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ああ、なんか。
なんであんなに、二号にイラッと来ちゃったんだろうなあ、もぉ。
……ひょっとしてPMS(生理前)?
マヒルは身分証を形ばかり見せながら、通用口の衛視の前を突っ切った。
渡り廊下から、そのまま院内に足を踏み入れる。
さすが古くても赤絨毯。
マヒルがドスドスと歩く足音は、吸い込まれるように消えていく。
階段の入口の右側に設置された、議員の一覧表に視線を走らせる。登庁した議員が自分の名札にランプをつけるための押しボタンが、びっしりと並ぶ、いわば国会の特殊用具だ。
エレベーターの回りにぐるりと螺旋状に作られた階段は、通行量の割には作りが狭くて気をつけないと人とぶつかりそうになる。
ちょうど、二階のエレベーター前に出るあたりで、マヒルは降りてきた議員とばったり正面から行き会ってしまった。
慌てて身をはすかいにし、多少の場所を空けて、議員を通すマヒル。
相手は相当のご老体議員だった。
階段なんか使って、随分とカクシャクとしたものだこと、ジジイはエレベータ使っとけや、おりゃ。
とマヒルは心の中で、悪態をついてみた。
っていっても。
まあ、政治家って最後の最後まで、体力勝負だからねぇ……。
あれ? この人誰だっけ、えっと、えっと。
マヒルがそんなことを考えているうちに、老体議員は踊り場を曲がって、階段を降りていく。
しかし、その瞬間、偶然にも議員の足下に、マヒルの目が留ったのだった。
そう。その老体大物議員の足には、便所サンダルが光っていた。
……ナカガワ!!
マヒルは、瞬時に気がついた。
アレは『ナカガワ』だ。
間違いない!
踵を返すと、マヒルは階段を三階まで駆け上がった。
そして、事務室に飛び込み、棚から手当たり次第に資料を抜き出して、窓際の自分の机の上にぶちまけた。
猛然と資料のページを捲り、パソコンのキーボードを叩く。
仕事上では、まず発揮されない集中力、猛烈な気迫をみなぎらせ、マヒルは調査に没頭していた。
「会長! こっちこっち」
四種のデリ定食が載ったお盆を持って突っ立っているマヒルに向って、二号が奥の端っこのテーブルのところで、大きく手を振っていた。
スカンジナビアンもどき。
一歩間違えれば、昔のプレハブ小学校みたいな家具と内装のセルフサービスカフェだ。
地下鉄Y楽町駅下車、徒歩1分。
席には、もう全サンダリスト達が集まっていた。
「昨日のメールだが……」
一号が口火を切る。飲んでいるのは、ポットの凍頂烏龍茶のようだ。
「あの某大物議員が『サカキ』に関係あるってことなのかよ? あのメール。悪いけど相当、電波ゆんゆんだったぜ、会長」
二号が、グラスビールをグビグビやりながら横やりを入れた。
「ホント、まったくもって要領をえない内容でしたねぇ」
……三号、あんたは、いちいち最後に余計なんだってば。
「あれ、そういえば、金曜の夜なのに二号。こんなとこ来てて大丈夫なの?」
めずらしくマヒルが、他人に配慮を見せた発言をした。
「明日から連休だろう? カミさん。今日休み取って、すももと実家に帰ってるからさ」
二号は朗らかに答えた。
なるほど、それじゃビールも美味いわけだね。
「で?」
一号が話の続きを促した。
「だからー。あの衆議院議員の楡山平八郎がね、履いてたの。ナカガワを、院内で」
「楡山議員つったらあの『マイロール事件』とかのだろう? 超大物だよな」
二号が目をまん丸にしている。
「そうそう。『わたしの仕事、ぼくの生き甲斐。マイロール』っていうあの、転職会社のマイロール事件ね」
「与党内でも異色のたたき上げ議員でしたね。幹事長まで上り詰めたのは、異例中の異例でしょう、でも、たしか、未入閣でしたっけ」
ああ、もう。三号は、どうしても一言ひけらかしたいヤツなのだ。
しょうがないので、マヒルはスルーすることにした。
「つかさ。会長。国会に勤めてんのに、何でそんな大物が、便サン履いてることに今まで気付かないわけ?」
二号は、カフェのグラスビールなぞはあっさり飲み干してしまい、ちょっと物足りなさそうである。
「ちょっと、二号。あたしが働いてるのは、国会じゃなくて参議院! 楡山議員は衆議院議員一本でしょ。滅多にこっち側なんか通らないんだから、知らないよ。そもそも。そうしょっちゅうは、院内に来ないだろうし」
「それで。ともかく、ナカガワを履いていたからという理由で、楡山を調べてみたんだな?」
一号が、再度、話を戻そうとした。
「そう! でね。色々判ったワケ。まずさあ。出身は群馬なんだけど、えっと、埼玉に凄い近いところ。でも、十代のころから東京に住んでてね、足立区界隈。区議会議員になってるわけよ」
「足立区……」
三号がレモンパイを飲み込みながらつぶやいた。
このメンバーの中で、頼んでるモノが一番乙女チックだった……。
「確か『サカキ』の工場があったな」
一号も独り言のように言う。
「まあ、足立区議時代何やってたかとかは、全然調べる時間なかったけどね。国会議員になってからのことは、ちょっと『分館の主』に聞いてみたわけ」
「何だよ? 『分館の主』って」
二号は空のグラスを未練がましく手にしている。
……だめよ、二号。
マヒルは心の中で二号をけん制した。
あたしのトレーのビールを見つめても、ひとくちだってアゲないから。
「えーと。衆参の真ん中の、あの三角屋根の下にさ。国会図書館の分館があるのよ。大きい図書室が。そこでずーっと油を売ってるオジサンがいて。衆議院の事務局の人だと思うんだけど。衆参の生き字引と言われてる人でさ。いつも昼過ぎに閲覧室で、週刊ポスト熟読してて」
「まったくもって、税金の無駄遣いですね。だから公務員批判がやまないんですよ!」
三号が眼鏡を押し上げる。
「でもさ、案外、無駄も大事だったりするんだよ、三号。ま、それはおいといて、その『ヌシ』に聞いてみたのね、楡山議員のこと。まあ、色々知っててさあ。便サンはね、初当選時から履いてたらしいの。議場に履いて入ろうとして、衛視に停められたとかいう埋もれた伝説もあるらしいよ。政治家としての支持母体は、最初はやっぱり下町の中小企業だったらしいし。でね、住所とかを、議員要覧とか遡って全部調べてみたら、あれなんだよ。昔の『サカキ』の事務所とご近所。絶対、お互い知り合いだったんだよ」
「楡山議員ってのはさ。マイロール事件の時にもあれだったが、結構、男気あるっつうか。そういう感じの政治家だろう? 変な買い占めとかそう言うのに荷担したり、工業団地に口利きしたりとかするのかね。しかも、利権としてはちっぽけだぜ?」
二号が首を捻っていると、一号が、シブーい低音でつぶやいた。
「カネ、じゃなければ? なにか動機が……」
「さっすが。一号。あたしが見込んだサンダリスト! そう。そうなのよ。だって、未だに便サン履いてるんだよ? 楡山議員。しかも、院内で」
マヒルは思わず声を大きくした。
横の席のカップルの女が、露骨にマヒルを睨む。
あ? 何よあんた、ここは、あんたの店かっつーの! と内心マヒルがむかついていると、三号がこれまた、マヒルへの当てつけのように声を落として言った。
「今のナカガワの型は、元々はサカキのものだったって、マツモトのオヤジさんが言ってましたね……」
「楡山議員には、何かサカキのサンダルに対して、思い入れがあるってことか」
一号のつぶやきに、マヒルは力強く頷いた。
隣のカップルが席を立っていく。
はいはい。気に入らないなら、そうやってさっさっと出て行けばよかったんだよ、とマヒルは心の中で、カップルの女にアッカンベーをしながら、グビリとビールを飲む。
「じゃあ、『サカキ・インターナショナル』の社長のミキオは、榊幹夫と同一人物であるっていう線が濃厚ってわけか」
こう言って二号は深く溜息をついて、席を立った。
多分、ビールのおかわりを買いに行ったんだな。間違いない。
マヒルは確信した。
「しかし……。当てずっぽうとはいえ、なかなか鋭いところを掘り返してきたな?」
一号が、微笑みながらマヒルを向いた。
今回のは渋いというよりは、もうちょっとチャーミングな微笑だった。
あらいやだ、三号じゃないけど。
やっぱちょっとドキドキしちゃうよね。一号の笑顔はさ。
「えへへへ。会長様を見直した? ほら、能ある鷹は爪を隠すって言うでしょ」
マヒルが照れながら、こう口にすると、三号がすかさず口を挟む。
「別に、誰も誉めてはいませんから」
なに? 三号ったら、男の嫉妬は醜いわよ?
「なあ、くどいかも知らんが、買い占めみたいなチンケなやり口の男と、あの楡山議員が関係あるなんて、何かしっくりこないんだよ、オレ」
二号が戻ってきた。
やはり、手にはしっかりビールのグラスが握られていた。
「そうだな。議場に便サンで入ろうとする男だからな」
一号が言うと、三号が感に堪えないといった感じで続いた。
「……漢、ですよねぇ……」
二号が、二杯目のビールをグビグビやりだしたところで、三号も飲み物を買いに立った。
友の会にしては、めずらしいことだが、何となくその後も駄話が続いた。みんな金曜の夜の町のムードに、ちょっとばかし流されていたのかもしれない。
「……二号は確かに、キレンジャーって感じですよね」
三号の言葉に、一号も反応した。
「ほう、気は優しくて力持ち、ってとこか」
「そうそう。何かのマンガでも言ってたけどさ。いつもはおちゃらけてるんだけど、ピンチのときは、部隊を庇って真っ先に死んじゃう役どころ」
マヒルは説明を追加する。
「おい、待てよ」と、二号が割って入る。
「オレは、おちゃらけてもいないし、真っ先に死んだりはしないからな。お前らと違って、守るべき家族があるんだから」
すると三号が、少々ムッとした。
独身であることに、一番引け目を感じるようなタイプなわけだ。
そんな三号を尻目に、マヒルは溌剌と言い放った。
「家庭だったら、あたしだってあるもん!」
「え?」
一号から三号までの全サンダリストが声をあげた。
「なに? 何か問題あるワケ?」
マヒルは、一番癇に障る甲高い声で驚いて見せた三号のほうに詰め寄る。
「い、いえ……別に」
「ほー。会長、ダンナいたんだ? でも、子どもはいなそうだな」
二号は、比較的淡々と受け止めているようだった。
「しかし、物好きですよねぇ。そのダンナ。どういう趣味なんでしょうか?」と、三号が聞こえよがしに一号に耳打ちしているのを、マヒルは鼻で笑ってやった。
「その程度の思慮浅薄さだから、三号、あんたは結婚できないのよ」
臍を噛む三号を、マヒルは勝ち誇って見下す。
そこでマヒルは、すかさず一号に水を向けてみた。
「一号。一号って独身なの?」
すると、三号が口を挟んだ。
「あ、一号は独り暮らしですよ」
二号とマヒルが、一斉に三号を振り返った。
「え、なんでお前そんなこと知ってんだよ?」
「ちょっとぉ。なに? 三号、アンタ、一号の家に行ったの?」
自身の思いっきり脇の甘い失言のせいで、二号とマヒルからの一斉攻撃を受け、三号はただただ泡を食っていた。
だが、そこに正義の味方のように助け船を出したのは、一号だった。
「日曜の夜、三号を泊めたからな」
どよどよどよ。
二号とマヒルは、二名の人間がどよめくことが出来るレベル以上のどよめきを巻き起こした。
「え、あのさ、一号。お前、三号を自宅に泊めたんだ?」
二号の問いに、一号は涼しい顔で答えた。
「いや。自宅というわけではないが」
「じ、自宅じゃないの? あそこ。じゃあ、あの部屋は何なんですか? え?」
混乱した三号が、猛烈に甲高い声を上げた。
今度は三つ先の席に座っているおじさんまで、こちらを振り返っている。
「出ようか? な?」
二号がグラスのビールを一気に飲み干して、そそくさと席を立った。
店を出たところで、二号がまた口を開いた。
「あ、オレ、G座一丁目駅の方から帰るわ。その方が一駅近いし」
……G座一丁目? あれ。あの看板? あそこ?
「へー。Y楽町駅のこんなすぐ側に、G座一丁目駅の入口があるんだねえ」
いまさら気がついて驚くマヒルに、一号が言った。
「あそこから地下に降りても、改札まではかなり地下のコンコースを歩く事になるがな」
「ふーん。じゃあ、あたしもG座一丁目から帰ろうっと。みんなどうせY楽町線なんでしょ? 行こ行こ」
G座一丁目駅のコンコースは、ホントに長かった。
しかも、東京の繁華街のただなか、金曜の夜だというのに、びっくりするくらい人っ子ひとりいないのだ。
「ひえー。ここ、なんか異世界空間みたいじゃん」
マヒルの素っ頓狂な声だけが、コンコースに響き渡った。
蛍光灯と太く丸い柱が、永遠に続くかのように、向こうの方まで、ずうっと並んでいる。
「ねえ、一号。あんたN田町駅を使ってるけど、立法府の人間じゃないって事は、あたしには分かってんのよ」
これまで、なんとはなしに誰も一号の前では口にすることの出来なかったマヒルの一言に、二号と三号は、息を飲んだ。
「まず、N田町駅の六番を出るって言うところがね。あたしだって、コンビニに寄る用事でもなければ、六番は出ない。それで考えると、砂防会館とかの方かとも思うけど」
「けど? 何だ」
一号は余裕しゃくしゃく、涼しく受け流している。
「そういう特殊法人っぽい、おっとりさは皆無なのよ、あんたは。となると、可能性があるのは、最高裁と議長公邸」
「ほう?」
一号は、じっと、マヒルを見つめ、かすかに口元を緩める。
はっきりいって、やっぱ、この笑顔は、結構カッコイイと思う。
くやしいんだけれども、ちょっとドキドキしちゃうので、マヒルは一号から、目をそらした。
「まず、司法じゃないでしょ。絶対」
一号は、無言でマヒルの方を見つめている。二号と三号も黙ったまま、事の成り行きを見守っていた。
「一号って、なんかどこか『キナ臭い』んだよね。だから。司法の人間じゃない」
「ほほう?」
一号はまた、ニヒルに微笑みながら言った。
「ヒント、一号。ヒントくれ」
突然、二号が軽い感じで口を出した。やっぱ、コイツ、確信犯的にキレンジャーなのでは?
二号の言葉に、一号は、軽い笑い声を漏らして言った。
「……茱萸坂のてっぺんには、何がある?」
「記者クラブ。国会の」
マヒルが即答した。
「衆議院の議員会館、第一の方?」
二号も続く。
「今、立法府じゃないって、言ったばかりじゃないですか?」
とりあえず、三号は人の失点を責めずにはいられない人間であった。
「え、ちょっと待って。坂の『てっぺん』って……!」
と、マヒルが声を上げた瞬間。
数本先にあるコンコースの柱の陰から、人影が飛び出してきた。
……あれは! さっきの店の、あのクソ失礼な。
隣の席の……
「カップルの女!」
とマヒルが叫ぶと、サンダリスト達の背後の柱の陰からも、男が飛び出した。
やはり、カップルの男の方だった。
女の方は色白だったので、店では何人だか分からなかったが、男は明らかに東南アジア系。小柄な体ながら、なんか、こう動きが違う。
そこで女の方が奇声を発しながら、マヒルに躍りかかった。
「うそぉぉ。ちょっと、なに、これぇぇっ?」
マヒルは、とりあえず盛大な悲鳴を上げて、女を避けようとしたが、ドターンと床にぶっ倒れた。
女は、そのままマヒルを捨て置くと、サンダリスト達の方へと駆け寄った。
男の方は、もう想像通りって感じで。つまり、「ハイ、ワタシ、ムエタイ選手ですが何か?」ってな具合で、次々、技を繰り出している。
その矢面に立っているのは、やはり想定通り、キレンジャー=二号だった。
凄い速さで繰り出される男からのキックをかわし、パンチを手で受け止めている。
つか、二号、文科省の統計処理以外に、あんた何やってた人なのよ? 一体。
「会長ぉ、大丈夫か!」
そんな死闘の最中にも、マヒルに声をかける二号。さすが「キレンジャー」キャラである。
「だ、だいじょうぶじゃないよぉぉ。痛いよぉ」
恐怖のあまり、さすがのマヒルも半泣きでパニックを起こす。
すると、二号への狙い撃ちを決め込んで、男と一緒に攻撃を加えてくる女の方を排除しようと奮闘していた一号が叫んだ。
「それだけ肉がついてれば、大丈夫に決まってるだろう!」
「ひ、ヒドい。肉がついてたって、いたいもん、いたいよ。ううう」
泣き声をあげたマヒルに、一号は続けて、叱責の声を飛ばしてきた。
「いいか、自分のことは、自分でなんとかしろ、大人なんだから! マヒル、さっさと立て!!」
しかし、一号のその声は、攻撃をしかけてくる女の奇声により、すぐにかき消された。
女の長い爪が、一号の喉元に食い込んでいく。
「……!!」
マヒルは、バネのように立ち上がると、女の方に向って全力で走った。
「コップン・カァァァァァァぁぁぁ」
一声吠えると、マヒルは思いっきり、女に体当たりを食らわせた。
タイの華奢な女など、加速のついたマヒルの肉弾の前には、風の中のタンポポの綿毛のような物だった。
すんでのところで身をかわした一号の横をすり抜け、女は数メートル先まで、コンコースの上を吹っ飛んでいった。
そして、「マイペンライ」と一声発すると、その場で動かなくなった。
女がやられたことに気を取られたムエタイ男の首筋に、二号のチョップが決まった。
男は、あっけなく床に沈み込んだ。
二号は荒くなった呼吸を、合掌しながら鎮めている。
目を開けて、合掌をほどいた二号が言った。
「つかさ。会長、敵にお礼言ってどうすんだよ?」
「え?」
マヒルが目を丸くしていると、どこか向こうの方から声がした。
「『コップンカー』は、『ありがとう』でしょうが!」
三号の声だった。
三号は柱の陰に座り込んでブルっていた。
……ホントに使えない。まあ、邪魔になんなかっただけ、マシといえなくもないけど。
「だって、他に知ってるタイ語なかったんだもん、つか、こいつら、一体なんなのよぉ」
二号の足下に倒れているムエタイ男を探ろうと、マヒルは手を伸ばした。
すると、一号が凄い力で、それを押しとどめた。
「触るな。こいつらを調べたって無駄だ。とにかく、すぐにY楽町線に乗るんだ。早く!」
マヒルとサンダリスト達は、床に倒れたままのタイ人カップルを残し、コンコースを急ぎ足で駆けていった。