裕人、18才 高校三年生
勉強を教えてもらって、やり方ってのが解った
そんな中学最後の夏から、また三年が過ぎ再び地獄の受験年となった
今回は、前回ほど甘くはない
1校は推薦を貰えるのは確定だろうが、確実にいけるとは限らない
センター試験でどうにかなる実力と運が必要だった
だから、オレはやっぱり逢いたかった
峰ちゃんに
あれから何度かあった、峰ちゃんはその度に迎えにきてくれて
遠距離恋愛中のカップルみたいで嬉しかった
峰ちゃんの部屋には相変わらず男の影はなくて
それを確認しにいってるのかと思えてきて
自分の信用のなさが情けなかったが
信用する以前に、まだつきあってないことが
もっと情けなかった
でも、峰ちゃんから話は聞けた
名前は呼ばれたくないっていう話
祥子っていう名前
良い名前のはずなのに、不思議に思ってたら
前妻が置いていって【しょうがない子】だからしょうこらしい
だから、父親からも愛されずに育ってきたといっても過言じゃなかったんだ
それなのに、峰ちゃんは静かに笑ってた
一緒に学校にいけてたのしかったよ
ってそう言ってくれたのも嬉しかった
少しずつ距離を縮めて、オレと峰ちゃんは
自然と恋人みたいだった
どっちかというと姉弟のような家族かもしれないけど
一緒にいるのが自然な関係だった
だから、そのまま、結婚してもそんな生活ができるかなぁと思うと
顔がにやけてくる
電車の中だっつーのに、ださいなぁオレ
峰ちゃんだけには骨抜きにされて、
どうあっても大好きでしょうがない
さてと、駅についた改札にはいたいた
「峰ちゃーん」
手を振る、必ず振り替えしてくれる
やっぱいいわー、同年代の彼女と何度も同じことしてたら
絶対やめるもんな、他のことしたがったり
峰ちゃんは、そういうこと昔からなかった
根気良くオレの・・・ガキの話につきあってくれた
「やっぱり来たね」
教えることできないよ、大学受験はって言われたけど
逢いたいから行くの半分口実っていったら
電話の向こうでくすくす、
耳をくすぐるような声で笑われた
「来るよ、峰ちゃん分補給」
ぎゅっと抱きしめると、峰ちゃんが笑った
「じゃぁ、私も、ゆうとくん分補給」
きゅっと抱きしめ返す体付きが、すこしふっくらとしてた
あ、良かったっておもった
料理は上手い峰ちゃんだけど、味気ない食事がいやだったらしい
だから、あんな家族でも、一緒に食べられるのが嬉しかったらしい
何度か逢ってたら隣の部屋の人とも仲良くなって
料理下手な彼女が、峰は最高の嫁だーっとかオレより男らしい台詞はいて
一緒に飯食うようになったらしい
ムードメーカーの彼女だから、友達の少なかった峰ちゃんに友達も増えて
今は、同じとこではたらいてるらしい
っても学校の研究員らしいけどね
まぁ、その人にはオレの好意なんてバレバレで
変な虫がつかないように護ってあげるよ
って言われて安心した所があるが
一番の敵にも思えてしかたがないところもある
あいつ、レズじゃねぇよな
峰ちゃん触る手つきがオッサンすぎる
部屋への道珍しく峰ちゃんから近況報告が始まった
話すのが格段に上手くなって、聞いてておもしろい
プレゼンとか、研究発表でなれたかな
って照れ笑いしてたけど、あいつのおかげかもしれないと思う
そういう意味でオレはまだまだガキだった
「いいじゃん、何にせよ出来るようになるのは
勉強の仕方、マジで世話になってるし」
そう言うと、飲み込みが早いから私も楽しかったよ
って笑った
うん、いい先生
オレは褒められて育つ生徒です
ちなみに今の季節は冬
だから、もうすぐ結果の年になる
「寒いから、ホテル取ったよ」
「そうなの?じゃぁ、お布団いらなかった?」
あれ、用意してくれたのかな
「ちかちゃんのなんだけど、貸してもらったの」
ああ、あいつのか
「んー、どっちも要らないかな
峰ちゃんも一緒に泊まるから」
そう言うと、えっと固まり
その後真っ赤になった
「だから、今日はこっち」
手を引いて、ホテルに到着
うう、オレの金さようなら
でも、プロポーズはやっぱホテルだろ
「ゆうとくん、それはちょっと・・・」
「え?」
オレはきょとんとした顔をして振り返った
「いつも一緒だから、たまには外でもいいじゃん」
そう言うと、真っ赤な顔のままちょっと小さくなった
やだなぁ、峰ちゃんのえっちー
まだそんなことしませんよ
男とホテル=な公式ができあがってるのはまぁいいけど
それで、いやがるから
ますますセーフです
オレよかったね!
「一緒に寝たかったからダブルにしようかとおもったけど
寝相悪くて蹴飛ばしたら悪いからツインにした」
そう言うと、こくこく頷いて
「それがいいと思うよ」
うんって、必死な感じがすっげー可愛かった
ますます男として意識してくれるのかな
峰ちゃん、狼にまだなりたくないんだよ
もう少しだけ、子供でいさせて