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情報は生物という言葉を聞いたら何故か魚が頭に思い浮かぶのは何でだろう。

一応。

読み方は生物です。

生物ではありません。


 「でんしてちょう?」


 燎次りょうじからなんだそれはっと伝わってくる雰囲気。

 おっつ、ちょっとテンションが上がって思わず口走ってしまった。

 だが、オルゴールの件もあり説明しても理解して貰えないだろう事が想像できる。

 だとしたら説明するのも面倒くさいし誤魔化しておこうかな、うん。


 そういう結論に落ち着いた風兎は適当に誤魔化すことにした。


 「あー、そうだなぁ……何でも知っている賢者みたいな物で、RPGで言うと町の長老みたいなものですかね」

 「あーる……???」

 「あぁ、いや、何でもは間違いでした。

 あくまでも電子手帳であり、電子辞書とは違いますから知識容量は格段に違いますね」

 「??」

 「とは言ってもこの電子手帳は色々機能を加えて市販の電子手帳よりも遥かに知識容量はスペックは高いんですけどね」

 「?????」


 うん、何一つ理解出来ていないって顔だ。

 よし。

 燎次、君は理解しなくていい話だ。

 いや、むしろ面倒だから理解しないでくれ。

 頼むから。

 

 これ以上突っ込まれて質問されても困るので頭に疑問符を浮かべている燎次を無視して電子手帳を弄りだす。


 「えぇっと、て・ん・ぎょ・う……と」


 【天慶(てんぎょう、てんけい、てんきょう)

 日本の元号の一つ。承平(じょうへい、しょうへい)の後、天歴の前。938年から947年までの期間を指す。この時代の天皇は朱雀天皇、村上天皇。】


 確か燎次は天慶二年って言っていたから今は939年と言う事になる。

 今年は2013年。


 2013−939=1074


 へぇ、1074かぁ。


 ………………………え?


 頭の中で何度も計算を繰り返し、地面に書いて計算したりついには爆宙したが、答えは変わらなかった。


 いやそんなまさか、十世紀、千年以上時を越えてトリップしてしまったのか……。

 急に、帰れるのか不安になってきた。

 いや、本当帰れるのか私。

 何だか泣きたくなってきた。


 風兎の脳内で何故か某、上を向いて歩いて涙がこぼれないようする歌が頭の中で流れ始める。

 曲に合わせて空を仰いだ。


 ……青いなぁ。


 半ば魂が抜けた様な状態で空の彼方を見つめている風兎に、燎次がおずおずと話かけてきた。


 「何か、その……大丈夫か?」


 だいじょばないです。

 理由を聞かれるかもしれないからそう返す訳にもいかない。

  まさか、自分は未来からやってきてどうやって帰れば良いのか分からない、何て言ったら絶対痛い人を見る様な目で見られるだろう。


 「ハハハ、大丈夫、大丈夫、ダイジョーブ」


 空笑い混じりに大丈夫と返す。


 「…………大丈夫そうにはとても見えないんだが……」

 「ほっとけやい!!」

 「あ、はい、ごめんなさい」


 思わず睨み付けると直ぐに謝罪してきた。


 ……お前はツンデレなヘタレなのか?

 いや、ヘタレなツンデレなのか?

 一瞬そんな馬鹿な考えが浮かんだ。


 改めてだけれど、この時代にそんな概念は存在するのだろうか。


 そう言えば、年は分かったが何時代かは調べていなかった。


 昔、中学校で習った年表を頭に思い浮かべる。

 1185(イイヤゴー)檀浦。


 確か源氏と平家の最後の戦いだったっけか。

 これにより平家は滅亡した筈だ。

 源によって。


 源。

 その単語で一人の友人の姿が脳裏に浮かび上がった。


 ここにトリップをしてからまだたった2日しか経っていないのだけれど彼女にはもう何年も会っていないような感覚がする。

 叶との最後の記憶は、彼女の作ったお菓子を彼女の新しい恋の話を聞きながら食べると言ういつまでもあると思っていた日常の風景だ。

 いつも面倒臭い感じで聞いていたが、恋多き女である彼女の話は高校生にもなって初恋もまだな風兎には新鮮でとても興味深く、面白かった。



 何だが不意に、凄く泣きたくなった。





 感傷に浸りそうな頭を振り、思考回路を元に戻す。


 平家と言えばあの、かの有名な平将門は940年に亡くなっていたはずだ。

 今は939年。

 事が起きるのは来年のようだ。

 それを考えると今の時代は…………。


 「平安……か」


 歴史的に有名な出来事のあった年の近くで良かった。

 これでマイナーな出来事しか分からなかったら今の時代は分からなかっただろう。


 例えばさっき聞いた俘囚ふしゅうの反乱とか。

 電子手帳で調べてみたが全く持って掠りもしなかった。


 あぁ、やっぱりマイナーな事件なんだな。


 と言うか、平安って雅なイメージが強いけど何気に戦とかが多くて藤原やら平家や源氏等そこら辺の人たちが政権を巡ってどうのこうのして、なんちゃらの乱やなんとかの変がやたらと多くて動乱の時代だったような…………。


 風兎は迫り来る戦火を想像して青くなった。


 …………とりあえずどうやって元の時代に帰るとかは置いといて安全地帯を確保しておいた方が良さそうだな、うん。

 帰れるかはまだ分からないし、帰るよりも先に命が無ければ無意味だ。

 幸い、電子手帳は知識容量がそう多くは無いとは言えその時代の大きな事件とかは乗っているから、細かく把握しておけばそんな大きな事件に巻き込まれるなんて事は無さそうだし。

 まぁ、何とかなるだろう。


 しっかし…………。


 「電子手帳って意外と侮れんのなぁ」


 発見した時は

 『こんな物よりお菓子が欲しい!』

 とか思ったけどお菓子より役に立つやも知れない。


 『人生何があるかわからない』


 あの言葉程今の状況にぴったりな言葉は無く、一体誰が言い出したのだろうかと尊敬の念を抱く風兎であった。



 「おーい、そろそろ現実に戻って来い」


 その言葉と共に目の前で振られた手によりハッ覚醒する。


 「いくら現実逃避しても構わないが、明日が本番だって言う事実は変わらないぞ」


 何だろう。

 今、何やら聞きたくない事を言われた様な気がする。

 首をギギギと壊れかけのロボットの様に動かし、燎次を見る。


 「明日が、本番……?」

 「あれ?言ってなかったか?」


 きょとんとした顔で言われた。


 不覚にもその表情で燎次が少し幼く見え、ちょっと可愛いと思ってしまった。

 って、そんな事はどうでも良い。

 それよりも、


 「そういう大事な事は早く言え!!!!!!!!」


 思わず燎次の腹に拳を叩き込んでしまったがこの場合仕方がないだろう、うん。


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