厨二病は病名ではなく「痛い」行為をする人間を揶揄した名称です
厨二病はコンプレックスから発する、一部の言動傾向を揶揄した俗語だそうです。
ちなみに女性は男性より精神成長度が早いので、なる時期が早く、小六病というのもあるんだとか(笑)
「いいえ、あなたはこちらの座に絶対来ますよ。
自らの意思で、ね」
「は?」
自信満々に言い切った狢首の視線と私の視線が絡まった。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
中々反応が無いので痺れを切らして話しかける。
「……あのぅ」
「……可笑しい………何故だ!?」
いや、沈黙、後に何故だって意味がわからない。
「ごほんっ、すまない、もう一度」
「はぁ………」
咳払いをした後に再び絡まる視線。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「何故だぁ!!!?」
頭を抱えて席に座り込む狢首。
正直、見てて飽きない。
最初は胡散臭いとしか思っていなかったのだが……もしかして、この人は面白い人なのだろうか?
腕を組んで舞台の上から狢首の様子を眺める。
「……いや、待てよ……この臭い……燎次かっ!?」
しばらくブツブツと呟いているかと思うと何かに気付いたように勢い良く顔を上げた。
そのまま舞台の上へと身軽に上がってくる。
「ちょっと失礼」
いきなり無遠慮に近付かれ、すんすんと頭のてっぺん辺りの臭いを嗅がれた。
「………」
「へぶっ!!?」
おっつ、思わず手が出てしまった。
狢首は頬を腹を抱えて3メートル程離れた距離に倒れている。
ふむ、力加減を間違えた様だ。
もう少し吹き飛ぶかと思ったのに。
「……ゲホッ!!いきなり、何を……オエッ」
「吐かないで下さいね」
「言うに事欠いてそれかっ!?」
よろよろと立ち上がった狢首に冷たい視線をやる。
「いきなり人様の臭いを嗅ぐのは客がする事じゃない、変態がする事だ」
お客さんに手を出すのはいけない事だと思うが、こいつは客ではなく変態だ。
なら大丈夫だろう。
変態=抹殺
が世の中の常識だからな。
変態は可愛い女の子のためにもこの世から抹殺されるべきだと思う。
「ぐっ、た、確かにいきなり失礼な事をして済まなかった。
だが、これで術にかからない訳が分かった」
「?」
まだ、訳の分からない事を呟いている。
術?
彼は厨二病か?
見た感じ二十歳は越えているようだが。
というか、この時代にもその概念はあるのだろうか?
「と、とにかく今回はこれで失礼するよ。
また来よう。
………次回こそ君は我が座に来る事だろう」
「だから行かないって」
しつこいな、こいつ。
気が付くと、男の姿は消えていた。
ああ、そうかと呟いた。
分かった、あいつは奇術師だ。




