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本人にはバレない様に少しずつ事態は進んでいく

 「して、そちらの状況はどうじゃ?」


 風兎が居なくなってから伯田は部屋の隅の暗闇に声をかけた。


 ゆらり

 と蝋燭の光が揺れたかと思うとそこには燎次が伯田に頭を下げた状態で膝をついていた。


 「はい、捕らえた者を尋問したのですが、やはり『時時雨』の者に頼まれたとだけでどんな容貌の者だったのかは覚えていない様です。

 これ異常締め上げても何も吐かない、と言うか吐けないでしょうがどういたしますか?」

 「………ちなみにかけられた忘却術を解くことは出来るか?」

 「………残念ながらあちらの方が腕は上、無理に解いた場合かけられた者の精神が崩壊する可能性が高いかと」

 「そうか……」


 燎次の言葉に伯田は顎に手を当てて考える。


 「のう、燎次。

 何故今回は『時時雨』は依頼した者の容貌だけ記憶を消して『時時雨』が依頼したと言う記憶は消さんかったのじゃろうな」


 伯田の言葉に燎次か首を横に振った。


 「…分かりません。

 ただ、あの忘却術をかけたのが狢首だと言うことは分かります」

 「………『時時雨』もそろそろ潮時なのかもしれんのう」


 重くため息を吐いて伯田は言った。

 それに対して燎次は強い決心を感じさせる声で返す。


 「だとしても、『時時雨』の者を狢首の餌食にはさせません。

 ………これ以上、被害者が出るのは避けたいですからね」

 「ああ、わしもじゃよ。

 葉桐はわしの良き競争者じゃ、こんなことで決着を着けたくは無い」


 『時時雨』の座長、葉桐一男はぎりかずおを思い浮かべ伯田は頷いた。


 「今後はどういった方針でいきますか?」

 「引き続き『時時雨』ならびに狢首の警戒じゃな。

 後手に回るしか無い現状が何とも歯痒いわい。

 ………して、風兎さんへの暗示妨害術の首尾はどうじゃ?」

 「術の用意は既に完了しています。

 早速今夜にでも風兎にかけて参ります」

 「そうか、くれぐれも術をかけた風兎さんを六に近付けるんじゃないぞ」


 伯田の言葉に燎次は強く頷いた。


 「分かっています。

 あいつを守る術があいつを危険に晒しかねない。

 六には事情を話してあるので余程の事が無い限り風兎と六が接触する事は無いかと。

 風兎の傍には俺か晴披がいるようにします」

 「頼んだぞい」

 「はい、おまかせを」


 ゆらり

 再び蝋燭の光が揺れると、燎次の姿は暗闇から消えていた。


 「何事も無く桜乱祭が終われば良いのじゃが………無理じゃろうなぁ」


 はぁっと重いため息を吐いた。



 祭りは、まだ始まったばかりだ。

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