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少女の異世界奮闘記  作者: 羊洋士
第一部 上 ~ミヤビ~
1/44

終わりの光景

連載小説としては短いものです。

ちょっとした時間で楽しんでいただければ幸いです。

どうかしばしの間お付き合いくださいますように。

夕暮れの街に1人の少女が歩道にいた。

彼女は川沿いの道で細く流れる水を見下ろしてる。

乱れた制服で歩いているが、彼女自身は気にした様子はない。

川に落ちないように設置された手すりを撫でながら歩いている。

頬には赤く腫れており、目には涙を貯めていた。


「・・・・・」


彼女は無言で歩く。

白くきめ細やかな肌を持つ彼女は、そのピンク色の唇から息を吐いた。

そして彼女は呟く


「このまま何処かへ行ってしまおうか・・・」


そんな事を考える。

だが、彼女にとってそれが困難であることは直ぐに分かることだった。

母しか居ない家族構成で、彼女には頼る相手が居ない。

その母も働いているが、貧乏である現実からは逃れられない。

結局貧乏は一生貧乏なのよ。

母が呟く言葉を幼な心で聞いていた頃とは違う。

あの頃より現実を知って、逃れられない貧困と希望や夢がどのようなものかを知っている。

希望とは今は無いものが欲しいと願うことで、夢とは今ではない者になりたいと願うことだ。

それはつまり、今の自分は何も持っていないということだ。

少なくとも彼女には、世界がそう見えていた。

クラスで笑う生徒たちを見て、この中で私が誰よりも劣っている自分に悲しむことなどもう飽きていたのだ。

それでも、苦しい人生からは逃れられない。


「家に帰った所でまたあの男がいる」


自分に暴力を振るった男だ。

それに対して助けてくれる人が居ないあの家には。

助けてくれる人が居ないのはこの世界全部か・・・。

少女はそうため息を付いた。

少女の傍らを子猫が通り過ぎる。

少女はそれを見て笑ってた。


「お前は帰る家があるかい?」


子猫は少女の方を見た。

声に驚いたのだ。

だが、それも一瞬だけで直ぐに自分の進行方向に向けて目を戻した。

そして、また歩き出した。


「そうか。お前は進む道があるんだね」


そう言って少女は微笑んだ。

零れそうな涙と、惨めな自分に苛まれた。

そして川に目をやる。

少女はぼーっと川を見ていた。

しばらく時がたっても、少女はそのままだ。

キュウ!!

突然大きな音がした。

少女が音の方向を見た。

その方向に映るのはスリップした車だ。

そしてその車は少女の方向に衝突してくる。


「あっ」


少女は声を上げる間もない。

車は高速で道を外れ少女に向かっていく。

打つかる瞬間思った。

あ、さっきの子猫を避けようとして・・・

それと

よかった。猫は無事だわ・・・。

とそう思った。

このままだと少女は車に轢かれて死んでしまうだろう。

だが、少女は死ぬことに関して感謝をした。

たとえば神様がいるのなら、これは贈り物ね。

少女は微笑んだ。

次の瞬間少女に向かって車が飛び込んだ。

まずは、開いてくださってありがとう御座います。

現代社会の普通の少女が、異世界に飛ばされるお話です。

どうかお楽しみを


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