第3話「旧校舎に行ってみたら-3」
しかし実際は、少し違った。
突然足元に光の渦が出現した。それが周りの闇を引き裂くように大きくなっていき、やがては辺り一面を覆い尽くしてしまったのだ。
ずるずると体が渦に引き込まれていくような感じがする。
俺は今、脱力感のようなものを味わった。
このまま落ちていったほうが晴れてスッキリ死ねると、何もかもどうでもよくなってきた。
落ちているというよりは、突き落とされていると言ったほうが、正しいかも知れない。
光の割れ目から再発した闇に、引きずり込まれるような感覚である。
目の前が点滅し始め、意識を失いかけそうになった。
何もないこの謎の空間を漂い続けていても、救助される確率は上がったりはしない。むしろそのままか下がる一方だろう。
ならそのほんの一握りの希望に賭けることにしよう。
賭けなら得意だからという単純な理屈が、この空間に通用するかはわからない。
前例の無いことだから、100%できるとかできないとかは保証できない。
でもやれることはやっておきたい。
何もしないで終わるのは、いくらなんでも辛すぎるから。
このあと、どんな世界が待っているのだろうーー。
そう思いながら、俺はついに意識を失った。
気がついたら、倉庫のような所にいた。
ほっと胸を撫で下ろして、倉庫の地面に座る。
思いの外倉庫は冷たくて、皮膚からその冷たさが伝わってくる。肌を刺すような寒さが、容赦なく襲ってきた。
( よくわからないけど、とにかく助かったんだ・・・。)
だが今は、そんな安堵感に浸っている場合ではない。
ため息をつく暇はない。本当なら、空腹をなんとか乗り切るための買い出しへ行くところだが、まずここがどこかわからないのと、あいにく一文無しなもので、仕方なく水筒に入っているお茶を飲んでやりきることにした。
倉庫の扉はやけに重く、か弱い俺の力では開きそうにない。
「このヤロ!」
思いっきり力を振り絞って引いたけれど、全く微動だにしない。
扉に「開けてみろーどうせ開かないんだろ」とけなされているようで嫌な感じだ。
今日のストレスがついに大噴火を起こして、扉を蹴り飛ばした。
「・・・?」
そうすると、開いてしまったのだ、あの扉が。
ここの扉は、「蹴って開ける方式」なのか?と変な疑問を持ち続ける羽目になってしまった。
外に出られるのはありがたいことだけど。
外の空気はあんまり悪くはない。
しばらく扉を開けて、外の空気と風景でも堪能しながらティータイムというのもたまにはいいだろうし、気休めには。
外は大きな商店街みたいに賑わっている。
ひょっとするとと、俺のお茶を飲む手が止まった。
ズボンのポケットをあさってみると、やっぱりそうだ。
いいことを思いついたぞと、口元がニヤつく。
この前もらった電話用の100円が、使わずに残っていたのだ。
ティータイムが終わったら、ゆっくりこの使い道を考えよう。




