ぶらり、温泉旅〜秘湯編〜
温泉、良いですよね。
生き返る〜(´Д`)って感じがします。
わいわい、がやがや
賑やかな団体が坂道を登ってくる。
「いやー、温泉何て久しぶりだねぇ」
「本当、本当。普段はなかなか行けないもん」
「風兎ちゃんの願いが『温泉に入る』で良かったよ」
「いやぁ〜どうもどうも」
口々に誉められ頭をかきながらお礼を言う。
今日は一座のみんなと温泉に浸かりに来た。
みんなっと言っても今は女集しかいないのだが。
ちなみ男だけど例外で道案内係として晴披も一緒に来ている。
入る順としては先に女が入ってから男が入るという順番になった。
普通は逆らしいんだけど、なんてったって主役である風兎は女であるためこの順なんだとか。
あの後燎次が風兎の性別をみんなにバラした。
その時ほとんどの者が驚愕していたと同時に風兎は急遽女性用荷馬車で生活することが決まった。
ずっと願っていた温泉にようやくつかれるのだ。
そして風兎は新しい服も手に入れた。
現代から持って着ていた作業着と白衣を元に晴披と二人で考案した物だ。
新しい服にと着物を用意していた晴披に、着物なんて着るのに時間がかかり、なおかつ動きにくく袖が邪魔くさい物は着たくないっと風兎が駄々をこねた結果出来上がった物だ。
構想とデザインは二人で決めたが、出来上がった物を見るのは始めてなので楽しみにしている。
ちなみに、これを約一日で仕上げた晴披はげっそり窶れて歩いているがまあ、本人は凄く楽しかったって言っているし良いんじゃないかと風兎は思っている。
さてさて、一体どう言う感じかなっと。
「みなさーん、もうすぐ着きますよー」
「「「「「はーい!」」」」」
服も楽しみだが取り敢えずは温泉だ。
案内された温泉は風兎が想像していたような秘境!って感じではなく、普通に男女の別れた乗れんが掛かっている人の手がきちんと入っている様な所だった。
なんだか拍子抜けしてしまう。
「ではみなさん、ごゆっくり〜」
そう言う晴披に案内の礼を言って入っていくみんな。
さて、私も入るか。
「あなたはこっちですよ」
ガシッと肩を捕まれた。
着いた所は道から少し外れた獣道の先。
風兎の要望通り適度に植物等で隠されてあり、ここに温泉が湧き出ている事を知らない限り見られる心配もない。
今通った獣道もそこまで道は悪くなかった。
「ちなみに、効能は美肌、痒み、肩こり、腰痛、冷え性、血の巡り等がある様ですよ」
「へぇ、美肌かぁ」
美肌は大事だよな。
玉のお肌は七難隠すって言うし。
「そう言えば、他のみんなは?一緒に入らないのか?」
「うーん、最初はみんなも秘湯にって思ったんですがどうしても大人数が入れる温泉となると秘湯では難しいんですよ」
「んー、温泉の湯気でばれちゃうからとか?」
「はい、その通りです。
ばれない様な所は大抵山奥なので、それだと風兎さんの要望にそぐわないっと言う事で苦肉の策として今回の様な形にさせて貰いました」
「なるほど」
色々考えてくれているんだなぁ。
「では、ごゆっくり。半刻程で迎えに来ますね」
「分かった。ありがとう」
半刻、つまりは一時間か。
ゆっくりのんびり満喫するとしますか!
風兎がのんびり温泉に浸かっている同時刻、二人の男が何やら怪しげな雰囲気の中、会話をしていた。
「『隻翁』め、また新たな者が入ったと聞いて行ってみたら『おるごーる』だと?
あんなものを何処で捕まえて来たんだ。
これではうちの座との差がますます開いてしまうでは無いか」
イライラと爪をかじる初老の男性。
彼方此方に白髪が混じった頭や髭。
きつくつり上がった眉のしたの目は神経質そうに歪んでいる。
そんな老人を落ち着かせる様に、話しかける青年。
「長、心配は無用です。既に手は打ってあります」
その言葉に老人の目はキラリと光った。
「ほう、相変わらず準備が良いな。一体、どんな手を打ったんだ?」
「そうですね。
例えあの『隻翁』の者だとしても所詮は新人。
新人はついうっかりと秘密を漏らしてしまうものですよ」
青年の言葉に老人はなるほどっと笑った。
「見てろ伯田呉汰。お主の時代は終りだ、全てはワシの物になる!!!」
ハハハハハっと悪役のように高笑いをする老人を見下した様に青年が見ている事を本人は気付きもしなかった。
ちなみに、日本で一番温泉が多いのは静岡県だそうです。
おっかしいなぁ、私は静岡で温泉施設なんて一つしか見たことないんだけど……(・Д・)




