。
「そうだ。畜産が主な生産だが作物も作る。贅沢ではなくとも一食を構成できる。それがこの領地の特徴だ。あと、夏になっても涼しい。それは高原を主としていて、標高が高いところが多い。」
「なるほどね。それで畜産と農業ね。作物を育てにくい場所であるってことね」
「そうだ。だが、経済には弱い。これといった名産がない」
それをどうするかを決めるのが騎侯士たる自分の役目。
経済を強化して筆頭になるか、ここまま独立的な姿勢を取るか。
まぁそれも行ってから決めてもいいか。
そうマリアは思う。
なにせ自分には何も解っていないのだ。
その自覚がある。
それをガイウスもシンも支援してくれるものの、自分でやらなければならない事も多いだろう。
だが、これからだ。
そういう想いが彼女にある。
長い道のりの先にある領主の屋敷に向かってひたすら進む。
しばらく陽光さす道を抜けると大きな屋敷が見えてきた。
2階建で、レンガを積み上げられた古い建物だ。
「あれが、目的地だ」
ガイウスがメアリに言った。
メアリは頷いた。
「着いたわね。みんなもう少しよ」
それに同行者たちは頷いて、荷物を持つ手に力を入れた。
それぞれがもう少しで着くんだと自分に言い聞かせていた。
一行が屋敷の塀をくぐり屋敷の前で立ち止まる。
そしてマリアが一息つく。
「ふぅ。着いたわね」
そう呟いて、鍵を取り出し大きな洋館の大きな扉に向かう。
鍵を開けて、扉のノブを捻る。
そうして外開きの扉を開ける。
開くと新鮮な風が洋館に流れ込み、埃を巻き上げる。
マリアは手で口を覆い、ガイウスに聞いた。
「ここを最後に使ったのはいつ?」
そうするとガイウスは髭を撫でた。
「はて。確か姫が城に行ってからだから、何ヶ月ぶりだったかな・・・」
マリアはそれだけでここまで埃がたまるものなのかと疑問に思った。
それ以前にもう一度使うつもりだったんなら何人か残して掃除させて置けばいいのに。
それを思った瞬間ガイウスは言った。
「いやぁ。ここの管理を任せていたメイドがいたのだが、全員嫁に行ってなぁ。だから俺もそれを許可してメイドたちに家庭に入らせたんだ。最初は掃除に着ていたが、家の仕事を優先しろと言って追い返していたらこんな有様になぁ。がはは」
そういってガイウスは笑った。
マリアは呆れ顔になるが、このガイウスの独断はジャクリーンに任せるとしよう。
ジャクリーンは先程から唖然として、拳をプルプルと震えさせていた。
ともかく、マリアは自分のまずすべきことを確認した。
掃除からか・・・。
そう思うと、嬉しくなった。
久しぶりにやるか!
そう思い屋敷の中に入った。
それに続いて、一行が屋敷に入る。
二部に移ります。
名前が変わるので部を変更と致します。




